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映画「トゥルー・ストーリー」(原題:True Story, 2015,日本未公開)を見た。

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トゥルー・ストーリー」(原題:True Story, 2015,日本未公開)を見た。ブラッド・ピットが製作総指揮、出演が「マネー・ボール」のジョナ・ヒル、「スパイダーマン」シリーズや「ミルク」のジェームズ・フランコ、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」で主役を演じたフェリシティ・ジョーンズ共演の実話に基づいた社会派サスペンス。

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冒頭、開いたボストンバッグのような中に眠ったように体を曲げて横たわる幼い子供の真上に、テディベアの人形が落ちていく。この映像が最後に登場し、謎が明かされる。

NYタイムズの敏腕記者だったマイケル・フィンケル(ジョナ・ヒル)は、アフリカ取材で書き上げた子供の奴隷労役に関する記事の写真が表紙を飾った。「賞をもらえるかも」とマイケルは上機嫌。しかしその記事の内容を一部ねつ造していたことが発覚。捏造というのは、複数の子供を取材したが、インパクトを与えるために、全ての聞き取り内容を一人の人物に仕立て上げたということだった。

このことで幹部に呼び出され、信用を失墜させたとしてマイケルは解雇されるのだった。

同じ頃、メキシコでフィンケルの名を語っていた凶悪犯罪者クリスティアン・ロンゴ(ジェームズ・フランコ)が捕まる。フィンケルが書く記事のファンだったロンゴは逃亡中にフィンケルの振りをしていたのだった。

仕事を失ったフィンケルはその事実を知るとすぐにロンゴの取材を開始。やがてロンゴはフィンケルだけに事件の真相を語り出すのだった。

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一家惨殺犯の冤罪事件を描くとなれば地に落ちたジャーナリストとしての評判も回復できると、フィンケルはロンゴと接見を重ねる。

やがてフィンケルはロンゴのなかに自分のなかで抑圧されていた本心を垣間見る。そして信頼できない「真実」を巡っての葛藤がはじまる。

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フィンケルとロンゴの会話がスリリング。記者と容疑者、取材者と取材対象の関係だが、それを超えた心理的な駆け引き、心の揺らぎ、焦り、思惑などが交錯する。この2人の会話は「天国と地獄」のラストシーンにも一部通じる。

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「二重否定(Double Negative)」という言葉もキーワードになっている。法廷シーンもある犯罪ドラマでもあり、真実と報道の狭間で揺れるジャーナリストの苦悩と葛藤の物語でもある。実話に基づく「真実の物語」として出版されることになる。