「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち」(原題:STUNTWOMEN: THE UNTOLD HOLLYWOOD STORY、2020)を見る。製作総指揮を務めるのは「ワイルド・スピード」シリーズなど、数々のアクション映画に出演してきたミシェル・ロドリゲス。
「トゥルーライズ」「ワイルド・スピード」「マトリックス リローデッド」をはじめとした映画史に残るアクションシーンを演じてきたスタントウーマンたちの証言で紡ぎだすドキュメンタリー。
息を呑むような名シーンの数々をスタントウーマンたちはいかに作りあげてきたのか。スタントウーマンたちの日々の鍛錬の様子やスタントウーマンの歴史を通して、ハリウッド映画の最前線で活躍するプロフェッショナル達の姿を映し出す。知られざる舞台裏の話が面白い。
・・・
体を鍛えるためにボクシングなどあらゆるスポーツにも取り組み、時には火だるまの中から脱出したり、「車にはねられるのが得意」というスタントウーマンもいた(笑)。
CG技術の発達と共に迫力ある映像に満ちたハリウッド映画が日々作られている中で、CGでは表現出来ないアクションシーンをより緻密に表現するため、ハリウッドでは今でもスタントパフォーマーたちが活躍しているのだ。
「ワイルド・スピード」などのカーアクションでは動く車から脱出したり、ヘリコプターのはしごにぶら下がったり、階段から落ちたりと、大変なアクションがある。
バスの下の部分に特別のハンドルを設置している。
「キル・ビル」のスタントを担当したとか、マギーQの代役を務めたとか「スピード」では、キアヌ・リーブスを投げ飛ばしたというスタントウーマンも。
このシーンはかっこよかったな(笑)。
昔からスタントウーマンはいたというが、やはりスタントは男の世界という認識が強かったようで、男がかつらをつけて女役のスタントを演じたというときもあったようだ。男性中心のスタントパフォーマーたちの世界でスタントウーマンたちの地位や権利を守るために戦ってきた歴史があったことがうかがい知れる映画だった。
・・・
クリント・イーストウッド監督の「恐怖のメロディ」やポール・ニューマン主演の「ロイ・ビーン」などでスタントを演じたベテランのスタントウーマンも登場していた。体形、スタイルも主演の役者と似ていなければならないこともある。また、黒人俳優のための黒人スタント協会というのもある。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「インディ・ジョーンズ」などのスタントの現場のエピソードなどが実際にスタントを演じたスタントウーマンから語られて興味深い。
映画の中でクレジットされることのないスタントウーマンたちだが、リスク(ケガなど)ととなりあわせの仕事だが、スタントウーマンたちにとっては、スタントを演じることが「天職」であり、「居場所」なのだという。
スタントウーマン同士の連帯感、信頼、絆も強いようだ。
ケガ、生命の危険のリスクが一番重要。これはできない、という場合は「NO」という。そして別の方法を考える。ケガで実際に針10本で縫ったというスタントウーマンもいる。
昔、CMのセリフか何かで「男はタフでなければ生きられない」というのがあったが、スタントウーマンにとっては「女はタフでなければダメ」というセリフが印象に残る。
(Netflixで鑑賞)2021年1月に限定で劇場公開されたらしい。