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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

舞台:「サラリーマン・ミュージカル」(1996):Back to the 90’s.

 
映画パンフ、チラシ、舞台のカタログなどを整理していたら出てきたのが、「裸になったサラリーマン」というパンフ。
 
今からおよそ20年前。今は倒産してなくなってしまったようだが、1990年代に「劇団ふるさときゃらばん」というプロと素人の中間のような集団の劇団あった。その舞台ミュージカルの中の一つに「サラリーマン・ミュージカル」というカテゴリーがあった。
 
ミュージカルが好きだったので、観に行った。
当時、演目としては「ユーAh!マイSUN社員」(1990年)、サラリーマンの金メダル」(1992年-1993年)があり、裸になったサラリーマン」(1996年)(1996年第4回スポニチ文化芸術大賞グランプリ受賞)、「Oh!マイSUN社員」(1997年 - 1998年)、パパの明日はわからない」(2002年 - 2005年)(2002年第14回池袋演劇祭大賞受賞)等があった。
 
1996年、五反田ゆうぽうと(東京品川区)で「裸になったサラリーマン」を観劇した。
 
 
1960年代は、高度成長期で、植木等の”無責任男”ブームに乗って、”サラリーマンは気楽な稼業”などと揶揄されて、歌われていた。
 
しかし、1990年代になると、バブルがはじけ、どこの会社もリストラや経費削減を唱え始めた時代。そんな時代のサラリーマンの現実の生活の悲哀とパワー、エネルギーを描いたミュージカルで、身にしみるところもあり、共感できて面白かった。
 
 
筋書きとしては、プロローグの「出勤」から始まり「リストラ」「団欒(だんらん)」「ニコニコ出勤」「彼の背中」「社長にされて」「心ならずも愛ある上司」「ゴミの階段」「体質改善」といった「幕」が続く。
 
それぞれのパートで、♬ナンバーが「リストラ」「FIFTY FIFTY」「TOKYOは彼の街」
「昨日まではお先真っ暗」「ゴミGメンの歌」「体質改善」といった曲が歌われる。
 
例えば「リストラ」の歌詞はこのようなものだ。
 
社内の封筒は10回使え・・・笑。
「それ行け! お父ちゃん」は・・・。
 
・・といった具合。
会社から出向を命じられた主人公の男は、うろたえて、泣き言を言うのを目の当たりにした妻は、自分の人生を考え直す。ボロが出てきた夫とこのまま人生を共にするか、離婚して新しい人生を始めるか、子育てを終えた女のハムレットの心境などが描かれる。
 
緊張して、妻を出迎える夫に、妻は「会社が嫌ならやめちゃいなさいよ。」だった。
会社を辞めてもこの家を売れば二人で楽しく暮らしていける。会社だって家庭だって、人間が幸せになるために作ったはずだという妻の言葉に、自分にとって大切なものはなんだったのか気づく。
 
♬「それ行け!父ちゃん」では、妻たちは夜食を作り、夫達を応援しようと工場に万国旗を張り、暗く汚い機械の色を派手に塗り上げ、男たちを乗せてしまう。家族はパパのサポーターなのだ。
 
♬「いくら小さな会社でも」「会社は人間のためにある」でフィナーレ。
 
かしこまった洗練されたミュージカルもいいが、身近な、隣のお姉さん、おっさんといったような舞台俳優たちが演じる舞台は、リアルで感動的だ。この頃、ワハハ本舗の小規模の演劇も見たことがある。会場は中野か高円寺あたりだったか、30ー40人くらいしか入れない小劇場で「私は女優」といったタイトルで、マリリン・モンローなどのものまねをしていたような。
 
機会があれば、舞台も見に行きたい。