ドラマ「共演NG」(2020)がNetflixから配信が始まった。第2話まで一気に見た。全6話完結。ドラマは昨年10月からテレビ東京系の夜10時枠で放送されたが見逃していた。企画・原作は秋元康。監督は大根仁。主演が中井貴一と鈴木京香とくれば面白くないわけがない。
中井貴一と鈴木京香は三谷幸喜のテレビドラマ初監督の「Short Cut」(2011)で共演していたが、登場人物がわずか3人(もう一人は梶原善)の「完全ワンシーン・ワンカット」がすばらしかった。
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恋愛関係のもつれから25年前に破局して以来、タイトル通り共演NGとなっていた実力派俳優と人気女優がドラマ共演することになり、互いに火花を散らしつつも25年前のとある映像がきっかけで思わぬ展開に発展していく過程を描く”一触即発”の危険な“大人のラブコメ”。
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(ストーリー)タイトルかつテーマの「共演NG」は、テレビ業界において絶対に同じ番組でキャスティングしてはいけない危険な組み合わせをいう。その存在は既に都市伝説ではなく、実際にテレビ業界中のスタッフを悩ませる大問題へと発展してしまっている。それに至る原因には様々な理由が挙げられるが、恋愛関係が多いと言われている。
日本一小さな在京キー局・テレビ東洋(略称:テレ東)が社運を懸けて、大人の愛を描く大型恋愛ドラマ「殺したいほど愛してる」を制作する事になった。
Netflixなどで活躍するショーランナー(製作全般のボス的存在)の市原龍(斉藤工)が製作総指揮・脚本・広報の一切を仕掛けるこの企画で主役を務めるのは、大物実力派俳優の遠山英二(中井貴一)と大物人気女優の大園瞳(鈴木京香)。
ところがこの2人は、25年前に主役で共演した大ヒット恋愛ドラマ「愛より深く」で実際に恋愛関係へと発展したが、遠山の二股が発覚したことで破局。
それ以来、公然の共演NGとなってしまっていたのである。そんな2人が何故に再び共演する事となったのか。
更には遠山と大園以外の出演者も共演NG達ばかりがキャスティングされ、現場のスタッフも遠山と大園や“共演NGアベンジャーズ”、更には現場に現れない市原にまで翻弄されていく。
共演NGだらけのキャストや翻弄されるスタッフの様々な思惑が交錯する撮影現場で、遠山と大園は息の合った演技が出来るのか。撮影は無事にクランクアップすることが出来るのか。そして遠山と大園が25年の時を越えて出す答えとは…。
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マスコミの前では、再共演の二人は取り繕うが、陰では、相手のことを「ウンコ野郎」「クソ女」と罵る。しかし、マスコミがいない楽屋裏で、二人は実は本当は死ぬほど好きだったと告白。それがPR 担当の、通称”バズらせ屋”与謝野・M・リリカ(瀧内公美)のスマホで拡散されてしまい大騒ぎに。そして、リリカの合図で、25年前に英二と瞳が破局した際に行われた瞳の破局会見の映像まで流されてしまうのだった。瞳は恥ずかしさのあまり頭を抱え、英二は制作発表を中止にしたのだった。
これらの映像を見ていた遠山英二(中井貴一)の妻・雪菜(山口紗弥加)は、複雑な心境。家に戻った英二に「どうだった」と探りを入れたりするのだが、雪菜は、どうやら大園瞳(鈴木京香)に対して英二が未練があるのではと疑うようだった。雪菜自身は、元アイドルで、結婚に至るまでに何かいきさつがあったようなのだが。
「共演NG」には、ほかにも「NG」俳優たちが数組共演するというアベンジャーズのような展開。昔気質の大御所で時代劇俳優の出島徹太郎(里見浩太朗)とその元付き人でニューヨーク帰りの小松慎吾(堀部圭亮)の確執なども描かれる。小松慎吾は、アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ、ダスティン・ホフマンなども学んだニューヨークのアクターズスタジオで4年間学んできたので、セリフなどの時代劇がかった大げさな芝居には抵抗があったのだ。
小ネタも満載で、リリー・フランキーなど曲者役者も脇を固めておもしろい。