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<span itemprop="headline">映画「救命艇」(1944)ヒッチコックのサスペンス!</span>



アルフレッド・ヒッチコック監督の「救命艇」(原題:Lifeboot、1944)を見た。
原作は、狭い艇内に集った数名の男女による漂流を描いたジョン・スタインベックの小説。

ヒッチコックが巧みな心理描写で、舞台が漂流するボートの上だけという密室サスペンスに仕上げた。劇場未公開だったというのが不思議なくらいに、おもしろい。

極限状況下では平時の人間関係が維持できるはずもないが、いくつものドラマがひとつの大きな物語を織り成していく様子が圧巻で見応え十分だった。



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第二次大戦下、ドイツのUボートから魚雷攻撃を受けた旅客船が沈没し、旅客船の様々な破片が海面に漂う中、そこから脱出した生存者たちが一隻の救命艇にたどり着く。そこには様々な人種・職業・身分の人々がいた。その中のひとりが、「もうひとりお客さんがいる」といって、全員がそちらを見ると、敵国ナチス・ドイツの男ウィリー(ウォルター・スレザック)だった。

救命ボートには、豪華なミンクのコートを着て高価なブレスレットをしている女性記者・コニー(タルーラ・バンクヘッド)もいた。コニーは、スクープをモノにするため、カメラを撮り続けていた。自分が遭難している状況にもお構いなしの態度だった。
 
ナチスドイツのウィリーの扱いをどうするかと議論する人々だったが、コニーは、ドイツ語を話し、ウィリーと会話を交わした。ウィリーは、船の操縦や、地理にも詳しかった。救命艇が嵐に遭いその時リーダーシップを発揮したのはドイツ人のウィリーだった。


救命艇に乗っている人々はイギリスへ向かおうとするが、彼らは今どの場所にいるのかわからない。仕方なくウィリーのいう方向へ向かっていく救命艇だったが・・・果たして救命艇の乗客たちの運命は・・・?

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当時の米プロ野球ドジャースや、タイ・カップという有名選手の名前が飛び出したり、即席のカード(トランプ)を作って、賭け事をしたり、ドイツの有名な曲「野ばら」が歌われたり、「中国は4億人の市場がある」(現在はその3倍以上)と言った言葉が、時代を感じさせる。

ドイツ人のウィリーが「生きるためには作戦が必要だ」と後から言うのだが、そのために、救命艇に乗ってからの”作戦”は、誰が信用できるかわからない状態の中でとった”ある行動”だった。


嵐の中の航海や、群像劇としての人間の心理描写なども描かれている。タルラー・バンクヘッドという女優は、主に1930年代に活躍したようだが、「救命艇」では、大物感が漂い存在感があった。

ヒッチコック作品の中でも、かなり上位(トップ10)に入れたい作品となった。


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