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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「アルジャーノンに花束を」(映画公開時「まごころを君に」  1968)</span>



最近、テレビドラマで「アルジャーノンに花束を」(未見)というシリーズが放送されていたが、ビデオ・レンタルショップで同名タイトルの映画があったので、見ることにした。2時間もの(103分)でコンパクトにまとめてあるだろうと思ってみた。

1968年度(第41回)のアカデミー賞主演男優賞受賞とあったので、聞いたことがないと思ったら、1969年2月の公開時のタイトルは「まごころを君に」だった。クリフ・ロバートソン主演で、共演はクレア・ブルームなど。この映画は、公開終了後に映画館デビューだったので見逃していた。

1968年製作の映画でアカデミー賞を賑わしたのは、作品賞&監督賞などに輝いた「オリバー!」と「冬のライオン」など。ちなみに作品賞候補(ノミネート)は、「ファニー・ガール」「レーチェル・レーチェル」「ロミオとジュリエット」「冬のライオン」だった。この年は、アカデミー賞史上初の、主演女優賞が2人(キャサリーン・ヘプバーン「冬のライオン」、バーブラ・ストライサンド「ファニー・ガール」)という異例の年でもあった。

映画公開時のタイトルは「まごころを君に」だが、原題はCharly(主人公の名前)だった。原作がダニエル・キイスSF小説アルジャーノンに花束を」(原題:Flowers
for Algernon)であり、ビデオ化された時に原作の名前になった。

アルジャーノンて何かと思ったら、白ネズミの名前だった。

・・・
映画の冒頭、公園で子供と戯れる中年の男の姿がスローモーションで描かれる。
立派な大人の肉体をもっていながら、「学校」のスペルも「SK」で始まり「Schよ」と指摘されるほど知的レベルが子供というチャーリー・ゴードン(クリフ・ロバートソン)は、パン屋の雑用をし、せまい下宿部屋に住んでいた。

パン職人の職場では、同僚たちからバカにされ、いたずらをされる毎日だった。
プレゼントと称して、ロッカーには、パン粉がたっぷりと詰め込まれていた。



その彼にとって一番の楽しみは、公園で子供たちと遊んだり、観光バスに乗ることだった。そんな彼を、夜学の先生アリス(クレア・ブルーム)は、友人の精神科医アンナ博士やリチャード博士に診断を依頼した。



ある日、チャーリーは、白ネズミのアルジャーノンと知能パズルゲームをしたが負けてしまった。それから何度も挑戦したが、彼はいつも負かされてしまう。アリスの助言で、チャーリーは脳手術を行った。



手術後、再び彼はアルジャーノンと知能パズルゲームをしたが、結果は同じだった。が、それから数日後、チャーリーは自分の頭脳が以前より成長しているのを悟った。

ある夜、チャーリーはプレゼントを持ってアリスのアパートを訪れ、不器用に愛情を示そうとした。驚いたアリスはチャーリーをののしり、彼の純粋な心は乱れた。

が、数日後、2人は仲直りし、愛し合うようになった。何ヵ月か経ち、一人前の立派な大人になったチャーリーは自分の病状経過を公開するため医師会の会合に出席した。

そこで、以前の自分のテスト・フィルムを見たチャーリーは、自分はただのモルモットでしかなかったのではないかという感情をいだいた。さらに、アルジャーノンの死が、彼を悲しみと恐怖の底につき落とした。

人並み以上に頭脳が発達することが、そんなに素晴らしいことか。自分のしている実験は本当に価値があり、世の役に立っているのか。チャーリーは疑問を持った。

そして今、自分がいる社会には、以前持っていたハートがないことを感じとった。
心配するアリスの手を振り、チャーリーは昔の素朴で自由な生活に戻る決心をした。その後公園には、子供たちと楽しそうに遊ぶ幸せそうなチャーリーの姿がみられた(MovieWalker)。

・・・

あらすじを書いてしまうと、ネズミの進化を人間の知的障害に応用して、「りこうにする」という話だが、見所が多く、チャーリー(クリフ・ロバートソン)が、夜学教師のアリス(クレア・ブルーム)に惹かれていく変化が自然に描かれていく。

スクリーンが2画面にカットされて、左右で、それぞれの表情を同時に映したり、主人公のチャーリーが、気分が高ぶって、バイクを飛ばすシーンなどは、場面の一部がカットで挿入され、その周りに暴走族のバイクなどが別のカットで取り囲んだりと、実験的なカメラ映像が見える。

しかし、アリスに好意を感じているチャーリーの目線でカメラが、アリスの後ろ姿(ヒップあたり)を捉えたり、あるときには、アリスの胸元をカメラがのぞき、ついには、座っているアリスの膝下(もと)を執拗に映し出し、チャーリーが暴発する行動に出るところは、スリリングではある。

その後、アリスは、婚約者がいたが破棄し、チャーリーと楽しい日々を過ごす。チャーリーが「2018年は何の年かわかるか」とアリスに聞く。「我々のゴールデン・アニバーサリー(金婚式)だ」だった(映画の描かれた時代は1968年で、50年目)。

精神科医のアルジャーノンの成果発表などがあった時のリチャード博士の発言の後に登壇したチャーリーは、参加者にいきなり「質問はありますか?」と切り出した。

「何が変わったか」という質問があったので、「世の中が見えるようになった」とチャーリー。「経済の先は?」「世界の今後は?」「人類の運命は?」に次々と、的を得た回答を示すチャーリー。

質問がなくなるとチャーリーは「私には質問がある。」
「チャーリー・ゴードン(自分)の未来は・・・?」だった。能力・知能が大幅に良くなったのは、「(アルジャーノンの退化に見られるように)一時的なものではないか」とリチャード博士に問いかける。

その後、チャーリーは、かつてのような知的障害であった自分の幻影が目の前に現れ怯える。部屋も書籍で埋まっているのに、それらが消えていく。

そんな時にアリスが訪ねてきて「結婚して」と切り出す。返事をしないチャーリー。
アリスは「結婚はしなくても、一緒に暮らしたい。出て行けと言われれば出ていくから」というと、チャーリーの返事は「(今)出て行け」という意外なものだった。

アリスは黙って部屋を出ていった。
チャーリーは、遊園地で子供達と遊ぶ元の生活(映画の冒頭のシーン)に戻っていた。

チャーリーは古いアパート暮らしだが、大家さんのおばさんが、何かと口うるさい。
アリスが家に訪ねてきたのを見て、チャーリーが女を連れてきたと大騒ぎ。あるとき、チャーリーがハツカネズミに話しかけていると、また女を連れ込んでいるのかと聞くので、「ペットのネズミだ」というと態度を一変する。「ペットは神様の贈り物だからね。忠実で最高の友達だ。仲良くしなさい」と愛想良くなるのがおかしい。と言うのもこの家主も、モンティというブルドッグを飼っていた。「モン(ト)ゴメリー!」と呼んでいたが、明らかに「モン(ト)ゴメリー・クリフト」を意識した名前だと思った(笑)。


・・・
素晴らしい、見ごたえのある映画だった。
クレア・ブルームは、デビュー作のチャップリンの「ライムライト」(1952)での当時20歳の清楚なイメージが印象的だが、「英国王のスピーチ」(2010)にも出演している。


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