「ロニー・チェンのアメリカをぶっ壊す」(原題:Ronny Chieng: Asian Comedian Destroys America、2019)を見た。スタンドアップ・コメディアンであるロニー・チェンのトークを1時間3分にまとめた映画。スタンドアップ・コメディは、小さい劇場やバーなどで、一人でマシンガンのように痛烈な皮肉や自虐ネタなどを語るコメディで、日本の「ボケ」と「ツッコミ」が入る漫才とは異なる。
アメリカの政治風刺テレビ番組「ザ・デイリー・ショー」などで知られるマレーシア出身のコメディアン、ロニー・チェンが、アメリカの理解できないあれこれを笑いに変えるスタンドアップスペシャル。
とにかくアメリカを、一つ一つ例に挙げ「サイテー」と痛快にこき下ろす。ニューヨークの地下鉄はサイテー、ロサンゼルスの交通網はサイテー、〇Xはサイテー、▲〇はサイテー、そしてNetflixは…はとしばらく沈黙し、「Netflixは例外。これはいい」(この映画がNetflixであることから、持ち上げる)というと会場は爆笑。
一方で、アジア人、特に中国人が子供を医者にしたいという動機で「人助け」は最下位で、病人などはあっちへ行け!とばかりにトップは「お金と名誉」であり、中華圏の旧正月の挨拶は「お互いに金持ちになろう」が新年の挨拶と言って笑わせる。
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アメリカは、中国語では「美国」と書く美しい国(Beautiful Country)だが、中国は「真ん中の国」という。アメリカの人種構成でアジア人はわずか5.6%。もっと増えたほうがいい。なぜなら、白人と黒人の争いでレフリーの役割を果たせるから。白人と黒人で喧嘩をしていたら、警察を呼ぶ前にアジア人を呼べ。どちらにも偏見もなく”関心もない”から。
アメリカの議会で解決できない様々なことをアジア人の大統領が誕生すれば、1週間で解決するという。アジア人は休みなく働く。感謝祭(サンクスギビングデー)は関係ない。(アジア人への投票に関して)ユダヤ人は間違いない。クリスマスにも働く(クリスマスはキリスト教のイベント)。イタリア人も中国人と同様、しつけで子供を殴る文化で共通だ。黒人は、非白人で。ラテン・インディアン(先住民)系も、食文化へのこだわりと、子供を殴る文化で一致などで笑わせる。
日本に対する言及も面白かった。シンガポールで子供時代に教育を受けたが、日本人は、戦争中アジア各国を侵略し非道なことをしてきたと教え込まれてきた。日本を訪問する時に、心配していたが、日本人が何処へ行ってもお辞儀をして親切なのに驚いた。”ワン・ジェネレーション”でこれえほど変わるのかと。
一番の驚きは、トイレのウォシュレットだ。どこかでカメラでも操作しているのか、お尻のその場所に見事に命中すると笑わせる。
英国人は、かつて世界を席巻した大英帝国というプライドが今もある。15,6世紀ごろの歴史から、その後の数百年の敗北の歴史は一切教わらずに、15世紀から一気にビートルズの時代に飛んでしまう教育だという(笑)。
■予告編: