「Seventh Code セブンス・コード」(2013)を見た。
この映画はもともと前田敦子の4枚目のシングル「セブンスコード」のミュージックビデオ(MV)として企画がスタート。前田敦子扮するヒロインの謎めいた人物設定やサスペンス仕立ての物語が膨み、作品時間は60分を超え、従来のMVの概念を大きくはみ出す異色の中編として誕生。第8回ローマ国際映画祭に出品されて監督賞と技術貢献賞を受賞。
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2013年、ロシア・ウラジオストク。
日本人観光客のような女性が一人、スーツケースをガラガラと引っ張って、青い車を追いかける。車の主に追いつくと、男は松永といい、女性は以前に六本木で食事を一度だけグループでご馳走になったと告げる。松永は、ほとんど覚えていなかったが、異国の地では、親切に話しかけてきたり食事をご馳走するという男には気をつけたほうがいいとアドバイスをする。
「日本人だからいいけど、外国人には注意しろ。愛想よく近づいてくる男には・・・」
松永の車を先回りして追う斉藤と秋子
秋子は松永を再び見つけ、行く場所がないというと、松永は秋子を豪奢な自宅に招く。赤味がかったオレンジ色の巨大なカーテンが帆のように風をはらんで膨らむ、その広壮で瀟洒(しょうしゃ)な2階建ての豪邸。ただ、がらんとした廃墟感が漂う空間はいかにも黒沢ワールド。
松永は秋子を邸に招じ入れた直後、アジトを知ってしまった秋子を始末するよう、ある組織の密命を受ける。
松永は電話に対応し階下に降り、仲間のロシア人女と言葉を交わしたのち、2階の客間に戻ってくる。が、そこに秋子の姿はない。松永は訝(いぶか)しげな面持ちで、客間→居間→寝室と画面奥へと移動してゆく(松永の見た目の主観ショットが探査機のようにスリリングに挿入される)。
二つの扉をくぐり抜ける秋子と松永の、そして、松永をフォローするカメラ自体のほぼ直線状の奥へのゆるやかな動きによって、画面には息苦しいほどのサスペンスがみなぎる。ここで秋子がフレーム・アウトして姿を消し、カメラが松永の視点となって秋子を追うという展開がサスペンスフルだ。
そして、驚愕の“大逆転”が起こる!
秋子は寝室で、松永(カメラ方向)に背を向けてベッドに腰かけているが、背後に松永が迫ると、振り向いて彼をじっと見つめたのち、豹変したような素早さで彼の手首をつかみ、彼を投げ飛ばす。
松永が起き上がると、秋子は彼の顔面や腹に続けざまにパンチ、肘撃ち、前蹴り、回し蹴りを連打する。劣勢に立った松永は、拳銃を撃って反撃するも失敗、扉の陰に隠れていた秋子に逆襲される。
秋子は松永をヘッドロックしたあと、彼の正面に跳びつき、片足を彼の脇の下に、もう片足を彼の首に巻きつけ、彼にぶら下がるような格好になる。
そのポジションから秋子は松永を手前に引き倒し、彼の下に潜りこみ、関節技・腕ひしぎ十字固めで彼の腕と首を絞め上げ、彼を気絶させる。
そして、うつ伏せになって倒れている松永の後頭部に、クッションをかぶせ、その上から垂直に押しあてた拳銃の引き金を引く。
間髪を入れず秋子は、部屋の金庫を開け、核爆弾の部品クライトロンを手に入れる。一連のアクション・シーン、“反転”攻撃によって、われわれは秋子がフリーの腕利きエージェントだったことを知る・・・。
登場人物の背景などは省略されていて、後半の二点三点の展開には驚かされるが、とくにラストシーンは、呆気にとられるほど余韻を残すシーン。それは見てのお楽しみ。
予告編
★★
★個人的ベスト3映画:
1位:「イニシエーション・ラブ」(80年代の懐メロとラストのどんでん返し)
3位:「苦役列車」 (出番は少ないが、味わいあり)。
■出演作品:
「あしたの私のつくり方」(2007) ★★
「伝染歌」(2007)
「那須少年記」(2008)
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(2011) ★★
「苦役列車(2012)☆☆☆
「クロユリ団地(2013)
「もらとりあむタマ子(2013)☆☆☆☆
「Seventh Code セブンス・コード」(2014)★★
「エイトレンジャー2」(2014)
「さよなら歌舞伎町」(2015)★★
「イニシエーション・ラブ」(2015)☆☆☆☆
「モヒカン故郷に帰る」(2016)
「シン・ゴジラ」(2016) ☆☆☆
「武曲 MUKOKU」(2017)
「散歩する侵略者」(2017)
「探偵はBARにいる3」(2017)
「素敵なダイナマイトスキャンダル」(2018)
「のみとり侍」(2018年5月18日公開予定)
「食べる女」(2018年9月公開予定)
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