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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「何がジェーンに起こったか?」(1962)ベティ・デイヴィスの怪演。

 
 
 
何がジェーンに起ったか?」(原題:What Ever Happened to Baby Jane?, 1962)を見た。2時間15分のモノクロ映画だが、サスペンスであると同時にホラー映画でもある。ジェーンに何が起こったのか。最後の2、3分で真相が明かされる。「今頃見たのか?」といわれそう(笑)。狂気に満ちた恐ろしい映画!(笑)。
 
1930年代に大人気だったベティ・デイヴィスジョーン・クロフォードの2大女優が共演。公開当時大変な話題となり、当時のポスターには、ある文言が記されていたという。「あなたはベティ・デイヴィスジョーン・クロフォードのファンですか?」と。
 
往年の映画ファンに対して、美人女優二人の共演には違いないが、相当グロテスクでありファンは見ないでください、といった文言だ。映画を見た往年のファンが苦情や訴えなどを起こさないように映画会社が先手を打ったのか。映画は確かに強烈で、女優のイメージは覆され、あっと驚かされる。
 
・・・
1917年のこと、ジェーン・ハドソンはわずか6歳にして、すでに人気子役だった。ヴォードヴィルの舞台に立って愛らしい姿と歌で客を楽しませる「ベイビー・ジェーン」として喝采を浴びていた。
 
          妹のジェーンばかりがちやほやされてネグレクトされている
              ブランチの心中は・・・(これが伏線となっている)。
 
しかし、その輝くような舞台を羨望と嫉妬で見る目があった。
姉のブランチである。ジェーンは舞台上だけでなく、そこを降りた後も家族から特別な扱いを受けるが、ブランチは公私にわたって妹の影に隠れ、誰にも省みられない。ジェーンは、その人気に乗じて、周りの大人たちにもわがまま放題だった。
 
 
1935年。大人になったころ、ジェーン(ベティ・デイヴィス)とブランチ(ジョーン・クロフォード)の立場は大きく変っていった。映画の時代になると、ブランチは実力派の女優としての評価を得るが、ジェーンの人気は遠い過去のものとなり、俳優としても能力が無く、素行にも問題があるとされて仕事から外されていくようになったのだ。
 
大スターの姉と、仕事もなく酒びたりの妹、二人の立場は完全に逆転していた。
 
そんなころ、嫉妬にとらわれた姉妹の間に痛ましい自動車事故が起きた。
 
 
この事故はジェーンが嫉妬にかられブランチを轢き殺そうとしたと報じられた。
 
間一髪で難を逃れたブランチではあったが、この事故で背骨に傷を受けて歩くことが出来なくなり、ジェーンはその責めを負うかたちで姉の面倒を見ることになった。
 
 
こうして表舞台から消え、二人だけの世界で暮らし始めた姉妹だったが、姉に対するジェーンの呪いは何年たとうと消えず、ジェーンはやがて姉の人生を支配する醜く陰湿な暴君へと変貌していく。ブランチは食事も与えられず空腹感が増していく。
 
あるとき引き出しのなかにチョコレートを見つけて、夢中でいくつも食べる。その引き出しの中に銀行で引き出したとみられる小切手帳の控えがあった。ブランチのサインを練習したような走り書きがいくつもあった。ジェーンが勝手に銀行からお金を引き出していたのだ。
 
 
ジェーンは、ブランチの可愛がっていた小鳥を昼食として出したのを皮切りに、ネズミを食事に出すなどしてブランチを精神的に追いつめる。
 
 
 
そして、ジェーンの留守中にブランチが隠れて医者に電話で助けを求めたことからジェーンの怒りが爆発、ブランチを部屋に監禁する。更にジェーンは監禁に気付いた家政婦のエルヴァイラ(メイディー・ノーマン)を殺害し、遺棄してしまう。
 
 
 
 
芸能界への復帰という妄想を抱き始めていたジェーンは、売れないピアニストのエドウィンヴィクター・ブオノ)を雇っていたが、その彼もブランチの監禁に気付いてしまう。追いつめられたジェーンは瀕死の状態にあるブランチを連れて車で逃げ出す。
 
エルヴァイラの死体が見つかり、ジェーンがブランチを連れ出して行方不明になっていることが新聞やラジオで報道される。そのころ、ジェーンは海辺で子供のように遊んでいた。ブランチは息も絶え絶えにかつての自動車事故の真相をジェーンに語る。
 
 
実は、あの事故はブランチがパーティでジェーンにバカにされたことからジェーンを轢き殺そうとしたもので、ジェーンは咄嗟によけて無傷だったがブランチの運転していた車は柱に激突し、そのために下半身が不随となったのである。
 
ジェーンは恐怖から咄嗟に逃げ出し、ブランチは車から這い出たところを発見されたため、ジェーンが犯人にされ、ブランチは酔っていたジェーンに事故当時の記憶がないことをいいことに、この事故をジェーンが起こしたものとしていたのだった。
 
ブランチがジェーンに詫びると、ジェーンは穏やかな表情で「アイスクリームを買ってあげる」と言って売店に向かう。その帰りに警官に見つかったジェーンは、自分を取り囲む人々を前に子供の頃のように軽やかに踊りだす。警官は瀕死のブランチをようやく見つける。
 
・・・
 
かつて脚光を浴びた女優が過去の亡霊に取りつかれるという意味では、グロリア・スワンソン主演の「サンセット大通り」(1950)と似ており、一対をなしている映画ともいわれる。「何がジェーンに~」に主演のベティ・デイヴィスジョーン・クロフォードは、当時ライバル関係にあったという。
 
アカデミー賞には、デイヴィスだけがノミネートされ、クロフォードはノミネートされなかった。そのことで、クロフォードは不満に思ったのかわからないが、その年にアカデミー賞主演女優賞を受賞したアン・バンクロフト(「奇跡の人(原題:The Miracle  Worker1962が出席できなかったことからクロフォードが代理でオスカーを受賞するという一幕もあったという。
 
映画では、車いすで不自由な姉のブランチが妹のジェーンから徹底的に虐待される。観客は、ジェーンは何と悪いヤツ、ブランチがかわいそうと応援し、感情移入するはずだが、実は・・・と最後に大逆転があるというわけだ。
 

ベティ・デイヴィスは、この映画の公開時は
50代半ばだが、派手なメイクが強烈で、70代か80代に見える老婆か妖怪のような雰囲気。ほかの女優たちが躊躇するような役柄(醜
い汚れ役)を自ら引き受けたという。
 
小道具も、くしゃくしゃにまとめて投げられた手紙、ブザー、電話機、車、ハンマー、人形、車いす、用意された朝食、鳥かごなど効果的。
 
主な出演:
 
■ジェーン・ハドソン - ベティ・デイヴィス: かつての子役スター。
 
■ブランチ・ハドソン - ジョーン・クロフォード: かつての映画スター。ジェーンの姉。
 
エドウィン・フラッグ - ヴィクター・ブオノ: 太った売れないピアニスト。
 
■エルヴァイラ・スティット - メイディー・ノーマン: ハドソン家の家政婦。ブランチを心配する。
 
■ベイツ夫人 - アンナ・リー: ハドソン家の隣人。ブランチのファン。
 
■デリラ・フラッグ - マージョリー・ベネット: エドウィンの母。子離れできない。
 
50周年記念(2012年)の予告編↓。
 
  予告編
 
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