「ソフィア・ローレンだったなら」(2020)を見る。銀幕の大スター、ソフィア・ローレンと、普通の一般人の2人が多くの人に愛された共通の理由とは・・・。2人の歩んだ人生には思いがけない共通点があった。たった32分の心温まる短編ドキュメンタリー。タイトルの意味は、一般の主婦が、ソフィア・ローレンの人生に自分を投影してきたので「困難なときに、ソフィア・ローレンだったらどのように対処するだろうか」ということ。
出演とナレーションは、一般人のナンシー・"ヴィンチェンツァ・カレリ"・クーリク(写真下)。現在のソフィア・ローレン本人も出演している。
前置きになるが、お気に入り女優のベストワンはソフィア・ローレン。男優はバート・ランカスター。この1位というのは、この50年間変わっていない(笑)。記事が長くなりそうなので、Part1とPart 2 に分けます。悪しからず(笑)。
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ソフィア・ローレンの生き方に自身の人生を重ねてきた一人の女性ナンシーのナレーションで進行するドキュメンタリーで、映像の最後にソフィア・ローレンとナンシーが感動の対面をする。
ナンシーの家族
ローレンの家族
ソフィア自身も以前から、ナンシー一家のことは知っていたようで「自分(ソフィア)が必要なときはいつでも呼んで」と語っている。ナンシーも4人の子供を持つ母親だが、子供の苦労や大変さで、ソフィアと共通するところがあった。
ソフィア・ローレンの15歳のときのミスコンテスト優勝や、初のスクリーンテスト、数々のハリウッドスターとの共演など、ソフィア・ローレンのすべてが詰まっている。
共演者の中でも、ケーリー・グラントはソフィアと二度目の共演の時にソフィアにプロポーズ。選択を迫られたソフィアは、すでに映画制作者として有名だったカルロ・ポンティを選んだ。「育ったイタリアの環境を理解している人」が決め手だった。このあたりの経緯もソフィア・ローレンは率直に語っていた。
ソフィア・ローレンが第34回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたときのシーンが面白い。
主演女優賞のプレゼンターはバート・ランカスター。
候補者の名前と作品を紹介する。
「草原の輝き」のナタリー・ウッド、
「ティファ二―で朝食を」のオードリー・ヘプバーン、
「肉体のすきま風」のジュラルディン・ペイジ、
「ハスラー」のハイパー・ローリー
と紹介した後、まるで忘れていたかのように「ソフィア?」とおどけるように笑いながら「知っていたよ」といいつつ、「受賞は、”ふたりの女”のソフィア・ローレン!」と叫ぶのだった。
受賞式に参加しなかった理由を問われたローレンは、「アカデミー賞(主要部門)に外国人(イタリア)が初めてノミネートされ、受賞するとは思わなかった」ので自宅にいたという。
「受賞の知らせは電話で聞いた。誰からだと思う?ケーリー・グラントからよ」と誇らしげに笑う。「君が受賞したよ」といってくれたというのだ。ケーリー・グラントとは「月夜の出来事」(1959)などで共演。ケーリー・グラント(1904年生まれ)とソフィア・ローレン(1934年生まれ)は年の差30歳。ローレンが結婚したカルロ・ポンティは1912年生まれで22歳の差がある。
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ソフィア・ローレンは、自身を発掘してくれたのは「(当時俳優として共演した)ヴィットリオ・デ・シーカだった」と語っている。
デ・シーカは監督として、ローレン、マルチェロ・マストロヤンニとの黄金コンビで「昨日・今日・明日」「ああ結婚」「ひまわり」などの名作を生みだすことになる。
ナレーターのナンシーがソフィア・ローレンについて語っていることで、おもしろいのは「ローレンは、決して正統派美人のグレース・ケリーのような美しさではない。」という。
Part 2は「写真」が多くなりそう。
(つづく)