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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」(2014)</span>



ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」(2014)を見た。
昨年のアカデミー賞で6部門にノミネートされた。

監督が「サイドウェイ」「ファミリー・ツリー」のアレクサンダー・ペイン監督だと知って納得。地味な映画だが、お金をかけた超大作ばかりが映画ではないよ、小品でもじわりとくる映画があるよ、というのを示した佳作。

父と子のロードムービーだが、全編モノクロ。40年、50年前の時代にタイムスリップしたようなモノクロというのが味わいがある。消えゆく田舎町の風景を描いた「ラストショー」(1971)などを彷彿とさせる。高額賞金が当たったというと、なんだかんだと理由をつけて、賞金目当てに態度を変え、近づいて来る人間がいるものだというブラックユーモアでもあるようだ。

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「100万ドルが当選しました」という怪しげな当選賞金を受け取るべくネブラスカへと向かう年老いたガンコ親父と、その旅に付き合うハメになった息子が繰り広げる珍道中の行方を心温まるタッチで描いている。

主演は本作の演技でカンヌ映画祭最優秀男優賞に輝いたブルース・ダーン
ブルース・ダーンが「マーニー」(1964)で船乗りで出演していたというのは気がつかなかったが、1969年の2作品「大反撃」「ひとりぼっちの青春」などに出ていたし、
ロバートレッドフォード主演の「華麗なるギャッツビー」(1974)アルフレッド・ヒッチコック監督の「ファミリー・プロット」(1976)などは地味な脇役だったが印象に残る。

ネブラスカ」では、アメリカ北西部のモンタナ州に暮らす老人ウディ・グラントを演じているが、奥さんに長年尻に敷かれている様子が憎いほどうまい。


         父ウディ(ブルース・ダーン)と息子デイビッド(ウィル・フォーテ)

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ある日、ウディ・グラント(ブルース・ダーン)は、100万ドル(日本円で1億2,000万円)の賞金が当たったという、どう考えてもインチキな手紙を受け取る。ところがウディはそれを信じ込み、はるか遠くのネブラスカまで歩いて賞金を受け取りに行こうとする始末。

息子のデイビッド(ウィル・フォーテ)は、周囲が何を言ってもまるで耳を貸さない父に根負けし、無駄骨を承知でウディを車でネブラスカまで連れて行くことにした。そしてその道中で、ウディの生まれ故郷に立ち寄る父子だったが・・・。

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モンタナの高速道路を一人で歩く老人・ウディを、パトカーの警官が発見。
「どこへ行く?」と聞くと「あっち」、「どこから来た?」には「こっち」と答えるだけ。
次男のデイヴィッドが引き取りに来るが、「100万ドルが当選した」というニュースが瞬く間に広まってしまう。

家の中では、「100万ドルあれば、老人ホームに入れられる」というウディの妻ケイト(ジューン・スキッブ)の声が聞こえてくる。デイヴィッド、ウディの長男・ロス(ボブ・オデンカーク)も、”手に負えない”父親を老人ホームに入れるのがベストだとまとまりかけるが・・・。

インチキだと知りながらも、AV(オーディオビデオ)店の店長の仕事をしているデイヴィッドは、2,3日の休暇を取って、モンタナから、1,300キロの距離があるネブラスカ州ホーソーンまで、車で出かけることになった。

旅の途中で「北北西に進路を取れ」にも登場するラシュモア山も見ることにする。
「ただの岩の塊だぞ」と気が進まないウディだったが、歴代大統領の岩の彫刻をみていると「未完成のようだ。ワシントンは服を着ていないし、リンカーンには耳がない」など、相変わらず気難しいところを見せる。

親戚の家に立ち寄るが、ウディが宝くじがあたったと知るや、昔、お金を貸しただの、立て替えたと言って、賞金の一部を回して欲しいという輩が続々と現れてくる。



後から合流したウディの妻ケイトは、普段から口が悪異正確だったが、あまりにも親戚の面々のお金の無心に、すいにキレて、「お前たちは死体に群がるハゲタカか!」というのは、痛快だ。さらに、追撃の一言は、相手をぎゃふんと言わせるのに十分だった。
         「ファック・ユアセルフ!」(みんな、くたばっちまえ!)

あとからわかってくるが、ケイトも若い頃はそうとうアバズレだったようで、下品な言葉のオンパレードだった。

高額賞金を当てたヒーロー扱いになっていたウディを取材しようと、地元新聞社が、
少年を送って写真を撮ったが、デイヴィッドが、事情説明に新聞社を訪れると、そこの女社長ペグ・ナギー(アンジェラ・マキューアン)は、亡くなったダンナと新聞社を興したが、かつて、ウディを巡って現在妻となっているケイトと恋敵だったことがわかる。

・・・
ウディは当選の成り行きを自分で確かめたく、病院を抜け出して一人で歩いて、出て行ったが、ディビッドが根負けし、宝くじの元締めのオフィスに行くことにした。
手紙を見せると、受付の女性は、「残念です。当選していません」だった。「時々、あるんですよ、間違いが。高齢者が多いですが、アルツハイマー?」と言われる始末。

帰り際に、プレゼントとして「当選者」(PRIZE★WINNER)という刺繍のある帽子を受け取った。

デイヴィッドは、それまで父とはじっくりと会話を交わしたこともなく、モンタナから少しは離れて、ゆっくりと過ごしたかったのだ。今回の旅が、親子二人にとって”心をつなぐ旅”になったことで有意義だったと思う。

父親が欲しかったというトラックは、乗用車と交換ということで手に入れた。
また父親が欲しかったコンプレッサーも購入した。デイヴィッドが「なぜトラックを」と聞くと、ウディは「何か息子たちに残したかった」だった。無免許の父親だが、デイヴィッドは、数ブロックだからと、父親にトラックを運転させる。

ウディが運転するトラックを、街の旧知の人たちが見ていた。
その中に、かつての恋人の新聞社のオーナーの顔もあった。



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派手さはないが、親子、家族、友人、アメリカの田舎の人たちの人情、生活などを通して、じわじわと感動が伝わって来る映画だった。足も悪く、今にも棺桶かと思うような老人を演じたブルース・ダーンアカデミー賞主演男優層にノミネート、その妻役のジューン・スキッブ(↑写真右)も、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされるなど、その演技も見どころ。


出演:
ブルース・ダーン:ウディ・グラント・・・ 100万ドルの当選を信じ込んでいる老人。
ウィル・フォーテ:デヴィッド・グラント・・・ウディの次男。電気屋の店長。
ジューン・スキッブ:ケイト・グラント ・・・ウディの妻。デヴィッドの母。
ステイシー・キーチエド・ピグラム ・・・かつてウディと自動車整備工場を経営。
ボブ・オデンカーク:ロス・グラント・・・ ウディの長男。デヴィッドの兄。
マリー・ルイーズ・ウィルソンマーサ伯母さん ・・・ ウディの兄嫁。
・ ミッシー・ドーティ: ノエル・・・デヴィッドと最近まで同棲していた女性。
・アンジェラ・マキューアン:ペグ・ナギー・・・ウディの結婚前の恋人。 地元の小さな新聞会社を経営。
ランス・ハワード:レイ伯父さん・・・ウディの兄。マーサの夫。
・デヴィン・ラトレイ:コール・・・レイとマーサの息子。前科者。

原題:Nebraska
2013/アメリカ 上映時間115分
監督:アレクサンダー・ペイン
製作:アルバート・バーガー、ロン・イェルザ
製作総指揮:ジョージ・パーラ、ジュリー・M・トンプソン、ダグ・マンコフ、ニール・タバツニック
脚本:ボブ・ネルソン
撮影:フェドン・パパマイケル
美術:デニス・ワシントン
衣装:ウェンディ・チャック
編集:ケビン・テント
音楽:マーク・オートン
日本公開:2014年2月

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