デビッド・O・ラッセル監督の最新映画「ジョイ」(原題:JOY、2015)を見た。劇場未公開。大ヒット映画「世界にひとつのプレイブック」のメンバーが再集結し、ジェニファー・ローレンスが主役を務め、ロバート・デ・ニーロ、ブラッドリー・クーパーなどが脇を固めている。
映画の初めに「夢を手に入れた女性の実話の物語」という字幕が出る。 シングルマザーとして子育てに奮闘するかたわら大企業を築いていく、ジョイのたくましさを伝記的に描いている。
幼いころからモノ作りが好きな少女が成長して、自ら発明品を作って、苦労しながらも成功を勝ち取る話が、主人公の祖母ミミの語り口で紹介され、ジェニファー・ローレンスがタフな主人公の女性を演じている。ジェニファーはこの映画で、ゴールデン・グローブ賞の主演女優賞を受賞したほか、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。
舞台は1989年のアメリカ。二人の子供を持つシングルマザーのジョイ・マンガーノ(ジェニファー・ローレンス)は発明のアイデアをたくさん持っていながらも、空港のチケットカウンターでしがない職についていた。
ある日、ジョイは手に怪我をしたことをきっかけに、手を使わずに水を絞ることができるモップを思いつく。父親ルディ(ロバート・デ・ニーロ)の恋人に投資を頼み、父親の工場でジョイはアイデアの製品化に成功する。
最初は誰もジョイの発明に見向きもしなかったが、ショッピングチャンネル「QVC」を運営する元夫のニール(ブラッドリー・クーパー)を説得し、商品が取り上げられることになり、ジョイに成功の兆しが見え始める。しかし、ジョイには乗り越えなければならない困難が山積していた・・・。
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映画は、主人公ジョイの祖母ミミのナレーションで始まる。
ジョイは、子供のころ、黒人の女友達ジャッキー、腹違いの姉、両親、犬に囲まれて生活していたが、紙で作った家の模型などを作り将来は本物の家に住みたいと願っていた。それからどうなったか、の続きは…となる。
現実は厳しく、”夢はすべて遠ざかっていく”。高校は首席で卒業するが、母親の看病のため、ボストンの大学進学はあきらめるジョイ。手を使わずに掃除ができるモップを売り込むため、投資を願い出るが、条件として①出身高校は?②成績は?③6か月以内の利益が可能か?④商売の宿敵と二人だけになったとき、目の前に銃があったら、取るか…という条件だった。
大手小売りチェーンのKマートなどに、一生もので少々高いが販売価格20ドル(19.9ドル)で提案すると、「一生ものは困る。5ドルの製品で100個売れたほうがいい」という返事だった。
スーパーの前で、許可を取らずにモップの販売デモを行い、ジョイはサクラになってほかの客を引き付けたりしたが、警察につかまってしまう。
テレビショッピングでモップの使い方がわからない人間がアピールしたため、販売に失敗。ジョイ自らが実演することにこぎつける。最初、ドレスアップして化粧させられたが、「少しだけ変えたい」と申し出て、なんとシャツにズボンという”ありのままで”番組出演となる。「素人はカメラ、ライトの前で固まってしまう」のでできるかを確認されていたが、始まってみるとことばも出ず、固まるジョイ。しかし、友人のジャッキーの質問電話②応えていくうちに、新型モップのメリットを無駄なく説明することができ、電話の問い合わせ(申し込み)件数が、一気に25,000件にも拡大するのだった。
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大成功を収めてからのジョイの映像が最後に流れる。 無我夢中でモップを売り込んでいるころのジョイは、将来そうになることなど予想もしていなかった気品と自信に満ち溢れた姿で、商品見本を売り込みに来る人たちに面談する姿は堂々としていた(写真下)。
メンフィスからやってきたというウエイトレスの女性に対しては、衣類の毛玉取りを手作りしたという製品を見せられたが「私も最初の製品は手作りだった」と関心を示し、もう一日とどまってほしいという。ホテルはどこと聞くと「ホリディ・イン」という返事だったので、「ラディソンのスイートを用意させます」というので、相手もダンナも歓喜する。この余裕たっぷりの表情と佇まい!
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ジェニファー・ローレンスの独壇場という映画。 1990年8月15日生まれで、現在26歳。一昨年の2015年にはハリウッドスターの「マネーメイキング」のNo.1(収入64億円)となった。かつては、スターは100万ドル(1億円)⇒1,000万ドル(10億円)と言われ、2,000万ドル級にはニコール・キッドマンやジュリア・ロバーツなどがいたが、その3倍以上とはるか上をいくというのだからけた外れのすごさだ。
「ジョイ」は劇場公開されず、DVDスルーとなったが、ロバート・デ・ニーロなどの名優の出演も、あまり目立たず、ストーリーも実話の限界か、飛びぬけておもしろいという話題もなく、アメリカン・ドリームを手に入れた発明品の説明などもなく、ドラマティック性に欠けたようだ。
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デヴィッド・O/ラッセル監督作品:
「Spanking the Monkey」 (1994) 監督・脚本 「アメリカの災難」 Flirting with Disaster (1996) 監督・脚本 「スリー・キングス」Three Kings (1999) 監督・脚本 「ハッカビーズ」 I Heart Huckabees (2004) 監督・脚本・製作 ★★
「ザ・ファイター」 The Fighter (2010) 監督 ☆☆☆☆
「世界にひとつのプレイブック」 Silver Linings Playbook (2012) 監督・脚本☆☆☆☆
「アメリカン・ハッスル」 American Hustle (2013) 監督・脚本 ☆☆☆
「Accidental Love 」(2015) 監督・脚本
「ジョイ」 Joy (2015) 監督・脚本・製作 ☆☆☆
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