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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「モティの目覚め」(2018、スイス)をみる。ユダヤ人が主人公のラブコメ。

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モティの目覚め」(2018)をみる。言語がドイツ語だったのでドイツ映画かと思ったらスイス映画。これまでスイス映画を見たという記憶はない。

ユダヤ人の主人公の青年がカメラに向かって語りかけながら自身の恋愛について語っていく。

ユダヤ教において「シクサ」(非ユダヤ人)と結婚することはご法度。今まで母親の言うことをなんでも聞いて生きてきたモティだったが、シクサを好きになり、自分の道を切り開こうともがく、ラブコメディ。監督はマイケル・シュタイナー。

・・・

ユダヤ人として生まれると、レールは決まっているという。男子は「割礼」(男子の性器の包皮を切り取ること)を受け、成人してからもユダヤ人同士の「シダッハ」(お見合い)をして結婚するというのがお決まり。後は、子作りに励むのだという(ここがR-15指定か)。

モルデカイことモティはスイスに住む正統派のユダヤ人。父親が営む保険会社で働きながら、大学で経済学を学んでいる。最近のモティの頭痛の種は、母親に何度もお見合いをさせられることだ。相手はもちろんユダヤ人の女性。

モティの家族はユダヤ教を信仰。モティも普段は黒い服にちいさな帽子。買い物も、ユダヤ人が行く専門の店。

モティの母ジュディットはシダッハに熱心で、友人の知り合いの女性などを次から次へとモティに紹介する。

しかし、モティは結婚相手は好きな人とがいいと思っていた。大学の講義でたまたま見かけた同級生のローラのことが気にいっていた。ところがローラはシクサ(非ユダヤ人)であり、親が許すはずがなかった。母ジュディットは息子の態度に腹を立てた。

ジュディットはまた新たにユダヤ人のミハルという女性をモティに紹介する。話してみると、ミハルもシダッハにうんざりしていた。

f:id:fpd:20201231215518j:plain ミハル(右)

母親たちがうるさいので、ミハルとうまくいっているフリをして、母親たちをおとなしくさせる作戦決行しようする。ベンチで二人で会話をしているのを、母親たちは遠くから眺めて、安心する。

ユダヤ人はユダヤ人の店に行くというルールを破って、モティはユダヤ人らしくない洗練された眼鏡を買い、ひげをさっぱりとそり落として大学へ行く。

大学では、モティには気になる女の子がいた。同じクラスのローラだ。

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            ローラ(右)
ローラは陽気で自由奔放な性格で、モティは強く惹きつけられた。だが、ローラには大きな問題があった。彼女はユダヤ人ではないのだ。あの母親が絶対に許すわけがない。ローラがモティの隣に座り、会話を交わすことができるようになったのだ。

ローラはイディッシュ語に興味があり、教えてほしいとモティを飲みに誘う。ユダヤ教では、シクサと飲みに行くなどはありえないこと。ローラはフラミンゴというクラブでアルバイトをしているいう。モティはそのクラブを訪れ、ローラと携帯の番号を交換することができた。

一緒に自転車でサイクリングもした。自転車で、ローラのあとを追いかけるが、ローラのお尻が目に入った。

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あとで、食事の時にローラが「私のお尻見たでしょ」とストレートに突然言ってきた。屈託のない性格。モティは否定しなかった。モティは、母親の大きな尻など、大きさによって「尻」の名称を変えていたのだ(笑)。

モティがヒゲをそったことが家族の食事で話題となり「だれだっけ、あの映画監督は」「ウディ・アレン!」といった会話がある。

一方、モティが「ミハルを気に入った」と言ってからはジュディットは大喜び。家族全員の食事会のときに、ミハルとの結婚式の日取りをまで勝手に決めてしまったというのだ。

モティは怒って「ミハルとは結婚するフリをしただけで絶対に結婚しない」と宣言。ジュディットはショックのあまり気絶してしまう。

そして後日、モティと両親はラビの助言をもらいに向かう。ラビの助言は「イスラエルに行って恋に落ちること」だった。その助言通りにモティはイスラエルへと向かい、モティはヤエルという女性と出会い、飲みに誘われる。そこで、一夜を共にしたモティは、恋愛に”目覚めて”しまう。

家に帰って来て、現地(イスラエル)の話をモティが母親にすると、母親は「イスラエルの女は、尻軽女の売春婦だ」とショックを受け、売春婦を紹介するために息子をイスラエルに送ったラビに対して、怒りが収まらず「ラビを代える」といってまたもや気絶。

モティは、この旅で自信がつき、旅に帰ってきてからはユダヤの帽子を投げ捨てるのだった。

・・・

ローラがモティに好意を抱きつつも、将来を考えると「背負うものが大きすぎる」といって別れを持ちだすのもわかる。ユダヤ人コミュニティの姿は興味深いものがある。束縛から逃れたいというモティの心境がよく描かれている。

 

作品名「モティの目覚め」(原題:THE AWAKENING OF MOTTI WOLKENBRUCH)
監督:マイケル・ステイナー
キャスト:

インゲ・マックス、ノエミ・シュミット、ジョエル・バズマン、ズニー・メレス
上映時間:94分
製作国:スイス(2018年)