MOVIXさいたまにて。この映画は、映画館でのみ味わえる大迫力・大爆音映画で、
見るならDVDでなく劇場鑑賞がオススメ。
ノーラン監督のこの作品の狙いは「観客をダンケルクの戦いの中に置き、それを体験させること」だったようだ。その意味では、冒頭から、戦場に放り込まれたような感覚を味わうことができる。
ノーラン監督の作品は、映画の可能性や未来を先取りするような斬新な映像とメッセージが込められている。
「インターステラー」などは、3次元・時空を超えた世界観を描いていたのが印象的だった。この十数年の映画を見ていると、ノーラン監督の存在は、かつてのスティーブン・スピルバーグのような存在になりつつあるのではないかと思える。
「ダンケルク」は戦争映画というよりも、史実に基づいた大救出劇をたんたんと描いている。その点では、リアルさは共通でも「プライベート・ライアン」のような銃撃戦の生々しさはなく、セリフも少なく物語性も極端なくらい少ない。
戦争映画にありがちな、激しい戦闘シーンもないし、物語もないので、その点を期待すると肩透かしとなる。実録の密室・脱出映画ではある。30万余の兵士が助かったという史実を描いている。
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オープニングは、上空から何枚もの小さな紙のチラシが降ってくるなか、数人の兵士がとぼとぼと歩いているシーンで始まる。導入部などは、素晴らしい。
兵士の一人がそれを手に取ると、チラシには「お前たちは包囲されている。降伏せよ」という敵軍ドイツからのメッセージが書いてあった。
うつろな目でそのチラシを眺める兵士たち。喉の渇きを癒すため、建物の脇に打ち捨てられた水道のホースから残り水を飲むのだ。
そんな時、どこからともなく銃で狙撃され、兵士たちは、その場から逃げようとするが、一人、二人と撃たれて死んでいく。 反撃しようと、ライフル銃を使おうとするも、動作不良で、役に立たない。兵隊の走る姿を追うカメラの臨場感のあること!
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ダンケルクからの撤退を援助するためにイギリス空軍からは「スピットファイヤ」と呼ばれる戦闘機が3機向かう。3機のうち2機は撃ち落とされ、残り1機も燃料計が壊れてしまい、燃料が残り少なくなっての戦闘状態になる。
銃弾の飛び交う音はドキリとするくらい迫力がある。
音楽が不安を煽るような大音量で被さり迫ってくる。
ダンケルク海岸を離れるため悪戦苦闘する兵士トミー、海岸のイギリス兵を助けるため民間船「ムーンストーン号」を出港させる船長のドーソン、救出作戦を支援するため戦闘機でダンケルクに向かうパイロットのファリアー。
陸海空にまたがったこの3人は、移動速度が大きく異なっており、時系列をシャッフルしながら、全体を描写して、省けるところは大幅に省き、ダンケルク撤退にまつわる3人分の物語を106分の上映時間内に詰め込んでいるという印象。
個人的好みでは、公開順のようになってしまうが「ダークナイト」>「インセプション」>「インターステラー」>「ダンケルク」か。映画が魅力にかけたのは、主演の若者たちがほとんど無名の俳優であり、演技合戦などの魅力に乏しかったこと。ダイナミックな映像と音響(音楽は、ハンス・ジマー担当)は、文句なくすごい。
ノーラン監督の作品は、野球の投手に例えれば「ノーヒット・ノーラン」級の作品ばかりなので「ダンケルク」も「傑作」「なーんだ、つまらない」の賛否両論があるようだが、気にしないで、劇場鑑賞をオススメ。
予告編
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