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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「涙するまで、生きる」(2015)</span>



フランス映画祭 in さいたま」で上映された「涙するまで、生きる」(原題:Loin des
Hommes/Far from men, 2015)を見た。日替わりのフランス映画上映を三日連続で見たことになる。「異邦人」「ペスト」などで知られる文豪アルベール・カミュの短編小説「客」を基にしたヒューマンドラマであり男の友情ドラマ。

フランスからの独立運動真っただ中にある1950年代のアルジェリアを舞台に、殺人の容疑者の男と彼を移送する男が友情を育んでいく。メガホンを取るのは、ショートフィルムを中心に活躍してきた新鋭ダヴィド・オロファン。

主演は「危険なメソッド」「ダイヤルM」「ロード・オブ・ザ・リング」などのヴィゴ・モーテンセン。「ゼロ・ダーク・サーティ」などのレダ・カテブが共演を果たす 。



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ストーリー:フランスからの独立運動が熱を帯びる、1954年のアルジェリア
軍人(少佐)だった過去を持つ教師ダリュ(ヴィゴ・モーテンセン)は、殺人容疑で裁判にかけられることになったアラブ人モハメドレダ・カテブ)を山の向こうにある町へ送るよう憲兵から命を受ける。

山道を進んでいく途中、モハメドに復讐(ふくしゅう)を果たそうとする一団からの襲撃、反乱軍の戦闘などと対峙(たいじ)するダリュとモハメド。二人はさまざまな危険を切り抜けていくが・・・(シネマトゥデイ)。



アルジェリアとフランスの関係などがある程度わからないと、理解しにくい映画だ。
この映画の背景には、1954年から始まった「アルジェリア戦争」(※)が背景にある。


アルジェリア1830年にフランスの支配下となった。(1962年3月にフランスから独立した。) 
この映画の主人公はフランス人のダリュ(ヴィゴ・モンテーセン)だが、フランス人でありながらフランス軍(政府)から敵とみなされるのは、アルジェリア人(多くはアラブ人)と組んだ反政府のゲリラとみなされたからだった。

ただ、ダリュが映画の中で語っていたが、両親はともにスペイン人だという。当時は、ヨーロッパ各地からの移民が多かった。フランスの植民地であったアルジェリアは、フランス国内と位置付けられ、広い意味では、内戦とみなされる戦争ということになる。

ちなみに「さらば友よ」(1968)でアラン・ドロンが演じるバランは、アルジェリア戦争から帰還してマルセーユ港に降り立ったところから映画は始まる。

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「涙するまで、生きる」というタイトルは、映画の中身に必ずしも合っていないが、主人公ダリュが、たまたま知り合ったアラブ人モハメドが、生きるためにいとこを殺した罪で、自責の念でフランスで刑を受けて死にたいと思っていたので「命を無駄にするな。自由に生きろ」とモハメドに諭す。

ハメドは、ダリュの熱心さに打たれ、ジプシーの群れの中に混じって生きる決断をする。それを遠くで見届け確認して、校舎に戻るダリュ。男の友情ドラマということもできる。



ダリュはまた、アルジェリアの小さな子供たちに、地理やフランス語などを教えることで、教育にも力を入れていた。荒涼とした山々の中にポツンとある白い校舎。どこから集まってくるのか、勉強に集まる20人前後の子供たち。猛烈な吹雪などが襲う自然の厳しい脅威も描かれ、これから始まるアルジェリア独立戦争の夜明けが描かれる。

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※「アルジェリア戦争」とは、1954年から1962年にかけて行われたフランスの支配に対するアルジェリア独立戦争。フランス本土と当時はフランス領(公式には植民地ではなく海外県と海外領土の中間的存在とされる。)であったアルジェリア内戦であると同時に、アルジェリア地域内でフランス本国と同等の権利を与えられていたコロンと呼ばれるヨーロッパ系入植者と、対照的に抑圧されていたベルベル人やアラブ系住民などの先住民(indigene,アンディジェーヌ)との民族紛争及び親仏派と反仏派の先住民同士の紛争、かつフランス軍部とパリ中央政府との内戦でもある。

  予告編

ヴィゴ・モンテーセンの熱演が印象的だ。レダ・カテブという俳優は初めて見たが、ウォーレン・オーツ(「夜の大捜査線」の南部の警官役)のような雰囲気で、味わいがある。どちらかというと地味な映画だが、こういうナイジェリア戦争を背景にしたような映画などを見ると、知らなかったことが少しでもわかり、淀川さんではないが「映画がすべてを教えてくれた」というのもわかる気がする。活字(本)を読むより手っ取り早いということもあるが(笑)。

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