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<span itemprop="headline">映画「抱擁のかけら」(2009)</span>



見逃していた作品の1本、スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督抱擁のかけら2009)を見た。この2,3年でアルモドバル監督の作品を見たのは「人生スイッチ」「私が、生きる肌」「アイ・アム・ソー・エキサイテッド」などだが、個人的好みでは「ボルベール<帰郷>」がベストか。

一筋縄ではいかないのがアルモドバル監督の作品。
時に愛と狂気だったり、不運に見舞われたり、騒動だったり、意表を突くコメディだったりと様々。またブラック・ユーモア、光沢のある色彩を使用するのが特徴のようだ。

人間の欲望や情熱、嫉妬や裏切り、執着と暴力複雑な人間関係、家族や個人のアイデンティティといった問題をテーマとしている。
 
抱擁のかけら」というタイトルがわかりにくいがラストシーンである程度納得する。ある出来事で本名と視力を失った脚本家ハリー・ケイン(ルイス・オマール)が生きる現代2008年)と、ハリーが映画監督であった過去1994年)が交錯しながら描かれる。
 


(簡単なあらすじ)14年前、ハリーはコメディ映画謎の鞄と女たちの撮影を通じてレナ(ペネロペ・クルス)と出会う。二人は激しい恋にちるが、レナは実業家エルネスト・マルテル(ホセ・ルイス・ゴメスの愛人だった。エルネストは映画への出資を申し出る一方、息子を撮影現場に送り込んで二人をビデオで撮らせ挙動を監視する。エルネストの束縛から逃れるためマドリードからカナリア諸島のランサロテ島へ逃げるハリーとレナだったが、ある事件が二人を襲う…といったストーリー
 
・・・
2008年、マドリード。脚本家のハリー・ケイン(ルイス・オマール)はかつて映画監督だったが、14年前のある事件をきっかけに視力を失った。そして本名のマテオ・ブランコから名前を変えて生きている。
 
事情を知るエージェントのジュディット・ガルシア(ブランカポルティージョ)と彼女の息子・ディエゴ(タマル・ノヴァス)が、ハリーの生活や仕事を手助けしている。ある日、ライ・X(ルーベン・オカンディアノ)という男が自分の監督作の脚本をハリーに依頼する。
 
内容が“父の記憶に復讐する息子の物語”と聞き、ハリーは自分向きではないと断る。しかしそのとき、ハリーはその男が実業家エルネスト・マルテル(ホセ・ルイス・ゴメス)の息子であることを思い出していた。
 
ハリーの過去に興味を持つディエゴに求められ、ハリーはマテオ時代のことを話し始める。1994年、新進監督だったマテオはコメディ映画を撮ろうとしていた。エルネストの愛人だったレナ(ペネロペ・クルス)は一度諦めた女優になる夢を追いかけるため、オーディションに申し込む。
 
マテオは彼女を一目見るなり心を奪われ、映画の主役に抜擢する。
レナのマテオの才能に惹かれ、2人は恋に落ちる。



映画へ出資しプロデューサーとなったエルネストは、息子のエルネストJr.をメイキングの撮影という建前で撮影現場に送り込むが、実際はレナの監視が目的だった。しかしマテオとレナの激しい愛は、もはや隠すことができなかった。撮影を終えたマテオとレナは、カナリア諸島のランサロテ島へ旅立つ。
 
そのころマドリードでは、マテオが製作を中断した映画が完成したという広告や、プレミア上映での酷評記事が出ていた。マテオが状況を調べるため戻ろうとした前日、マテオとレナを引き裂く事故が起こる。
 
2人が滞在した部屋のゴミ箱には、破られた抱き合う2人の写真が大量に捨ててあった。2008年、ハリーはライ・Xを訪ね、事故の夜のマテオとレナを撮影したフィルムを受け取る。
 

                  時にはオードリーのような・・・。

                   時にはモンローのような・・・。

過去パートに登場するレナを演じるペネロペ・クルスの美貌が光る。
オードリー・ヘプバーンのような瞳と、時にはソフィア・ローレンのような逞しさが同居する。レナとハリーをめぐる三角関係劇的だが、映画の導入部からして衝撃なシーンから始まる。物語は盲目のハリーが、コールガールのブロンド美人を上手く部屋に連れ込み…で、コトが終わったころ、部屋に平然として別の女性がやってくる。彼女は古くからハリーのエージェントを務めるジュディット(ブランカポルティージョ)。一人息子ディエゴを育てるシングルマザー。
 
うん、何、この展開は…?だが、このジュディットとハリーの関係なども後から分かる。謎めいた「愛というらしい(笑)。そんな秘密も、最後に明かされるのだが・・・。
 
ブランカポルティージョという女優は見たことがあると思ったら、前作ボルベール<帰郷>2006)で脇役ながら重要な役を演じていた。脱線するがこの「ボルベール」のペネロペ・クルス魅力は群を抜く。


 
抱擁のかけら」は、三角関係だけではなく、映画の製作の裏側の物語も描いている。監督と脚本家、エージェントと俳優、出資者などが登場し、撮影現場で物語は展開するのだ
 
過去の名作に対するオマージュも見られる。
ハリーが、ビデオテープをジュディットの息子・ディエゴに探させるシーンで、ビデオの棚に収まっている作品には、フェリーニの「8 1/2」などの名作のタイトルがずらりだった。
 
ハリーとジュディット、ディエゴがレストランで食事をするシーンなどは印象的。道路に面したガラスの脇のテーブルに3人が座る姿をカメラが外から映すのだが、ガラスには道路を行き交う車のライトがいくつも映り込む。店内の姿と、背景の道路を同時に映し出している。
 
また、ふたりの人物の会話のシーンなどで、カメラがゆっくりと左右に話しての方向へ移動するのも特徴なのか。
 
ペネロペ・クルスは、トップレスで登場するくらいは慣れっこの大物感がある(笑)。
抜群のスタイルの良さは「NINE」でも実証済みだ。

面白さの”かけら”くらいはあったのだが、やや話を2時間以上も引っ張っているのが気にある。2度くらい見ると、もっとわかりやすく、深みも理解できるかも知れない。

☆☆☆


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