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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「アイネクライネナハトムジーク」(2018)を見る。原作・伊坂幸太郎。

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アイネクライネナハトムジーク」(2018)を見る。原作は「ゴールデンスランバー」などの伊坂幸太郎の同名の連作小説集。タイトルは、モーツァルトセレナード13ト長調小さな夜の曲」のこと。カタカナが連続14文字もあり途中に「・」を3個を入れたくなる(笑)。

10年前と現在を「出会い」をキーワードに描いたロマコメ群像劇。主演は、三浦春馬多部未華子三浦春馬は、映画公開(2019年)の翌年2020年7月18日に急逝(30歳没)。

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冒頭のシーンで、2つの物語につながる伏線がある。その後、複数のカップルの物語が同時進行。物語は10年後に続いていく。10年の時が経つことで、登場人物たちの関係がますます複雑に絡みあっていくので、一度ではつかみにくいが、登場人物の関係がやがて一つの物語に集約していくところが見どころ。相関図を確認すれば明白だが。

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主人公・佐藤(三浦春馬)は街頭アンケートで知り合った本間紗季(多部未華子)と交際を始める。その10年後、意を決して佐藤は紗季にプロポーズする。

一方、佐藤の上司・藤間(原田泰造)は妻と娘に家を出ていかれて以来、独り身のまま。

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佐藤の親友・織田一真(矢本悠馬)は、同級生で学校のアイドルだった由美(森絵梨佳)と結婚し、幸せな家庭を築いている。

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10年後には長女の美緒(恒松祐里)も高校生になり、クラスメイトの和人(萩原利久)や亜美子(八木優希)と青春の日々を送っている。 

一方で、ヘビー級チャンピオンに返り咲くことを目標に努力を続けていたウィンストン小野(成田瑛基)と、彼を支え続ける妻の美奈子(貫地谷しほり)。彼の勝負の行方は果たして――。 

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人の出会いは、偶然であったり、運命的であったりといろいろある様子が描かれている。財布を落として、それを拾って…とベタな出会いと思っていたが、10年後に「(あの時は)わざと財布を落とした」という新事実を知ったりする。

ロマンチック・コメディ(ロマ・コメ)の側面もあるが、ペコペコ頭を下げて世の中を生きていく父親を見て「(ああいった父親のような)世の中の歯車にだけはなりたくない」と息子が言うと、母親は「基本はみな歯車なんだから」という言葉もある。

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また、駐輪場で駐車代60円のシールを自分で買わずに、ほかの自転車のシールを盗むなどの不正を働くガンコ爺がいたり、レストランで難癖をつけてクレームを言うヤクザまがいの客などに対して、”退治”するシーンが繰り返して登場して笑わせる。水戸黄門が悪代官に「これが目に入らぬか」と印篭を示すような絶大な効果があった。

そのセリフとは、やり取りを見てた人物がいうセリフで、それは…。

「(レストランのウエートレスに文句をつけている客に対して)先ほどから見ていましたが、こちらの方が誰のお嬢様と知って仰っているのでしょうね。知っていらっしゃるのなら、なんと命がけでおっしゃっているのか。お嬢様、私のことはお父様にはくれぐれも内密にお願いします。」そんなことを言われれば、バックにどんな怖~~~いお人が控えているのかと思い、尻尾を巻くというもの。駐輪場でも、同じようなことをいわれたおっさんは「わ、わ、わかったよ、払うよ」と白旗を挙げるのだ。

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ミニシアター系で上映されるような小品で、気楽に見られるちょっとした見どころのある映画だった。