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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「俳優 亀岡拓次」(2015)安田顕主演。

  
今年初めに劇場公開(初上映は、2015年10月の「東京国際映画祭」)された「俳優 亀岡拓次」を観た。映画のわき役専門俳優の不器用な片思いの恋を描いたハートフル・コメディ。主人公を演じるのは、安田顕
 
安田顕といえば、演劇ユニットTEAM NACSのメンバーで、最近では「龍三と七人の子分たち」のチンピラやくざや「ビリギャル」の嫌味な高校教師役など個性的で曲者役者的な風貌などで存在感を増している。映画での単独主演は初めてか。
 
安田顕が演じるのは、オファーがあればどんな役でも演じ、私生活では酒を楽しみとする主人公の慎ましい人生を、業界でありがちな出来事をちりばめながらつづっていく。
 
戌井昭人の小説を基に「ジャーマン+雨」などの横浜聡子が監督。
横浜監督の映画は、松山ケンイチ主演の「ウルトラミラクルストーリー」(2009)年以来6年ぶり。
 
地味だが魅力的な主人公のキャラクターと、ハートフルなストーリーに注目。
「ウルトラミラクル~」にも出演していた麻生久美子が、居酒屋の若女将を演じているが、亀岡拓次が惹かれるように、自然体で久しぶりに?魅力的に映った。 
 
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俳優の亀岡拓次(安田顕)は37歳の独身。次から次へと現場を渡り歩いては小さな役をこつこつと演じていき、スタッフからの信頼は厚い。
 
彼に回ってくるのは主役ではなく脇役ばかりではあるものの、極力、不平不満を口に出さず、撮影現場と酒場を行き来する地味な毎日を過ごしていた。
 
ある夜、ロケのために訪れた長野県諏訪市で立ち寄った居酒屋「ムロタ」で若女将の室田安曇(あずみ)(麻生久美子)に恋をしてしまう。しかし亀岡は撮影のため都内から地方まで方々に飛ぶ上に、初めての舞台の仕事が入り劇団「陽光座」の稽古場にも通う日々。
 
そんな中、極秘来日した世界のアラン・スペッソ監督の新作オーディションを受けるというチャンスが舞い込み、亀岡は憧れの監督の前で懸命に熱演する。
 
ある時、脇役仲間の宇野(宇野祥平)に恋をしているかふと尋ねたところ、てっきり自分と同じく独り身だと思っていた彼が結婚していたことを知り、亀岡の心に火が付いた。亀岡は花束を手に安曇のいる「ムロタ」に向かってバイクを走らせる――。
(MovieWalker)。
 
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映画の冒頭は、逃げる男が銃に撃たれて死ぬシーンが現われるが、やや不自然に感じたら、映画の撮影のシーンだった。
 
監督によると「死に方がくどい」と演じた俳優に伝えられ、”カメタク”に見本を見せてもらえ、ということになり、カメタクこと亀岡拓次が呼び出され、同じシーンを撮り直す。銃で撃たれたカメタクは、下手な細工はせずに、後ろにばたんと倒れて息を引き取る。監督の声が響くーー”それ!”。
 
舞台は変わって、カラオケのスナック。
中年男がマイクを握って「私、祈ってます」を歌うなか、亀岡に携帯に電話が入る。
女性マネジャーからで「週末は長野。来週は東京。舞台のオファーが来ているがカメちゃんは舞台はやらないのよね。断っておく」というと、亀岡は、「やります」という返事。マネジャーは、「飲みすぎないでね。詳細は、”しらふ”の時に知らせるから」で、
タイトル「俳優 亀岡拓次」となる。
 
ここまでは、たっふぃーさんのブログでの言葉を借りれば、「つかみはOK」の出だしだったのだが・・・。中盤、外国からの監督が出てきたり、アメリカの宇宙飛行士の夫が浮気をしたとかで、妻が車を飛ばして、スパナを持って夫を殺しに行く、というニュースが入ったり、それらは何らかの関係も出てくるのだが、わき道にそれたりして、やや散漫な印象の映画となってしまったのが残念。
 
最後の砂漠を歩くシーンは、これから進むべき方向を暗示するような作りだったが、今一つピンと来なかった。
 
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居酒屋の若女将の安曇(麻生久美子)は、3歳の男の子がいるが別居していて、出戻りで実家の居酒屋で仕事をしていることがわかるが、安曇から「また(夫と)やり直そうと思っている」と聞かされた亀岡拓次は、思いを伝える前に、儚い片思いの恋が終わりを告げたことを知る。
 
 
居酒屋のカウンター越しにかわす会話のやり取りが味わいがあっていい。
(「駅STATION」の高倉健倍賞千恵子の雰囲気までは行かないが)安曇(あずみ)が「お仕事は?」と聞いきたので、亀岡は「ボーリング場の球を売っています。」ととっさにうそをつく。
 
地元では人気という「寒天」がサービスで出される。
次に店に行った時には、「亀岡さんから聞いたという映画関係者が来たけど、俳優だったのね。すっかり演技にだまされた」という安曇。今回店を訪ねてきたのは「安曇さんに会うために来た」という亀岡だが「それも演技でしょう」と思われてしまう。
 
そんなたわいない会話だったが、ほんわかとして心が通じ合うような雰囲気があった。タコぶつと寒天がうまそうだった。
 
              こんな妄想シーンもあった。
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脇役陣が豪華。舞台劇の大物女優役として三田佳子、大御所監督役として山崎努などが出演。ほかに、染谷将太新井浩文、宇野翔平、杉田かおるなど。シリアスからコメディまで何でもこなす麻生久美子を見るだけでも価値ありの1本(笑)。
 
  予告編
☆☆☆
 
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