fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「北京の55日」(原題:55  Days at Peking、1963)を見る。

f:id:fpd:20210422161542j:plain

北京の55日」(原題:55 Days at Peking、1963)を見る。かつてテレビで一部見ていたがほとんど初見と同じ。清朝末期に「義和団の乱」が起こり、首都北京義和団が押し寄せ外国人居留区が包囲されて11か国の居留民が籠城して55日間を戦った物語を描く。

監督は「理由なき反抗」のニコラス・レイ製作はサミュエル・ブロンストンで、「キング・オブ・キングス」「エル・シド」「ローマ帝国の滅亡」など歴史劇の大作を70ミリで次々と撮影して話題となった。「北京の55日」は、最初に「Overture(序曲)」の画面があり、途中に「休憩」を挟み160分の大作。

f:id:fpd:20210422161739j:plain

f:id:fpd:20210422161643j:plain

主演はチャールトン・ヘストンエヴァ・ガードナーデヴィッド・ニーヴン。若き伊丹十三も出演している。

音楽は「真昼の決闘」「OK牧場の決斗」などのディミトリ・ティオムキン。冒頭、序曲がオーケストラで流れ、スクリーンの映写が始まる。ラストの音楽(プレイアウト・ミュージック)でアンディ・ウイリアムの「So  Little Time」の曲が流れる。曲はアカデミー賞歌曲賞にノミネートされた。

・・・

f:id:fpd:20210422161618j:plain

1900年の初夏、山東省に蜂起した義和団は清国に進出した西欧勢力とキリスト教徒を本土から追放しようと勢力を増し、そのため北京城の外国人たちの不安は高まった。

京城内では、イギリス、フランス、ドイツ、日本などの国旗がはためいていて、各国の国歌が演奏されていた。

そんな中、ルイス少佐(チャールトン・ヘストン)の米海兵隊が北京城にやって来た。秘密に包まれた紫禁城の奥では、清朝西太后フローラ・ロブソン)が側近の端郡王(ロバート・ヘルプマン)と寵臣栄緑将軍(レオ・ゲン)たちの密議中だった。そこでは、義和団の力を利用して外国勢力を一挙に国外へ追放することを決め、団を蔭で後援することにしたのだった。

f:id:fpd:20210422161816j:plain

ルイスはロバートソン卿(デイヴィッド・ニーヴン)の主催する舞踏会でロシア男爵未亡人ナタリー(エヴァ・ガードナー)に会い、一目で2人は互いに強くひかれた。

だが、ロシアに帰らなければならないナタリーが旅支度をしている時、情勢が急変。ドイツ公使が路上で義和団たちに殺されたのである。この現場を偶然ホテルから見たルイス少佐はその指揮官・端郡王を西太后に報告し抗議したが、逆に西太后は各国外交団の北京城退去を警告した。

この日、義和団の外国人居住地に対する攻撃が開始され、ナタリーも篭城を余儀なくされた。11ヵ国の外国人たちは一体となって防衛した。

ナタリーも野戦病院の看護婦として働くことを惜しまなかった。少佐は天津の救援軍へ連絡のため北京城を脱出したが失敗。城へ帰るため敵中を潜行、やっと帰りついたとき、ナタリーの死を聞き、暫し虚脱した。

火炎瓶作戦などで少数の連合軍は55日間の篭城に耐えた。そして砲煙の間から救援の軍が姿を現し城内の外国人たちは狂喜した。見事に戦いに勝利したのである。

f:id:fpd:20210422162011j:plain

新しい任地に出発するルイス少佐はこの戦いで孤児になった混血娘を連れて思い出深い北京城を後に、名物の黄塵の中に消えていった。

・・・

タイトルの55日というのは、ロバートソン卿(デイヴィッド・ニーヴン)とルイス少佐(チャールトン・ヘストン)の会話に出てくる。ルイスが「何日頑張った?」ときくと、ロバートソン卿が「55日間」というと「よく耐えた。55日間協力し合ってきたが、また新しい闘いが始まる。」とルイスが応える。

19世紀の中国は、清の支配が衰え、繁栄が翳った時代。とくに1840年阿片戦争でイギリスに破れて国力が衰えて、欧米列強によって半植民地化されていた。さらに1894年の日清戦争で、一足先に明治維新を成し遂げた日本に敗れて国内は混乱していた時代だった。

f:id:fpd:20210422161918j:plain

清末期の権力者である西太后(せいたいこう)は、映画の中で「水は舟を支える。また沈めもする。清王朝ダイナスティ)は終わりだ」と語っている。

この後の時代のことは描かれないが、征服王朝である清朝を打倒し、漢民族の王朝だった明朝の時代を取り戻そうとする「反清復明思想」が広まっていった。中国各地に革命を起こそうとする秘密結社が結成され、ついに1911年に革命が起こることとなり(「辛亥革命」)、翌年孫文により中華民国が誕生し、清王朝は滅亡する。

f:id:fpd:20210422162338j:plain

中央が当時29歳の伊丹十三伊丹十三は、1984年「お葬式」で監督デビュー。51歳になってからの監督だが、その後タンポポ」「マルサの女」「マルサの女2」「あげまん」「ミンボーの女」「大病人」「スーパーの女」「マルタイの女」などいずれも大ヒットした。