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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ミス・ブロディの青春」(1969)マギー・スミスがアカデミー賞主演女優賞受賞。

 
 
英国の女優マギー・スミスアカデミー賞主演女優賞を受賞したことでも知られる「ミス・ブロディの青春」(原題:The Prime of Miss Jean Brodie、1969)をみた。
 
公開当時、見逃していた作品だった。これは”おススメ”作品だ。
名門女子校で、急進的な思想を持ち、一部生徒から圧倒的な支持を得ている女教師と、保守的で、ミス・ブロディが危険思想を生徒に吹き込んでいるというのが表向きだが、嫉妬心も根底に見える女校長が支配下の人間を使って失態を探し辞職に追い込むために奔走するなどの対立を描いて、見応えがあった。
 
監督は「ダイヤモンド作戦」「ポセイドン・アドベンチャー」などのロナルド・ニーム
 
主演のマギー・スミスといえば「天使にラブソングを・・・」の修道院長役や「ハリー・ポッター」シリーズのミネルバ・マクゴナガル先生役、さらに「マリー・ゴールド・ホテルで会いましょう」(2012)「カルテット!人生のオペラハウス」(2012)の出演作などで知られ、現在80歳だが現役の女優で活躍している。
 
ミス・ブロディの青春」の時には、30代半ばで金髪で派手な衣装で、生徒たちから慕われる独身の女教師を情感豊かに演じている。
 
女性校長役は、デヴィッド・リーン監督の名作「逢びき」(1945)などのシリア・ジョンソンが扮している。生徒の一人としてパメラ・フランクリンが出演しているが、ミス・ブロディから最も信頼されていると思われていたが、実は・・・という展開がすごい。この時代にしては、大胆な演技を見せている。
 
    サンディ(パメラ・フランクリン)とミス・ブロディ(マギー・スミス、右)
・・・
時は1932年9月、スコットランドの首都エディンバラ
今朝も、紫色の服装で、颯爽と自転車に乗り、伝統ある女子高に向かうミス・ブロディ(マギー・スミス)の姿が、ひときわ目立った。学校に着くと、女子生徒たち、教師たちが、みな「おはようございます、ミス・ブロディ」と挨拶する。
 
ミス・ブロディは、自由奔放な教え方や派手な服装で、ミス・マッケイ校長(シリア・ジョンソン)を始めとする保守的な人々からは疎んじられていたが、生徒たちからは絶大な人気を博している型破りな教師。
 
娘のように思う可愛い生徒たちを教え導くことを生きがいとし、”今が私の青春”と教師という職業に誇りを持っていた。(映画の原題の”Prime”とは、”(青春)真っ盛り”の意味である。) 
 
新しい転校生が二人入ってきたのを機に、ミス・ブロディは生徒たちに語る。
「たとえ紋章院長官に明日求婚されてもお断り。私は青春を教育に捧げます。今が私の青春、つまり人生の真っ盛り。今に分かると思うが、私のモットーはとかく批判されがち。当校のモットーが、現状維持だから」と力説する。現状維持というのは、”石化(Petrification)”であり、私は一生を石に捧げるつもりはないわ」。
 
特にミス・ブロディを慕うサンディ、モニカ、ジェニーなど4人の女生徒は、課外時間にも彼女と行動をともにし、強い影響を受けてゆく。こうした生徒たちは「ブロディ組(ブロディ・ガールズ)」と呼ばれた。
 

そんな彼女は同僚の男性達から見ても魅力的な存在で、妻帯者のテディ・ロイド(ロバート・スティーブンス)や家柄のいいゴードン・ロウザー(ゴードン・ジャクソンらは彼女にすっかり魅了されていた。彼女につれなくされたロイドは、人体模写の絵を描いていたが、絵のモデルとなった生徒の一人、サンディ(パメラ・フランクリン)の裸体を描き、愛人にするが、どうしてもブロディを忘れられないロイドの態度に、サンディは深く傷つく。
 
事あるごとに校長(シリア・ジョンソン)はミス・ブロディを辞めさせようとその機会をうかがっていたが、ついに彼女の影響でスペイン内戦に参加しようとした女生徒メアリー・マグレガーが爆死してしまう。
 
スペイン内戦の時代で、イタリアのムッソリーニを称え、スペインのフランコ将軍のために献金するミス・ブロディは親ファシスト的な思想を持った人物。その影響で、彼女を慕っていた女生徒メアリー・マグレガーは、オックスフォードからスペイン内戦に参加していた兄を追って、フランコ側に参戦するために出向いた矢先に爆死する。   
 
実はメアリーの兄はフランコ将軍と敵対する人民戦線側の支援をするためにスペインに赴いていたのだが、ブロディもメアリーも兄を助けるということで、どちら側についているということは知らなかったのだ。この時代、オックスフォードやケンブリッジの学生など、イギリスの知識層でファシスト政権に反対する者たちは、人民戦線側に参戦していたのだった。
 
・・・
英国の女流作家ミリュエル・スパークの同名小説を、ジェイ・プレッソン・アレンが舞台劇に脚色したものを、ロナルド・ニームが映画化。
 
主演のマギー・スミスはこの作品でオスカー女優となったが、パメラ・フランクリンの演技もあっと言わせる。ラストのふたりの白熱したやりとりは迫力満点だった。
 
この映画の時代背景は1930年代始めで、ヨーロッパにファシズムが台頭し始めていた頃。ファシズムというと、イタリアとドイツというのが定説だが、実はそうではなかったということが分かる。
 
この作品は、イギリス北部の町エディンバラで、マギー・スミス演ずる主人公ミス・ブロディは、尽きることのない情熱を持ってファシズムのリーダー達(イタリアのムッソリーニなど)を崇めるばかりか、自分の生徒達をも同じ情熱で染め上げようとする。
 
そうした歴史的な背景も知ることができて面白い。保守的な学校側は、そうした危険な思想を生徒に植え付けようとする女教師を排除しようと躍起になっていたのだった。
 
キャスト:
マギー・スミス ・・・  Jean Brodie(歴史教師)
ロバート・スティーブンス・・・ Teddy Lloyd (美術教師・妻帯者)
ゴードン・ジャクソン・・・ Gordon Lowther(音楽教師)
シリア・ジョンソン・・・ Miss Mackay(校長)
ミス・ブロディの取巻き生徒たち)
パメラ・フランクリン・・・Sandy(眼鏡をかけた生徒・後にTeddyの愛人に)
ダイアン・グレイソン・・・Jenny (赤毛の美しい女生徒)
ジェーン・カー・・・Mary Macgregor (吃音気味の転校生・資産家の孤児)
シャーリー・スピードマン・・・Monica
 
1968年度英国作品(日本公開:1969年11月)
原作:ミュリエル・スパーク
 
 
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