「エジソンズ・ゲーム」(原題:The Current War、2017)を見る(Netflix)。トーマス・エジソンを中心とした伝記映画。出演はベネディクト・カンバーバッチとマイケル・シャノンなど。原題のCurrent Warというと、一般には「現在の戦争」だが、この映画では「電流(Current)戦争」のこと。
1880年代のアメリカで、電力の供給方法を巡って直流送電派のトーマス・エジソンと交流送電派のジョージ・ウェスティングハウスが繰り広げていた電流戦争の様子を描いている。
実話を基に制作されたということ、また今作は、2017年にハリウッドに激震が走った大物プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインによるセクハラ騒動により、公開が延期、お蔵入りも心配された作品。
日本では、昨年4月公開予定が、コロナの影響で6月に延期されディレクターズカット版が公開された。
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1882年のアメリカ。天才発明家と崇められていたトーマス・エジソン(ベネディクト・カンバーバッチ)は、自ら開発した電球を電気で光らせることに成功する。
一方、同じく発明家で裕福な実業家でもあるジョージ・ウェスティングハウス(マイケル・シャノン)は、大量の発電機が必要なエジソンの“直流”送電方式よりも、発電機1基でも遠くまで電気を送れて安価な“交流”方式の方が優れていると考えた。
オーストリア出身の発明家ニコラ・テスラ(ニコラス・ホルト)は、“交流”の有効性をエジソンに提案するが一蹴され、1886年、ウェスティングハウスは、“交流”式の実演会を成功させる。エジソンは、自分の発明を盗まれたと激怒。かくして、世紀の“電流戦争”が幕を開ける。
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19世紀末のアメリカの伝統的な会社ウエスチングハウス、ゼネラル・エレクトリック(当初はエジソン・エレクトリック・カンパニー)、J.P.モルガンなどが登場するのがおもしろい。
エジソンといえば発明家、努力家として有名だが、なかでも蓄音器、白熱電球、活動写真が広く知られる。
この映画で描かれる電流戦争では、エジソン自身が選択・採用した直流送電に拘るあまりに交流送電の優位を受け入れられず、交流を採用したニコラ・テスラおよびウェスティングハウスとの間で電流戦争に陥り、結局、敗北してしまう。
エジソンは「交流電流は危険」とのイメージを人々に持たせるために、様々な汚いプロパガンダ工作を行ったことなどの汚点でも知られている(またジョルジュ・メリエスの傑作「月世界旅行」を公開前に無断で複製し、アメリカ中の映画館に売りつけ巨額の富を得たという事実も存在する。
かなりネガティブな面を持つイメージだが、そのあたりの描き方で、監督に対するプロデューサーの介入(口出し)が激しかったようで、製作されてから混乱があったようだ。
とはいえ、歴史に残る偉大な人物であることには間違いない。
テレビの「ちびまる子ちゃん」の主題歌「おどるポンポコリン」の歌詞にも登場する。「いつだって わすれない エジソンは えらい人 そんなの 常識 タッタタラリラ ピーヒャラ ピーヒャラ パッパパラパ♪」
主な登場人物:
マーガリート・アースキン・ウェスティングハウス: キャサリン・ウォーターストン
ルイス・ラティマー: サイモン・マニョンダ
フランクリン・ポープ: スタンリー・タウンゼント
メアリー・スティルウェル・エジソン: タペンス・ミドルトン
バーク・コックラン: デイミアン・モロニー
伝記ものは、リンカーン関連もそうだが、時代背景などをある程度知らないと、退屈に思え、睡魔との戦いになる。エジソンの時代にそんなことがあったのか、と関心があれば、面白さも倍加する。