ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウエイ主演の「マイ・インターン」(原題:The Intern、 2015)を見た。MOVIXさいたま。
ニューヨークのファッション業界を舞台に、オンラインサイトのCEOとして働くキャリアウーマンが、40歳年上のアシスタントとの出会いを機に成長していく姿を描くヒューマンドラマ。
アン・ハサウェイがスマートで美しいヒロインを熱演。
名優ロバート・デ・ニーロが、”癒し系老紳士”を演じて味わいがある。
デ・ニーロとハサウエイは初共演。
2006年に公開され世界的大ヒットを記録した「プラダを着た悪魔」でファッション業界で奮闘する新人一年生の主人公を演じたアン・ハサウェイが再び、ファッション業界を描いた「マイ・インターン」で主人公を演じており、ある意味では、続編のような作品でもある。
アン・ハサウエイというと最近では「インターステラー」(2014)などがある。
目鼻がくっきりした美人だが、日本人からすると濃い印象もあるが、「マイ・インターン」では、喜怒哀楽を豊かに演じていて、なかなかいい。
女性監督のナンシー・マイヤースは、脚本兼監督の「恋愛適齢期」(2003)が、100億円の大ヒット。その後「ホリディ」(2006)「恋するベーカリー」(2009)の脚本・監督を手掛け、「マイ・インターン」(2015)が数年ぶりの最新作。脚本家らしく、随所に映画ファンを楽しませるようなセリフが散りばめられている。
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家庭を持ちながら何百人もの社員を束ね、ファッションサイトを運営する会社のCEOであるジュールズ(アン・ハサウェイ)は、女性なら誰しもがあこがれる華やかな世界に身を置きながら、仕事と家庭を両立させ、まさに女性の理想像を絵にかいたような人生を送っているかに見えた。
しかし、彼女に人生最大の試練が訪れる。
そんな悩める彼女のアシスタントとして、会社の福祉事業として雇用することになった40歳年上のシニア・インターンのベン(ロバート・デ・ニーロ)がやってくる。
人生経験豊富なベンは彼女に最高の助言を与え、2人は次第に心を通わせていく。やがて彼の言葉に救われたジュールズは、予期せぬ人生の変化を迎えることになる(MovieWalker)。
若いインターン(研修生)かと思ったら70歳の紳士が面接に来たので驚く秘書。
この秘書は、大学で経営学修士号をとっているが、会社では、まともな仕事を与えられず悩んでいた。
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会社の社長であるジュールズ(アン・ハサウエイ)は、1年半前にファッション・サイトの会社を数人で起業したばかりだが、今では220人もの社員を抱え、社内は活気に満ちていた。変わっているのは社内の移動に自転車を使っているのだ。
分刻みの忙しさで仕事に没頭するあまり、壁にぶち当たっていた。一人娘は、ジュールズの夫が、主夫として守っていたのだが、暗雲が立ち込めて・・・という展開。
映画の舞台が、IT系企業で、若い社員が中心。
経験豊かな人材を採用する”シニア・インターン”プログラムに応募してきたのが、70歳の新人ベン(ロバート・デ・ニーロ)。このベンは、インターネット時代には、化石のような「電話帳」の会社に40年勤めていたというのだ!
マックのノートパソコンを開いても、使い方がわからない状態だったが、仕事といえば、社長ジュールズの直属部下となり、仕事の連絡メールを待つものの、画面を時々チェックしても「受信メール0」。
気配りのきくベンが、注目されてくるのは、不要物を無造作に机の一角に積み上げていく社員たちに苛立っていたジュールズが、出勤してくると、そこが綺麗に片付いていた。ベンだった。社内では、インターネットの「いいね!」の数字が増加したり、注文が増えると、全員で拍手。机上をクリーンにしたベンにも、全員が拍手。
徐々に、ベンが社内で様々な問題の相談相手となり、信頼を掴んでいくさまが丁寧に描かれる。それにしても、ロバート・デ・ニーロは、「アンタッチャブル」で、カポネを演じた同じ人物かと思うほど、この映画では終始柔和で、味わい深い。
会社内に、疲れた従業員に肩もみなどのマッサージをする専門の女性がいて、椅子に座っているベンの肩をほぐしたり、休憩室で、足をもんだり・・・(いい会社だな。笑)。このマッサージ女性を演じているのが、レネ・ルッソ。
ベンは数年前に奥さんを亡くしており、ルッソ演じるマッサージ師も離婚で独身。
このふたりが自然に惹かれあっていい関係に。ジュールズが、ベンの家を訪ねると、ルッソがいて、そうだったのねというところもいい。(レネ・ルッソが、あのクリント・イーストウッド主演の「シークレット・サービス」のルッソと同一人物とはしばらくわからなかった)。
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ジュールズには口うるさい母親(画面には現れず、声のみ)がいて、しょっちゅう電話をしてくるが、その不満を同僚にメールで送信したはずだったが、送り先が母親あてと誤送信に気づき、それを母親に読まれたら大騒動になるので、読ませないようにする、大作戦を敢行するのだが・・・。
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「クルーニー、デイモン、いいかい?」
「オーシャンズ11」もどきのシーンがあったり、ジーン・ケリーの映画が挿入されたり、ジャック・ニコルソン、ザッカーバーグ(「フェイスブック」の創業者)などの固有名詞がポンポン飛び出したりと、飽きさせない。
この映画は、主人公の女性の成長物語であるという一方で、”癒し系老紳士冒険活劇”という映画でもある。若いIT系会社では服装はラフで、シャツもズボンから出しているが、ベンは、一番落ち着くと言って「ネクタイにスーツ」。
若い社員から、「特に人と会う予定がなくてもその格好か?」と聞かれ、「そうだ」と答えるベン。家にはクローゼットに、何十本、何百本というネクタイがあった(笑)。
この映画、共感できるところが多い。
ベンのように退職した人物が、旅行をしても、買い物をしても、人と関わらなくなる寂しさを味わうもの。
正装してコーヒーショップで新聞を見ながら座っていると、男ふたりが、「相席してもいいか」と聞かれ、「どうぞどうぞ」という会話をするだけでも、社会、世間に関わっているということを認識するのだ。
ベンが、若い男の社員にアドバイスする。
「ハンカチはいつも忘れるな。ハンカチは女性に貸すためにある」。
(ハンカチはいつも離さないが、用途は、汗を拭く専門のfpd。汗)
特に大きな事件があるわけでもないが、俳優、女優が人間の機微を表現していて、味わいがあった。
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