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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「上海特急」(1932)マレーネ・ディートリッヒ主演。

 
 
ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督、主演・マレーネ・ディートリッヒ主演コンビの「上海特急」(原題:Shanhai Express, 1932)を見た。
 
タンバーグとディートリッヒのコンビ作では、ハリウッド・デビュー作の「嘆きの天使」(1930年)「ロッコ」(1930年)、「間諜X27」(1931年)に次ぐ4作目の映画(「嘆きの天使」はドイツ映画でアメリカ映画としては3作目)である。
 
DVDに収められている淀川長治の解説では、1930年代では、MGMのグレタ・ガルボパラマウントマレーネ・ディートリッヒが映画界の2大女優であり、ディートリッヒは、タバコの吸い方、ファッション、百万ドルの美脚など芸術そのものという。
 
 
ディートリッヒ出演作品は、「嘆きの天使」「モロッコ」「情婦」「ニュールンベルグ裁判」などを見ているが、どれも退廃的な雰囲気と、大女優然とした貫禄がある。また歌手としても”リリー・マルレーン”などを歌い有名だった。「リリー・マルレーン」は映画化もされた。
 
上海特急」は、列車が北京を出発してから、途中で、停車するものの、上海に到着するまでのストーリー。スタンバーグ監督が、ただならぬ美しさをたたえた絶頂期のディートリッヒのためにあらゆるテクニックを駆使して創り上げ、ディートリッヒに捧げた映画とされる。
 
風雲急を告げる20世紀初頭の中国大陸、北京から上海に向かう上海特急
乗客は謎の美女、自称「上海リリー」、彼女の元恋人であるイギリス人軍医、大陸商人、中国人娼婦など。列車ジャックに巻き込まれた愛と裏切りのドラマが交錯していく。他を圧倒する存在感のディートリッヒが妖艶な演技で世界中を魅了した傑作。
 
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さまざまな人物を乗せて上海急行が北京を出発した。
乗客の中には、”ワッフルズ”という子犬を隠して乗車したハガティ夫人、神学者のカー・マイケル、医者のドナルド・ハーヴィー、高級そうな衣装をまとったマデリン(マレーネ・ディートリッヒ)などがいた。
 
マデリンは、上海に長年暮らしており、別名シャンハイ・リリーとして知られていたが、列車のデッキで、英国陸軍の一等軍曹ハーヴェイ(クライヴ・ブルック)と偶然再会した。二人は数年前に喧嘩して別れしたものの、ハーヴェイはまだリリーを愛していたが、リリーの現在は、もはや二人の間に高い障壁を作っていた。リリーは、高級娼婦として中国の海岸を流れていたのだった。
 
リリーの車室には高等教育を受けた中国の娘フイ・フェイ(アンナ・メイ・ウォン)がいた。フェイもまたリリーに劣らない程のしたたか者だった。他の車室には中国のある地方の勢力家ヘンリー・チャンとサム・サルトがいた。
 
サムはあらゆるものに賭けたがるギャンブル狂で、今も彼はこの上海行き特急が必ず遅れるということに賭けていたが、幸か不幸か、このギャンブル狂の予言が的中して、列車は北京を出て一時間後、中国の兵隊によって臨時停車を命ぜられた。
 
そして車内はくまなく捜索され、一人の怖え切った中国人が反乱軍の兵士として捕らえられた。その時、チャンは何故か怒ったが、平気を装っていた。
 
その夜、反乱軍は列車を襲撃したが、機関士は自暴になって列車を走らせたので、反乱軍は登り線の貨物列車を徴発して追跡した。
 
二つの列車は夜を衝いて疾走。ついに反乱軍は機関銃で機関士を殺し、無人のまま疾駆する特急に飛び乗って列車を止めてしまった。やがて乗客は小さな駅に追い込められ、そしてチャンが反乱軍の将であることがわかった。
 
チャンは上海に電報をうって、この特急には英国の軍人が乗っていることを告げ、もし先に捕らえられた兵士を無害で返さなければ特急は出発させないと言った。
 
ついに、その兵士が帰るまで乗客は拘留されることになった。
ハアヴェイは獄中でチャンがリリーを口説いているの聞いた。そして間もなく、チャンはハアヴェイに殴り倒されたのだった(MovieWalker)。
 
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米国の映画で、中国を舞台にしているが、中国に対する認識の表現が面白い。
列車が大幅に遅れると、「ここは中国だ。時間の価値観が違うんですよ」「わかっている」といった会話や、「中国なんて、たかが知れている。米を食って、死ぬだけだ」。
 
 
この映画は、一種のラブ・ストーリーで、リリーは、捉えられた元恋人を救うために、相手の中国のチャンに気を持たせるように近づく。ハーヴェイはそれを誤解するのだが、あとから、リリーが自分のために祈っていたことを知る。
 
ハーヴェイが時計を持っていないことに気づいたリリーは、「時計は?」と聞くが「理想と時計は失った」と答えていた。リリーが宝石屋で時計を買っているところをたまたま外からチラっとみるハーヴェイ。ハーヴェイに時計を渡すリリー。
 
上海駅ハーヴェイがリリーに「公衆の面前でどうすればキスができるか」と聞くと「駅で隠れてキスをする恋人たちもいるのよ」だった。
 
1931年(昭和6年)撮影、32年公開の映画で、80年以上前の映画だが、ディートリッヒが、列車内のデッキ(通路)を行ったり来たりするだけのシーンなどでも、その美貌が光った。ディートリッヒ、30歳の時の作品で、全てが”絵になる”といったところか。
 
アカデミー賞では作品、監督、撮影賞にノミネーされ、撮影賞を受賞した。
 
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