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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「クリーピー 偽りの隣人」(2016)

 
クリーピー 偽りの隣人」(2016)を見た。
今年の2月にベルリン映画祭で上映された模様がニュースであり、黒沢清監督は上映後「こういう“危なっかしい”映画を上映してくれたベルリン映画祭の勇気に感謝します」とコメントしていた。日本の劇場公開は6月だった。公開が半年も遅れたのは、試写の反応などが芳しくなかったからか(笑)。原作前川裕の第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作「クリーピー
 
黒沢監督自身が”危なっかしい”映画と表現するように、映画のカテゴリーとしては、サスペンス・スリラーで展開はやや「冷たい熱帯魚」や「凶悪」に通じるものがある。
 
予告編で少女が「あの人はお父さんなんかじゃありません」というセリフが何度も繰り返し紹介されているが、その”隣人”の香川照之の一人舞台と言ってもいいほどの”怪演”のすごさに引き込まれる。”そこだけは”見どころだった。
 
 
黒沢監督といえば、1997年のCUREによって国際的なブレイクを果たし「ドッペルゲンガー」「LOFT ロフト」などがあり、「トウキョウソナタ」(2008、第61回カンヌ国際映画祭ある視点部門」審査員賞受賞)、テレビドラマ贖罪」(2012)などが印象に残る。昨年は、浅野忠信深津絵里主演の岸辺の旅」(第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞受賞)で、外国の映画祭では常連の一人であり世界に名をはせている。
 
出演は、黒沢作品に4度目の出演となり元警察で現在は犯罪心理学者として大学で講義を受け持っている主人公役に西島秀俊”隣人”には、「トウキョウソナタ」「贖罪」にも出演している香川照之、主人公の妻役に竹内結子、そのほか、川口春奈東出昌大藤野涼子(「ソロモンの偽証」)、笹野高史(刑事役)など。
  
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クリーピー 偽りの隣人」は、ある夫婦が、”奇妙な隣人”への疑惑と不安から、日常に潜む深い闇へと引きずり込まれていく姿を描く。6年前の未解決の一家失踪事件と、隣人一家の不可解な関係に気付いたとき、衝撃の事実が明らかになっていく。
 
事情があって刑事を辞めて犯罪心理学者となっている高倉(西島秀俊)は、後輩の刑事・野上(東出昌大)から6年前に起きた一家失踪事件の分析を依頼されるが、核心にはたどりつけないでいた。そんな中、高倉は妻・康子(竹内結子とともに新居へ引っ越すが、隣人はどこか奇妙な家族がいた。
 


 
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6年前の日野市事件と、主人公が引っ越してきた現在の隣人(香川照之)との関連性などや、なりすまし隣人の素性などが明かされず謎の多い終わり方だったのが残念。
 
6年前の事件で一人だけ取り残された娘・早紀(川口春奈がカギを握る役であるはずだが、途中で消えてしまい、ラストシーンでも登場してこないので、消化不良気味になった。
 
隣人はサイコ男であることがわかってくるが、高倉(西島秀俊)が妻・康子(竹内結子)に「変な隣人など近所付き合いはやめとけ」と注意しているのに「昨日のシチューが残ったので」と持っていくなど吸い込まれるように隣人のもとを訪れ関わるのが理解に苦しむ。
 
 
高倉夫婦が、2,3の隣の家に引っ越しの挨拶に行くが、ある隣人の年配の女性は、「近所づきあいは面倒だから、関わらないことにしている」とダイレクトに言われるが、あるときその女性が、渦中の”隣人・西野”については、「西野は鬼です。人の心を持っていません」と語ったりする。なにか暴言か被害でも受けたのか。
 
サイコ男・西野のある言葉に関しての過剰反応の言葉が異常だ。
康子が「今度奥様もぜひ・・」というと、「それ、どういう意味ですか」と食って掛かるような反応をする。「いえ、べつに」というが、異常反応に気付いて遠ざからないのか。
家に帰れば、夫には「(西野という人は)感じ悪い人だった。取りつくシマがない」と話し合っているのに。
 
あるとき、隣人・サイコ男が下心かなにか意図を持ってか「康子さんと呼んでいいですか。御主人と私とどちらがイイですか」とおかしな話し方をするのに、抵抗して逃げ帰らない。
 
高倉家の愛犬・マックスが逃げてしまい、捜し歩くと公園でサイコ男が「(マックスが)町をうろついていたので保護しておきました」と返してくれるなど「悪い人ではないのではないか」といつの間にかマインドコントロールされているようなのだ。
 
康子の様子がだんだん少しづつおかしくなっていく。話しを聞いても何も言わず隠れて誰かと電話するまでになっていた。康子は夫のいない間に西野と会うようになっていたのだ。いつしか西野に逆らえなくなっていた康子。その腕にはいくつかの注射の跡がついていた。
 
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ラスト・シーンもそれで終わりか・・・というエンディングだった。
 
それぞれの俳優は見どころがあるものの、いろいろな説明の欠如が物語を、表面的なサイコ男の狂気だけを描いているといった印象にしてしまっている。前評判ほどには話題にならなかったのも頷ける。
 
得体のしれない薬や特殊注射器、拳銃、死体を包んだ大きなビニールの空気を抜く装置などが登場する。このあたりは猟奇的な世界。
 
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竹内結子は「ストロベリーナイト」で西島秀俊と共演、姫川(竹内結子)率いる”姫川班”の部下を演じ、姫川にほのかな好意を抱いていたが、それ以上の発展はなかったが「クリーピー」では夫婦役。高倉が料理を「最高においしい」というと「そんなことない」と微笑んでかわすシーンなどがいい(笑)。
 
☆☆☆(竹内結子出演で☆1個プラス)

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