このブログのサブタイトルは「名作に進路を取れ!」。もちろんヒッチコックの「北北西に進路を取れ!」(原題:North by Northwest)をもじったもの。原題をそのまま訳すと 「ノースウェスト航空で北へ」となるのでは…という意見もある。
それはともかく、Netflixは2004年ごろは、DVDレンタルの郵送会社だった。創業者は、アメリカのレンタル市場を独占していた「ブロックバスター」チェーンのところに、面会を申し込んで、高級スーツに身を包んだCEOに会う。その面談も数か月たってやっと実現。
ブロックバスターは、世界中に9000店舗、年商60億ドル(当時の換算で7,000億円)、社員60,000人の大企業。かたやNetflixといえば、社員は100人、会員数はわず30万人、年間損失5,700万ドルのちっぽけな会社。Netflixの目的は、ブロックバスターが買収してくれれば、Netflixがブロックバスターの一部門として「ブロックバスター・ドットコム」を立ち上げてオンラインビデオレンタルをスタートできるという申し出だった。
「で、うち(ブロックバスター)はいくら払えばいいの?」
「5,000万ドルです」
もちろん却下され、しょぼしょぼとNetflix社長は家路につく。
「今頃はブロックバスターの60,000人の社員は、バカげた提案に爆笑しているだろうな」という場面が浮かぶNetflix社長。
しかし、時代は変化した。
2010年、「ブロックバスター」は倒産した。現在、ブロックバスターの店で残っているのは1店舗のみ(オレゴン州)。
2016年、Netflix配信のドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」が大ヒット。Netflixの存在がクローズアップされることになった作品だ。
2019年、自ら制作した映画「ROMA/ローマ」はアカデミー賞作品賞など10部門にノミネート、3部門でオスカーを獲得。郵送DVD屋が、今では世界190か国、2億人の会員を要する「インターネット・ストリーミングサービス」会社となり、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンと同列規模の会社となったのだ。
成功した背景はいくつかあるが、「NO RULES」という本にあるのは、世界から最高の待遇で優秀な人材だけを集めているということ。20人の優秀な社員を雇う代わりに、1人のスーパースタープレイヤーを20人分の待遇でスカウトしている。少数精鋭チームで、ドリームチームと名付けている。
トップは、チームメンバーにこう伝える。
「ヘッドハンターから、声がかかるだろう。グーグルやフェイスブックなどから。ぜひ面接してきてほしい。そして、報酬(いくら?)を聞いて、知らせてほしい。うちはそれ以上で対応する」。そういわれれば、やめる理由はない(笑)。
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そのドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」を見始めて第6章まで来た。「スタンド・バイ・ミー」と「エイリアン」をミックスしたようなドラマだが、まったく飽きさせない面白さ。
「Netflixに進路を取れ!」が続きそうだ。