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★第93回キネマ旬報ベスト・テン第1位映画鑑賞会と授賞式③

第93回キネマ旬報ベスト・テン第1位映画鑑賞会と授賞式は、2本の映画上映(「グリーンブック」「i ー新聞記者ドキュメントー」のあと開催された。

キネマ旬報の星野晃志社長がキネマ旬報の歴史などを説明したあと、「映画感想文コンクール2019全国グランプリ表彰式」が行われ、小学生低学年の部、高学年の部、中学生など計4人(全て女子)が表彰された。

下級生から上級生までの4人の背の高さが「サウンド・オブ・ミュージック」の子供たちのように見事に右肩上がりに並んだのが絶妙で、司会者の襟川クロも感心していた。受賞者それぞれが、映画への思いを語った。

ビデオ屋さん大賞2019」表彰式では、ビデオレンタル店スタッフなどの投票で2019年の大賞が「ボヘミアン・ラプソディ」に決まった。ロビーには授賞のボードが飾られていた。

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ベスト・テン1位となった「火口のふたり」を監督した荒井晴彦監督のスピーチがユーモアがあって面白かった。荒井監督は「これまでのキネマ旬報のランキングでは、過去に脚本として参加した作品が2位・3位・4位だったりと、なかなか1位になれなかった。今回まさかと思ったが、低予算でR18の裸の映画が1位でいいんでしょうか」と笑わせた。

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荒井監督は、脚本家として、1980年には「赫い髪の女」「神様のくれた赤ん坊」「ワニ分署」で第3回優秀脚本賞を受賞。1982年に「遠雷」で第3回ヨコハマ映画祭脚本賞、1983年「遠雷」「嗚呼!おんなたちの猥歌」で、第5回日本アカデミー賞脚本賞を授賞。1984年に「Wの悲劇」で第58回キネマ旬報脚本賞を受賞した。

この他、2003年「ヴァイブレータ」で、第77回キネマ旬報脚本賞。2011年「大鹿村騒動記」で、第85回キネマ旬報脚本賞第35回日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。2014年「共喰い」で第87回キネマ旬報脚本賞を受賞している。

外国映画で1位となった「ジョーカー」は、ワーナーブラザースの日本の関係者が、アカデミー賞ホアキン・フェニックスが主演男優賞を獲得、日本でも340万人以上が鑑賞したと語った。

半世界」で日本映画脚本賞読者選出日本映画監督賞のW受賞となった阪本順治監督は「脚本を書くときに、主演俳優を頭に置いて書く」という。司会者から「好きな監督はいますか」と質問されると、「野村克也監督ですね」と珍回答をして会場をどよめかせた。ちょうど野村元監督の訃報が伝えられたあとだった。

文化映画ベスト・テン第1位となった「i ー新聞記者ドキュメントー」の森達也監督は、会場に入るときに、周りに機動隊がいたので帰ろうかと思ったと笑わせた。「A」(1997)など一人で作品を撮り始めたが、今回のように、多くのスタッフが関わるようになったという。次はドラマを考えているということだったが、司会者が内容の一部をという問いには、明言を避けた。

「ひとよ」「凪待ち」「麻雀放浪記2020」で日本映画監督賞を受賞した白石和彌監督は、(荒井晴彦監督がスピーチで、後ろにいる監督から演出を教えてもらわないと…と語っていたことを受けて)「演出を教えることはないです」(笑)と返していた。「麻雀放浪記2020」は「ワースト3位」に入っていたと語っていた。

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宮本から君へ」で主演男優賞を受賞した池松壮亮は「もっとなんとか映画を先に進めるために、見てくださる方々の日々の生活を少しでも豊かに、小さな光を与えられるよう、これから10年日々精進していきたいと思」とコメント。「きょうはトロフィーを抱きしめて寝ると思います」と語った。「DVDやブルーレイの制作プロセスなどで課題がある」など、問題が山積していると語った。

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火口のふたり」で主演女優賞を獲得した瀧内公美(たきうちくみ)は「今年で創刊101年になるこのキネマ旬報で主演女優賞をいただけるということが本当に光栄です。とてもうれしいです。ありがとうございます」と切り出すと「この『火口のふたり』という作品は、わたしが今までお世話になった事務所を退所して、フリーになった時に森重(晃)プロデューサーに声をかけていただいて。そこから始まったんです」と出演の経緯を述懐。荒井監督からは、絡みのシーンなど、足を上げて伸ばしてなど細かい指示を頂いたと演技について答えていた。

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 (つづく)