元旦のきのう、BS日テレ時代劇スペシャル第四弾として「風林火山」(1992年大みそかに放送されたテレビドラマ)が放送されたので見た。戦国時代の乱世、最強軍団といわれた甲州武田軍の中心には希代の軍師・山本勘助がいた。大河ドラマ「風林火山」では、勘助の運命を通して、「生きるとは愛すること」をダイナミックに描いている。
「風林火山」は何度もドラマ化され映画化もされているが、まともに見たことがなかったので、腰を据えてみることにした。第一部「野望編」と第二部「愛憎編」の二部構成。4時間近い(3時間55分)ドラマだった。
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登場人物もそうそうたる役者が演じている。
甲斐の国主、武田晴信(後の信玄)に舘ひろし、その父・信虎に丹波哲郎。重臣の板垣信方に夏八木勲、甘利備前守に中尾彬、高嶋政宏(長尾景虎)。このほか池上季実子(三条夫人)、古手川祐子(由布姫)、大滝秀治(桃首座)、春川ますみ、野川由美子、南田洋子、山城新伍、など。
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第一部「野望編」
世は戦国。武勇と知略で雌雄を決する時代。
山本勘助(里見浩太朗)はいまだに大望を成せず、兵法家を称しながら一介の素浪人に甘んじていた。だが、浪人仲間の青木大膳(平泉成)が持ち出した、甲斐・武田家への仕官の話に興味を覚えた勘助は、策を講じて何とか武田の重臣・板垣信方(夏八木勲)の目にとまることとなる。
折りしも、武田家当主・武田信虎(丹波哲郎)が長男・晴信(舘ひろし)によって駿河に追放された直後。若き晴信は、勘助を厚遇で召抱えた。だが、甘利備前守(中尾彬)をはじめとする家臣一同は、なかなか勘助を認めようとはしなかった。
そうした中で、隣国・信濃諏訪へ侵攻することとなった武田軍は、勘助の一計によって戦闘を回避することに成功。その和睦の席で、敵将・諏訪頼重(横内正)の美しい娘・由布姫(古手川祐子)と出逢ったが、姫から「醜い顔」となじられる。勘助は姫に対し、これまでにない複雑な感情を覚え、狼狽するのだった。
晴信は、信濃経営を念願とし、幾たびか出兵する。
勘助は、吹雪の中をさ迷い歩き、姫を救い出す。
その時、勘助は初めて素直に自らの感情を姫に顕(あらわ)にする。
第二部「愛憎編」
信濃経営を目前としている今、勘助には3つの願い事があった。
そしてもう一つは、晴信の好色な性格を正すことだった。
だが、最後の願い事は、勘助にとっても難題であった。
だが、桶狭間の合戦で今川が敗れ、勝った尾張の織田信長が台頭を始めた頃から、信玄の周囲も風雲急を告げる事態となる。信玄と嫡男・太郎義信との確執の始まり。そして、由布姫の病死。初陣を千秋の思いで待つ勝頼(藤田哲也)の存在。
それぞれの思いの中、第4回の川中島の合戦が始まる。
信玄は、別動隊合流までの間持ちこたえようと檄を飛ばし、鶴翼の陣で上杉に応戦する。いつしか、本陣には信玄ただ一人。静寂の中、謙信が単騎にて信玄の眼前に現れ、襲いかかる。しかし大将同士の凄まじい一騎討ちが繰り広げられている時、勘助は既に戦場の片隅で力尽きていた。勘助の遠のく意識の中に甦るもの、それは由布姫の笑顔であった。
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風林火山(ふうりんかざん)とは、甲斐の戦国大名・武田信玄の旗指物(軍旗)に記されたとされている「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」(疾(はや)きこと風の如く、徐(しず)かなること林の如く、侵掠(しんりゃく)すること火の如く、動かざること山の如し)の通称である。
歌の詩にある「人は石垣、人は城」という言葉がドラマの中でも何回か登場する。「人は石垣、人は城」とは、人は堀、情けは味方、仇は敵なりの意味で、どれだけ城を強固にしても、人の心が離れてしまえば世の中を収めることができない。 熱い情を持って接すれば、強固な城以上に人は国を守ってくれるし、仇を感じるような振る舞いをすれば、いざという時自分を護るどころか裏切られ窮地にたたされるということ。
演じる里見浩太朗が実に味わい深い。山本勘助は、武田二十四将の一人であり、武田の五名臣の一人。武田信玄の伝説的軍師として有名。現代のビジネス社会においても、企業のトップや交渉術の際の戦略として取り入れられることもあるようだ。
戸石城を攻めた武田勢は、城の救援に駈けつけた村上義清の大軍に背後を突かれ、勢いづいた城兵と挟み撃ちにされてしまう。そこで、勘助は信玄に献策し、みずから五十騎の兵を従えて村上軍を挑発にかかった。わずかな手勢から罵声を浴びた村上勢は罠にはまり、勘助の一隊を追いはじめる。
そこへ武田軍本隊が村上勢を追撃にかかり、劣勢を挽回して勝利に導いたのだった。敗れかかった軍を立て直した戦法は「破軍建返し」とよばれ、武田家の家臣が勘助の軍略を認めるようになった。
尾上:宮田圭子
ナレーション:中野誠也
見逃している映画「関ケ原」も見たくなった。
※奇しくもguchさんも、正月早々から長編ドラマ「人間の条件」を見たらしい。
まだ、今年の劇場映画第一号は見ていない。