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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「青い麦」(1954)

 
 

肉体の悪魔」(
1947)などで知られるクロード・オータン=ララ監督の「青い麦」(1954)を見た。1954年度の「フランスシネマ大賞」を受賞。1920年代のフランスの雰囲気よく出ているといわれるM・ドゥーイの美術R・ルフェーヴルのカメラ(白黒)がしっとりと美しい。”瑞々しい”青春映画。

誰でも一度は通る思春期の青春もので、後のアメリカ映画「おもいでの夏」や「ジェレミー」のフランス版といった印象。
 
 いかにも、な古風な映画チラシ。
・・・
舞台は北フランスの海辺の避暑地。毎年夏になると、一定の期間(3週間程度か)一軒の別荘を共有して過ごす二つの家族。一方の家族には、フィル(フィリップスの愛称)という少年と、もう一方にはヴァンカという少女がいたが、二人は兄妹のような間柄だった
 
ところが、ことしは少年フィル(ピエール・ミシェル・ベックは16歳、少女ヴァンカ(ニコール・ベルジェは15歳になり、互いに異性として意識しあう年頃になっていた海岸のテント小屋で移動映画(トラックには、「オーシャン・シネマ」と書いてある)を観ての帰り、初めてキスを交わした二人。
 
翌日、海岸の沿道で高級車から降りたレディ(優雅なマダム)がまるで紳士に接するようにフィルに道を尋ねた。一方で、ヴァンカのことはまるで子供扱いだった。少年の目に白衣の婦人は強く焼きつけられた。
 
ある日、配達のお婆さんに代わって電報を届けた少年に、その婦人=マダム・ダルレー(エドウィージュ・フィエール)はとても優しかった。やがて、ある晩、自宅に忍び込んできたフィルに最初は困惑していた夫人も、つい遊び心を起こし、震える少年を抱き寄せて・・・
 
 
 
翌日、再び夫人を訪ね、パリに戻ってもあって欲しいとせがむと、夫人は、ヴァンカに求められないので私の所に来るのね、と笑いながらキスをした。
 
が、その夜の態度は掌(てのひら)を返すようだった。これは女の浮気、とはっきり言い渡され意気消沈するフィル。そんなフィルに対して、ヴァンカは勇気を奮って自ら近づき、庭の隅で抱き合った。
 
そして、夏は終わり、人々は散り散りになっていく。夕暮れに名残を惜しむフィルにヴァンカは呟く。一年前の私に戻りたいと・・・(Allcinema、一部加筆)
 
・・・
思春期の少年少女の微妙な心情を丁寧に描出し、フィエールの妖艶な毒々しいまでの美しさも魅惑的で、まさに後の”ミセス・ロビンソン”(「卒業」)だった。
 
この映画で初々しい15歳の少女を演じたニコール・ベルジェは、ちょうど50年前の1967年に交通事故で亡くなった。34歳の若さだった。
 
この映画の冒頭では、海辺を小さなボートを遠くまで漕いでいくフィルが、強い嵐にあって船が沈んでしまう。衣類を脱いで素っ裸で陸までなんとかたどり着く。するとそこには、規律の厳しそうなカトリック系女子小学生たちの一団が。女性教師たちは、みてはいけませんと、ざわつく生徒たちを引きあげげさせる。
 
女子生徒が置き忘れた帽子で、”アキラ100%”?の格好ですたこら歩いて帰ろうとする。これを見つけたのが、たまたま通りかかったヴァンカの女友達だった。女友達からこれを聞いたヴァンカは、「見たのか?」と問いただす。大笑いするヴァンカの友達は、笑いをこらえきれずにいた。ヴァンカは、フィルになぜ私に助けを求めなかったのかと責め、ひと悶着あるのだ。このあたりはのどかで青春している!?
 
道に迷ったマダムが、遠くに見えた少年に、「坊や」と声をかけるのだが、近づいてきた少年を見て「(坊やといったのは)失礼、見違えて、ミスター(あなた)」と変わる。ヴァンカも、多感で「私は”あんた”と呼んでいるのに、あのひとは、あなた、と呼んでいた」と気になるのだ。
 
16歳と15歳というのは、お互いに好意を持っていつつも、フィルは「20歳までは、(恋愛は)まね事にすぎない」と意外と慎重。ヴァンカは、背伸びをしても大人に見られたかったのだが。
 
何もかも知り尽くしたマダムにしてみると、少年が女性に花束を黙って投げ入れる姿は滑稽であり、女性への接し方を知らない少年にアドバイスもするのだが・・・。
 
移動映画上映は、ピアノとバイオリンの演奏付き、というのがおもしろい。
映写機が途中で故障して、観客のブーイングがあったりする。1920年代なので、サイレント映画だったからだろう。
 
1950年代のフランス映画もなかなかいい。
 
監督作品:
乙女の星(1946年)
肉体の悪魔(1947年)
雪の夜の旅人(1951年)
七つの大罪「高慢」(1952年)
青い麦(1954年)☆☆☆
赤と黒(1954年)
夜のマルグリット(1955年)
パリ横断(1956年)
可愛い悪魔(1958年) ☆☆☆
勝負師(1958年)
青い女馬(1959年)
恋人たちの森(1960年)
巌窟王(1961年)
傷心(1965年)
愛すべき女・女(め・め)たち「快楽を運ぶ救急車」(1967年)☆☆☆
 
 
☆☆☆
 
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