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<span itemprop="headline">映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(2000)</span>



ダンサー・イン・ザ・ダーク」(原題:Dancer in the Dark2000を見た。想像していたミュージカルとは違ってかなり重い映画だった。デンマーク映画。2時間21分。

”暗闇の中のダンサー”というのは、失明してしまう主人公が不遇な環境の中で、空想で明るく踊る、といった意味だ。

会話の主の方にカメラが左右に動く手持ち撮影中心のカメラワークやセピア調のような色合いの画面展開が印象的だ。

2000年の第53回カンヌ国際映画祭では最高賞パルム・ドールを受賞
アイスランドの人気女性歌手ビョークは映画主演2作目で主演女優賞を獲得。
音楽もビョークが担当トム・ヨークレディオヘッド)とデュエットした主題歌I've seen it allゴールデングローブ賞アカデミー賞の歌曲部門にノミネートされた。

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オープニングの画面は、うす暗いぼやけた画面音楽のみ流れる。盲目の世界を暗示しているものだ。


故郷・チェコからアメリカに渡ってきた若い女性・セルマビョークは、昼間は工場で働きながら、女手ひとつで12歳の息子・ジーンを育てていた。夜は内職もしている

警官のビルデヴィッド・モースとその妻・リンダカーラ・シーモア夫妻の家の敷地内にあるトレーラーハウスを借りて暮らすセルマの暮らしは楽ではない

セルマは遺伝性の目の病気を持っており、現在は弱視で、もうすぐ失明すると言われてい。セルマの目の病気は息子・ジーヴラディカ・コスティックにも遺伝していた。しかし主治医の言葉によると、手術をすれば失明から逃れられ

セルマは表向きは「故郷・チェコにいる父に送金するため」と偽り、息子・ジーンの手術のために、必死で貯金していた。13歳になればジーンは手術でき。貯金も手術の金額に達するところまで、あと少しだった

セルマは仕事を増やしてでも、金を稼ごうとした。
そんなセルマの楽しみは、ミュージカルの舞台で歌いながら踊ることだった。舞台の稽古も必死でおこなっていた。セルマの目の障害を知る周囲の友人は、優しく接してくれ


同じ工場に勤務し、同じ舞台に立つ親友の中年女性・キャシーカトリーヌ・ドヌーブは、常にセルマによりそい、手助けし
 
工場に提出するセルマの健康診断の視力検査の際には、書かれている文字を大きく書いてセルマに暗記させ、検査をパスさせ。眼科医もセルマが暗記したのを知りながら見て見ぬふりをする

セルマは大切な友人・キャシーのことを「クヴァルダ」と呼びかけ。セルマが考える、キャシーの別の名前。隣人にあたるビルとリンダ夫妻は、トレーラーハウスを格安でセルマに貸していた

同じ街に住むジェフピーター・ストーメアという男性はセルマが好きで、積極的にアタックするが、セルマは断。ジェフが嫌いというわけではないが、夫にするならジェフしかいないと思ってい

セルマの最優先課題は「息子・ジーンに手術を受けさせ、失明をまぬかれさせること」で、自分の幸福は二の次だった

舞台稽古ではMy Favorite Thingsを歌いながら踊るが、手渡されるヤカンの位置も分からないほど。大好きなミュージカルの舞台も、そろそろ限界に来ていた。 
 
仕事でも、鉄板の位置が分かりづらく、誤って2枚プレスしそうにな。これはキャシーが気づいて、止めてくれた。

息子のジーンは学校の悪い仲間と付き合おうとするが、セルマは「学校の勉強は大事」と言い聞かせ。12歳のジーンが自転車を欲しが。クラスで持っていないのはジーンだけだった

キャシーやジェフ、ビルとリンダ夫妻がジーンに自転車をプレゼントした。高価なプレゼントは駄目といながら、セルマは喜ぶジーンの姿を見て受け取る。
 
隣家のビルとリンダ夫妻は、一見裕福な暮らしをしているようだった。妻・リンダはよくセルマに「ビルは遺産が入ったから」金持ちだという発言をする

しかしある夜、ビルがリンダにぼや。実は想像以上にリンダが浪費家で、遺産はとうに食い潰してしまっており、銀行が家を差し押さえている状態だった。

セルマはビルを慰め、ビルも弱音を吐いたことを恥じた。
セルマは「私も秘密を言っていい?」と、今年中に失明することと、息子の手術のことを話す。それまで誰にも言わなかったことだった

チェコからアメリカに渡ってきたのは、アメリカでならジーンに手術ができるからだった。セルマは自分が失明するのはショックではない、目の病気が遺伝すると知っていて生んだ息子・ジーンの目は助けたいと考えていた。

父への送金も嘘で、手術の費用ももうすぐ貯まるとビルに告げ。セルマが貯金していることを、ビルは知った

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運命のいたずらというのか。
警官のビルがひどい。セルマがコツコツと貯めたお金を奪ってしまうとは。
しかも、セルマを悪人に仕立ててしまうのだ。ビルに金を返してほしいと告げセルマは、ビルと口論に。
 
ビルは、なんと銃を持ち出してセルマを脅
ビルとセルマは揉み合いになり、ビルに弾が当たった。ビル決意を決めたことは「死んでも自分と妻・リンダを守、そのためにはセルマを悪者に仕立てあげ」と。あまりにも自己チュー。
 
ビルは、1階にいたリンダに通報しろと言って被害者を装い、リンダがいなくなった隙に、セルマに自分を撃てと強要。撃たないと金を渡さないと言われ、セルマは無我夢中で撃

ビルからやっと金を取り戻しセルマは友人・ジェフと待ち合わせしている場所に行。その足で眼科医に手術代を払いに行ったセルマは2056ドルと10セントを渡す。

セルマは、警官に逮捕され裁判では「最も残忍で用意周到に計画していた」「障害を隠れ蓑に周囲を欺いていた」「冷酷無比」と言われ、世間には残忍な行為に映った。セルマに第一級殺人罪として絞首刑が言い渡された。


セルマは絞首台まで踊りながら移動する空想を
する死刑執行の直前、キャシーが息子・ジーンの眼鏡を握らた。これは息子・ジーンが手術を受け、眼鏡が必要でないことを示すものだった。
 
セルマは、未練がなくなり、「最後から2番目の歌を思いながら、死刑執行を受けた。
 
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裁判の厳しさの中で、セルマが空想で踊りだしたり、陪審員も傍聴席の人もみな一斉に動き出したり、というのはミュージカル・ファンは納得だが、ミュージカルが苦手な人には「?」と映るかも知れない。

ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の劇のリハーサルのシーンも多く「私のお気に入り」「すべての山を上れ」などが登場する。
 
ラストシーンは、残酷で悲劇的な結末。裁判をやり直していたら、別の結果になったのでは、これでいいのか、という疑問は残る。大女優カトリーヌ・ドヌーブがこの役柄で出演している必然性もあまり感じられない。

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監督・脚本・カメラオペレーター:ラース・フォン・トリアー
製作:ペーター・オールベック・ヤンセン
音楽:ビョーク
 
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