渡辺謙主演の「山田太一ドラマスペシャル 五年目のひとり」(テレビ朝日系)を見た。同じテレ朝系で2年前に放送された「時は立ち止まらない」(2014年2月22日)と同様、東日本大震災(3.11)の「その後」を描いている。
日本を代表する脚本家・山田太一のドラマは、どれも奥が深い人間ドラマで必見ドラマ。「五年目のひとり」では、癒えない心を抱いた孤独な中年男の主人公・木崎秀次が、多感な女子中学生との不思議な出会いを通して「再生」に向かう姿を感動的に描いている。
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大学で獣医の木崎(きざき)(渡辺謙)が、震災で、妻、両親、娘・息子、親戚など8人も身内を一挙に亡くし、その震災の傷と闘いながら孤独に生き、悲しみにあがく中年男を熱演している。共演は、市原悦子、高橋克実、柳葉敏郎、木村多江、板谷由夏、山田優、西畑大吾(関西ジャニーズJr.)、蒔田彩珠など、実力派からフレッシュな顔ぶれまで、多彩なキャストが集結。
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その文化祭の帰り道に秀次から声をかけられた亜美は、「君のダンスがいちばんキレイだった。」と称賛されたことで有頂天になってしまうが、その話を聞いた母親・松永晶江(板谷由夏)は、亜美が不審者に目を付けられたのではないかと心配し、警察を呼ぶ騒ぎになってしまう。
その数日後、亜美は、偶然秀次を見かけ、ベーカリーで働いていることを知る・・・。
秀次は、知人・花宮京子(市原悦子)の誘いを受けて故郷からこの町に移住し、社会復帰のリハビリとしてそのベーカリーで働いているのだった。亜美は、そんな秀次のことを、母・晶江が疑うような悪い人間とは思えず、次第に会話を重ね打ち解けていくことになる。
東日本大震災で多くのものを失い、いまだ癒えない心を抱いたまま孤独に生きる中年男・秀次と、多感な少女・亜美。ふたりの不思議な出会いがもたらす「再生の物語」が描かれていた。中学生の亜美や同級生などのいきいきした言動なども印象的だった。
東日本大震災から5年たった現在だが「忘れなければいけない。忘れてはいけない。」と心の葛藤で木崎が号泣する姿が印象に残る。仕事を紹介した知人・花宮京子(市原悦子)が、仕事が終わって、福島に帰ることになった木に対して「いま思いっきり泣いたほうがいい。そして福島へ向かって」と励ましていた。
渡辺謙は、世界的なスターになっても、ハリウッドの大作、日本の地味な単発ドラマであろうと規模の大小に関係なく、全力でぶつかっていくという姿勢を崩さないというところがすごいと改めて思う。
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