the Mood for Love、2000)を見た。
ウォン・カーワイの1960年代シリーズ3部作(「欲望の翼」「花様年華」「2046」)の2作目。1960年代の香港を舞台にした本作は、日本製の電子炊飯器が珍しいなど、当時の香港の時代背景もよく現れている。この作品を見る前に「2046」は見ていた。
トニー・レオンがカンヌ国際映画祭・男優賞を受賞。その他、モントリオール映画祭最優秀作品賞、香港電影金像奨最優秀主演男優賞(トニー・レオン)・最優秀主演女優賞(マギー・チャン)、金馬奨最優秀主演女優賞(マギー・チャン)、ヨーロッパ映画賞最優秀非ヨーロッパ映画賞、2001年セザール賞外国語作品賞など多数受賞。
・・・
1962 年、香港。新聞社に勤めるチャウ(トニー・レオン)はアパートに妻と共に引っ越してくる。すると同じ日に隣の部屋には女性・チャン(マギー・チャン)が引っ越してきた。チャンには夫がいるが出張中でその場にはいない。
チャン夫人の夫はどうやら仕事が出来るらしく、海外出張(日本)に行ったっきり、ほとんど帰らない。同じく夜勤続きでなかなか帰ってこないチャウの奥さん。
二人はそれぞれの部屋で一人でいることが多く、やがて会話を交わすようになり、次第に親しくなっていく。やがて、二人は互いの伴侶が不倫関係にあることに気付き、秘密の時間を共有していく・・・。
そして、ある日レストランで、食事をするチャウとチャン。
チャウは新聞社に勤めているが、作家を目指していて、その手伝いをチャンに頼むようになる。二人で共同執筆をし、次第に書いたものが売れていく。
そしてお互いの妻と夫が不倫の関係にあることを疑い出す。
そして二人は惹かれあうようになるが、お互いに配偶者があるため、チャンも「一線は守りたい」という。チャウは苦悩から逃れるために、シンガポールへと引っ越す決断をする。そして雨の中、切ない別れとなる。
それでもチャウは諦めきれずにチャンに対し、よかったらついてきてほしいと言い残すが、彼女は行かなかった。
そして1年後彼女はチャウを訪ねて、シンガポールへ行き、チャウのアパートで待つが、会わずに帰る。灰皿のタバコに口紅が残っていたことでチャウはチャンがいたことを知る。
それから3年後、チャンが以前住んでいた香港のアパートを訪ねる。
大家にまだ部屋は空いてると聞き、再び住むことにする。
同じころチャウも香港に戻り、知人を訪ねるためにアパートを訪れるが、知人はすでに引っ越しておらず、大家に会い、隣は今誰が住んでいるかと訊ねると、今は母親とその息子だと答える。そしてチャウはアパーとを去る。
そのあとチャンが子供の手を引いて部屋から出てくる。
チャウは遺跡の柱の穴に向かい口をつけ何かを呟く。そして穴の後には草が埋め込まれていた。それを少年の僧侶が高みからじっと見つめている。そして遺跡の廊下の定点カメラの長まわしショットで映画は終わる。
チャンの連れていた子供は誰の子か。言葉が少ない映画で、画面から想像するしかない。雨でずぶ濡れになるシーンや階段でのすれ違いのシーンなどが何度か出てくる。最後のアンコールワットのシーン。
その前の友人との酒場での会話に「秘密を守るにはどうしたらいい」という話の時に「木の穴に言葉で伝え、それを土で埋めてしまえばいい」と答えている。二人は「一線を超えない」と言っていたが、幼い子供が実は二人の子供だったとしたら・・・。
映像から想像する面白さや美しさが飽きさせない。
音楽が素晴らしい。言葉では説明できないが、切ない音楽が♪ブンチャッチャ・ブンチャッチャ♪というメインテーマが哀愁を漂よわせる。さらにナット・キング・コールの曲、♪キサス・キサス・キサス♪などが流れる。
チャンが着ていたチャイナドレスは、同じ香港を舞台にした映画「慕情」のジェニファー・ジョーンズを彷彿とさせる。
ちなみに「花様年華」とは1940年代に中国で流行った歌「花様的年華」からきている。その意味は「満開の女性の美しさを表している、人生で最も輝かしい瞬間」という。映画ではこの曲がLPレコードから流れてくる。
抑えた純粋ラブストーリーでドロドロ劇は一切ない。
時代が時代だけに、同じアパートの隣人であり、外で逢っても一緒に帰宅することで噂されるのを嫌い、別々に帰る。大家さんのおばさんからは、チャンは、誤解されるような行動は慎んだほうがいいとアドバイスされていた。雰囲気(=ムード)のある静かな味わい深い映画だった。
監督:ウォン・カーウァイ
脚本:ウォン・カーウァイ
プロデューサー:ウォン・カーウァイ
時間:96分
日本公開:2001年3月31日
セリフなしの予告編
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