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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「検察側の罪人」(2018)を見る。期待以上。

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検察側の罪人」(2018)を見る。ジャニーズのあの2人の共演かとスルーしてきたが、Netflixで配信があったので、期待しないで見たら、面白かった。

監督は「日本のいちばん長い日」「関ケ原」の原田眞人だけに、ぐいぐいと押してくる。一見ひ弱そうな印象の二宮和也の被疑者取り調べの(暴)も真っ青な演技にうならせられた(日本アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞)。

木村拓哉はいつもの木村拓哉(笑)。吉高由里子は、イメチェン・ヘアスタイルで、額を隠すボブヘアで、まるで橋本愛(笑)。似合わない!?タイトルの「罪人」はまさかの人物。

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都内で発生した殺人事件。犯人は不明。事件を担当する検察官は、東京地検刑事部のエリート検事・最上毅(木村拓哉)と、刑事部に配属されてきた駆け出しの検事・沖野啓一郎(二宮和也)。沖野らの研修生時代に担当した一人が最上だった。その研修から4年後の師弟ともいえる2人の再会だった。

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最上は複数いる被疑者の中から、一人の男に狙いを定め、執拗に追い詰めていく。その男・松倉重生(酒匂芳:さこうよし)は、過去に時効を迎えてしまった未解決殺人事件の重要参考人であった人物だ。

最上を師と仰ぐ沖野は、被疑者に自白させるべく取り調べに力を入れるのだが、松倉は犯行を否認し続け、一向に手応えが得られない。

やがて沖野は、最上の捜査方針に疑問を持ち始める。「最上さんは、松倉を、犯人に仕立て上げようとしているのではないか?」・・・。

互いの正義を賭けて対立する二人の検事。彼らの戦いに、待ち受けていた決着とは——。

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曲者俳優が多く登場しているが、中でも被疑者の一人を演じた酒匂芳は、完全に”イッちゃってる感”が凄い。何を聞かれても、ときどき、口を開き「ポッ」と意味不明の音を出すのだ。

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しかし、それを上回るのが、酒匂の取り調べを行う二宮で「ポッ」という口真似をして、酒匂を追い込んでいくのだ(笑)。このあたりのやり取りを見ていた、同僚の吉高由里子も思わず、たじたじだった。

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このほか、”怪演仲間”では、大倉孝二音尾琢真松重豊、出番は少ないが山崎努などがいる。吉高由里子が「1回目のキスは私から」と決めているとキスをすると、「じゃあ2回目は」と吉高を押し倒す二宮。しばらく後の2人のシーンのカメラの構図がエロティック(笑)。

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監督の原田眞人といえば、1970年代初めのころは「キネマ旬報」に映画評を寄稿していた映画評論家だったが、その後アメリカで数年間の映画監督の修行を経て「金融腐蝕列島〔呪縛〕」(1999)など社会派映画で注目されるようになった。立てこもり犯たちがカップヌードルを食べていたことでも話題になった「突入せよ! あさま山荘事件」(2002)はドキュメンタリータッチで話題になった。「関ケ原」(2017)も骨太で、岡田准一主演で骨太映画でよかった。

 「検察側の証人」といえばワイルダー監督の法廷劇の傑作「情婦」の原題だが「検事側の罪人」は、検察側の利己的な正義を暴いている。検察側の罪人を追いつめるラストだが、その後はどうなったかは示されていない。