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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「サブウエイ123 激突」(2009)

 
サブウエイ123 激突」(原題:The Taking of Pelham 1232009)は、1974年制作の「サブウェイ・パニック(原題:The Taking of Pelham One Two Three)のリメイク。
 

「サブウエイ・パニック」は、ウォルター・マッソ―とロバート・ショーの駆け引きが見どころで、日本人グループによるニューヨーク地下鉄指令室の視察などもあり、ユーモアもあって、当時パニック映画大流行の中で地味ではあったが印象に残る映画となった。
                                                     「サブウエイ123 激突」は、基本的にストーリーは同じだが、犯人と鉄道運行指令部とのやりとり、交渉過程が心理戦にもなっていて、アクション映画というよりも頭脳戦あるいは心理戦がメインになっている。この映画はオリジナルとは別に見ごたえがあった
乗っ取られた列車のなかの映像がネットで配信されるなど、オリジナルと比べて時代の変化を感じさせる。ジョン・トラヴォルタのクレージーぶりがとくに印象的だ。
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午後2時00分、とある事情によりニューヨーク地下鉄運行司令部で課長職から各車両に指示を出す仕事に降格させられていたウォルター・ガーバーデンゼル・ワシントンペラム123号の列車が緊急停車しているのに気づいた。
しかも止まっていたのは、何故か切り離された1車両だけだった。ガーバーが無線で列車に呼びかけると、ライダー(ジョン・トラボルタ)と名乗る謎の男が応答した。
ライダーは列車の乗客19人を人質に、一時間以内に1000万ドルの身代金を用意するように要求。さらに身代金を用意するのはニューヨーク市長で、交渉相手にはガーバーを指名してきた。
やがてFBIのカモネッティ警部補たちが運行司令部に到着し、捜査の指揮を執り始めた。ガーバーは上司の指示で帰宅することなる。あろで、そのことを知ったライダーは激高し、見せしめとして人質を一人射殺。ガーバーは再び運行司令部に呼び戻された。
実はガーバーが課長職から現在の仕事に左遷させられたのは、車両調達に関わる収賄容疑のせいだった。やがてカモネッティ警部補は、今回の理不尽な地下鉄ジャック事件にガーバー自身が関与しているのではないかと疑念を抱き始める。
事件の経緯を知った市長は苦悶の末1000万ドルを用意することを決断身代金受け渡し現場へ向かう。一方その頃、人質になっていた少年のパソコンがネットに繋がり、車内の映像が全米中に配信された。
その映像により、ニューヨーク市長選挙の際に失職させられて市長に恨みを抱いている証券マンがライダーの正体であること、そして元地下鉄運転士のレイモスまでもが一味に加わっていることが判明した。

ライダー達もネットに繋がったパソコンで金融市場の情報をチェックし始める。
地下鉄ジャック事件の社会的不安の影響で大幅に値下がりする株価指数を見てほくそ笑むライダー。一見無謀とも思える今回の身代金計画の本当の目的は、株価操作によって莫大な利益を得ることだった。
現場に到着した狙撃班がライダーに狙いを定めるも、レイモスを誤射してしまった。激怒したライダーはパソコンを持っていた少年を処刑しようとし、ガーバーと息詰まる交渉を開始する。ライダーはガーバーにとって最も触れられたくない過去の収賄容疑の真偽を問いただす。
ガーバーは少年の命を守るため、娘の養育費目的で日本の鉄道会社から賄賂を受け取っていた事実を公の場で認めるのだった。ライダーは少年の処刑を取りやめ、ガーバーを身代金の運搬係に指名する。
ひそかに拳銃を携えていたガーバーは列車に到着し、ついにライダーと対峙する。身代金を受け取ったライダーたちはガーバーを引き連れ、列車を降りる。人質を乗せた列車は自動運転で終点駅に向かって突っ走るものの、ATS機能によってことなきをえる。
                                                     一瞬の隙をついたガーバーはライダー達から逃げ出した。警察も駆けつけ、壮絶な銃撃戦が展開される。やがてガーバーはライダーを追い詰める。
 
ガーバーをさかんに挑発して動揺させたライダーは、拳銃を取り出してガーバーを射殺しようと試みる。しかし、間一髪のタイミングでガーバーの方が先にライダーを射殺するのだった。
                                                      事件はガーバーの活躍により解決した。市長はガーバーに礼を言い、賄賂の件は不問にすることを誓った。ガーバーは市長に「ヤンキース・ファン?」と聞くと、「もちろんだ」という答えが返ってくる。そしてガーバーはニヤリとして、再び地下鉄に乗り、帰宅の途に着くのだった。
 
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地下鉄司令部は、犯人の素姓の割り出しに、犯人の言葉使い、話し方などに注意を払うところなども見どころ。犯人が、”原罪”とか”懺悔”といった言葉を使うことから、死を恐れているようでカトリック系であろうということ、人質の乗客を”商品”と発言するなどで証券マンの口ぶりであることも突き止める。
 
犯人は「ニューヨークの人質のレートは?一人100万ドルでは低いだろう」などと話す。地下鉄車両を乗っ取った犯人は、運転手に「どこの出身?」と聞くと「ブルックリン」と答える。「アイリッシュ?」というと「そうだ」という返事だった。
 
先日見た映画「ブルックリン」でも、ブルックリンはアイリッシュアイルランドからの移民)がかたまって住んでいるという話だった。
 
犯人のライダーはいかれた性格だが、交渉役に指名したガーバーが、収賄容疑で降格されていることなどに、どこか自分とかぶさるものを感じたのか、これまでの経歴などを聞いてくる。交渉相手が悪人か善人か知りたいのだという。「賄賂を受け取ったのか」と執拗に聞いてくる。真実を言わないと人質の青年が死ぬことになると恐喝。
 
「受け取っていない」というものの、ライダーは納得せず、ガーバーは仕方なく「受け取った」ということに。「何に使った?」とさらに畳みかけてきたので「19歳と17歳の子供の学費だ」と答えた。ライダーはようやく納得して、人質に向けた銃を取り下げたのだった。「ガキの命を救ったな」とライダー。
 
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言葉の応酬など心理描写の多い映画だが、ユーモアもある。
ガーバー(デンゼル・ワシントン)が鉄道運行司令部の席につこうとして、コーヒーを飲もうとすると、コーヒーカップに何か仕掛けがあったのか、それをこぼしてしまい、衣服が汚れてしまう。それを見たまわりの同僚たちが「やった!」と一斉に笑う。ガーバーは、「しまった」というような表情で、中指を立てるのだ。このしぐさは、くそくらえといった意味か。
 
ガーバーが、犯人のいる地下鉄の現場にタクシーでは間に合わないので、ヘリコプターで乗り込もうとしている時に、妻から電話があり、ガーバーが状況を話すが、妻のほうは「家に帰るときに大きいミルクを買ってきて」と何度も念を押す。
 
映画のラストシーンで、すべてが解決して、市長が車を使うかと聞いてきたが、地下鉄が早いからと地下鉄に向かう。その手には大きなミルクの袋があった。
 
前半は犯人と鉄道側との交渉が描かれるが、後半は、ノンストップの車両が走る展開となりアクションが続く。そういえば、同じ監督とデンゼル・ワシントンの「アンストッパブル」(2010)と似たようなシーンだった。
 
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