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映画「ラン・ローラ・ラン」(原題:英: Run Lola Run、ドイツ)を見た。物語が3通り。

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映画「ラン・ローラ・ラン」(原題:独: Lola rennt、英: Run Lola Run)を見た。

ドイツ語の原題「ローラが走る」英語の原題も「走れ、ローラ、走れ」とあるように、主人公の女性ローラが、マラソン選手のようによく走る。
 
イムリミットの20分間をめぐって、主人公が走るのだが、様々なことが起こって、まだ20分以内?というツッコミどころはあるが、テクノポップな音楽、赤毛の女性の走るスタイル、プロットの構成など、20年前の映画だが、実験的で斬新なところがある。
 
スライディング・ドア」という映画があったが、主人公が電車に間に合わなかった場合と間に合った場合と二通りのその後の成り行きが描かれていた。「ラン・ローラ・ラン」は、なんと3通りのストーリーが描かれるのだ。
 
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ベルリン。午前11:40ローラの家の電話が鳴る。裏金の運び屋をしている恋人マニからの電話だ。その声は、必死に助けを求めるもので「ローラ、助けてくれ!ボスの10万マルクを失くした、12時までに金を作らないと殺される・・・というものだった。恋人のマニの窮状を救うため、20分で10万マルクを用意しなければいけなくなったローラ。
 
時間はわずか20分。ローラは受話器をを投げ出し、マニの命を救うため、どうしたものかと考えた挙句、疎遠になっていて頼みたくはなかったが、会社の重役の父親に、金を用立ててもらうために、飛び出した。走れ、ローラ、走れ。
 
待ち合わせに遅れたローラを電話口で怒るマニ。
ローラはバイクを盗まれたので、タクシーで待ち合わせ場所に向かったが、タクシーが別の場所に行ってしまい、家に戻ったところだった。マニは”運び屋”だった。
 
いつも、ローラがバイクで来て、ただそれに乗るのだけだったが、その時は地下鉄を使い、お金の袋を電車の中に置き忘れてしまったのだった(同じ車両にいた浮浪者が持って行ったとみられる。マニは電車の扉が閉まってからその浮浪者をの顔を見ている)。金額にして10万マルク(日本円で620万)。
 
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トラブルが起きたら愛の力で助けると言ったではないかとマニは電話口でローラを責めた。ボスとの約束は20分後の12時それまでに10万マルクを何とか作って持って行くと返すローラに、マニは電話ボックスから見えるスーパーを襲えばその金額くらいあるだろうと言いだした。必死に止めるローラの頭に色々な人の顔が過ぎる。そして、会社の重役である父に頼もうと決心し、走り出したのだった・・・
 
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父親の仕事場まで走るローラは、乳母車を押す夫人自転車に乗る男など色々な人とすれ違い、そのたびに彼らの未来が早送りで展開される。そして、マニが置き忘れた袋を持った浮浪者やこれから父と会う約束のあるマイヤーともすれ違った。
 
ローラは走った。父親のオフィスでは、父親は不倫相手と、今後の関係について話し合っていた。恋人のために10万マルクを用立てるように頼むローラを父親は家に帰って寝ろとあしらい、自分は他の女性と子供と暮らす、仕事人間だと責めるくせにお金だけは当てされるのは御免だと言い放った
 
そしてローラは義理の娘で本当の父親は死んだと追い討ちをかけた。約束の時間まであと数分、再び走り出すローラ。途中、救急車とすれ違う。そして、マニがスーパーに入ろうするのが見え、呼びかけたが聞こえなかった。
 
マニはスーパーで発砲し、警備員に追い詰められるもローラが助けに入り、マニはレジからお金を抜いていった。スーパーを出て二人で走り出したが、通報を受けた警察に囲まれ、警官の誤射によってローラは胸を打ち抜かれて倒れた。
 
しかし、物語はこれで終わらない。
ベッドで愛してる?とマニに聞くローラは彼の本心が知りたかった。問答の末、いや、別れない、と、走馬灯から現実に戻ったローラは、家から走り出す所からやり直す。
 
階段で犬を飼っている男に足を引っ掛けられる。すると、ローラが家を出るタイミングがずれ、すれ違う人の運命も変わっていく。そして、マニの忘れた袋を持つ浮浪者とぶつかった。
 
そして、物語は別のストーリーで展開していく。
繰り返し家を出るローラの3度目のストーリー。再びベッドの上の光景。マニはローラにもし自分が死んだらどうするか尋ねた。彼女は死なさないと返すが、彼は灰を海に撒いてくれと頼み、自分が死んだ後、きっとローラは自分を忘れ他の男と一緒になるだろうと考えた。
 
そして、マニの死を覆すべく、時間はローラがアパートを飛び出すところから始まる。ローラは犬を飛び越え、声を掛けてきた自転車乗りはそのまま浮浪者のいるカフェに入り、彼に自転車を売りつけた。
 
公衆電話から自転車に乗った浮浪者が見えたので、その男を追った。浮気相手との話を切り上げマイヤーの車に乗り込んだ父親は途中でローラに会ったという話をいた後、事故をおこし、事の発端のローラのバイクを盗んだ男も巻き込まれた。
 
父親にも無心できず走り続けるローラはダンプに引かれそうになったところ、立ち止まると目の前にカジノ発見し、ドレスコードを無視して100マルクのチップを買いルーレットに参加。全額を20番に賭けうと的中。つぢて勝ったチップをすべて再び「20」に置くと、ルーレットのボール球は20に落ちた。すぐに換金した。
 
時計を見ると、運命の12時まで、後3分だった。一方、浮浪者の自転車を追うマニはお金を返す見返りに銃を要求され、銃とお金を交換した。
 
ローラが救急車の後ろに飛び込むとそこには、父親の会社の警備員が心臓マッサージをされていた。彼の手を取ると、心臓が動き始め、救急隊員はホッとして、スーパーの前でローラを下ろした。
 
しかしそこにはマニがいない。不安げに待っていると上役の車に乗せられたマニがやってきて、彼を待っていたローラにキスをしてねぎらった。マニはローラにたくさん走った?その袋はなにと訪ねたがローラは答えず微笑んだ。
 
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”運び屋”の映画としては、ジェイソン・ステイサムの「トランスポーター」シリーズや、最近のクリント・イーストウッドの主演映画、タイトルもズバリ「運び屋」がある。ギャングなどの犯罪者を車に乗せて逃がす”運び屋”は「ドライヴ」だった。
 
ラン・ローラ・ラン」は、1999年サンダンス映画祭ワールドシネマ観客賞受賞。
ベルリンを駆け抜けるローラを、テクノポップにのせて3パターンのストーリーで描く。ゲームのように、上手くいかなかったら初めからやり直すというストーリー仕立て。
 
同じ時間を何度も繰り返すリフレイン・プレイヤーを描いたとの見方もあるが、このリフレインに関する理論的な説明は一切ない。また、アニメなど様々な映像手法が使われている。
 
主な出演者:
ローラの父親 :ヘルベルト・クナウプ
ユッタ・ハンゼン:ニーナ・ペトリ
警備員:アーミン・ローデ
ホームレス: ヨアヒム・クロール
マイヤー :ルドガー・ピストール
 
 
この映画で主演のフランカ・ポテンテは世界的に知られるようになった。その後、「ボーン・アイデンティティー」ではマット・デイモン演じる主人公の恋人役に抜擢された。 2007年にはエリック・バナと共演したオーストラリア映画「ディア マイ ファーザー」、2008年にはスティーヴン・ソダーバーグ監督、ベニチオ・デル・トロ主演の「チェ 28歳の革命/39歳 別れの手紙」に出演。
 
モーリッツ・ブライプトロイは、のちに「ミュンヘン」「ゲーテの恋 〜君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」〜」などに出演している。