「マンハッタン・ラプソディ」(原題:The Mirror Has Two Faces、1996)を見る。未見だった映画で、タイトルも知らなかったが、Netflix で見た。ウィットと風刺、パロディ、オマージュ、シャレた会話などがおもしろく隠れた佳作かもしれない。
いまや伝説の女優といっていいローレン・バコール(「脱出」「三つ数えろ」)とバーブラ・ストライサンドが母娘を演じるというだけでもワクワク(笑)。
共演はジェフ・ブリッジス(「ラスト・ショー」「白と黒のナイフ」)、ピアース・ブロスナン(「007ゴールデンアイ」ほか)ミミ・ロジャース(「逃亡者」)ほか。
タイトルだけ見るとウディ・アレン的だが、監督・製作・主演がバーブラ・ストライサンドで、フランス映画「両面の鏡」(1960)のリメイク。よほど脚本と内容が気にいったのだろう。
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美人を見るとめまいが起こるという数学教授グレゴリー(ジェフ・ブリッジス)と自分の容姿に自信が無く恋におびえる文学を教えるローズ(パーブラ・ストライサンド)の不器用な二人がおりなす恋とセックスのあり方についてをおかしくも真面目に考えさせる作品。数学オタクのような堅物のジェフ・ブリッジスの話し方が特徴的でおかしい。
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コロンビア大学で教鞭をとる数学教授のグレゴリー(ジェフ・ブリッジス)は、数学の授業を行っているが、説明がくどく、独りよがりの話で生徒はみな大あくび。
そんなグレゴリーは出版記念講演会で1年前に別れたキャンディス(エル・マクファーソン)を見てめまいを覚え、壇上を降りてしまう。その後キャンディスとベッドを共にするがキャンディスから「あなたは一生の伴侶じゃない」と言われてしまう。
その後、恋人募集の広告を出す事になったグレゴリーは、最後の一行に「容姿は問わず」と書き込む。
一方、同じ大学で文学を教えるローズ(パーブラ・ストライサンド)は妹クレア(ミミ・ロジャース)の結婚式に肉付きの良い身体にピンクのドレスを身にまとう。
グレゴリーの元に何人かの女性から応募書類と写真が届く。その中に気になる写真があり、写真の裏を見ると、コロンビア大学文学部教授と書いてあった。同じ大学ということもあって、早速電話をしてみる。
電話を取ったのはローズの妹クレア(ミミ・ロジャース)。「姉は臆病なので・・・」という返事。
早速グレゴリーはローズの講義を見に行く。その教室はあふれんばかりの生徒達と流暢に生徒たちに語りかけるローズがいた。「嵐が丘」「カサブランカ」などを引用し、恋愛論などを語るローズ。グレゴリーは、ローズに電話をして食事に誘うのだが・・・。
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お互いにアラフィフの年齢で、双方がプラトニックな関係でと”友達結婚”に踏み切るのだが、なにかビデオでも見ようかということになり、ビデオカセットなら「在る夜の出来事」「アラビアのロレンス」などいろいろあるという中で「アラビアのロレンス」完全版(長い!)を見ることになるのが笑わせる。
ローズは野球に興味があり、グレゴリーが「野球って何がおもしろいのか」と思いながらも横で見たことを、次の講義で引用すると、これまであくびをしていた学生たちが、興味を持ち始めて、質問してくるようになるのだ。
最後はハッピーエンドで終わり、後味のいいエンディングとなった。
この映画の当時、バーブラ・ストライサンドは、50代半ばだが、若々しい。ピアース・ブロスナン(アレックス)は、妻のクレアに愛想を尽かされると、今度はクレアの妹のローズに前から好きだったと迫ってくる、ボンド並みのプレイボーイぶりを見せる(笑)。
ローズは一枚上手で、ブロスナン(アレックス)がどんな言葉でいい寄ってくるかを聞きたかったと、ぴしゃりと振ってしまうほどに今は自信が出てきていた。グレゴリーも、自分の気持ちにようやく気づき「結婚しよう」というと「もう結婚しているじゃない」と返事をするローズ。「そうだった」とグレゴリー。
テレビ画面では「逢びき」(1945)が映し出されたり、「危険な情事」(1987)の話題がでたり、飽きさせない。
しかし、抱腹絶倒は、序盤のシーン。テレビを通じてのピンク系電話(テレホン・○○クス)のシーン。いかにもなド派手な女性が出てくるが、フェリシアに電話をすると、相手をしているのは、ダサいおばはん。毛糸のあやとりをしながらテキトーに対応していた。
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「マンハッタン・ラプソディ」
(原題:The Mirror Has Two Faces、1996) 監督:バーブラ・ストライサンド
出演:バーブラ・ストライサンド(ローズ)、ジェフ・ブリッジス(グレゴリー)、ローレン・バコール(ハンナ)、ミミ・ロジャース(クレア)、ピアース・ブロスナン(アレックス)ほか