「恐怖の報酬」(原題:(英)The Wages of Fear /(仏)Le Salaire de la Peur、フランス・イタリア合作、1953)はかつてテレビで、一部見た程度だったが、完全に見たのは今回が初めて。監督アンリ・ジョルジュ・クルーゾー。リメイクの1977年製作のアメリカ映画「恐怖の報酬」(監督:ウィリアム・フリードキン)は劇場で見ている。
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多額の報酬を目当てに、中米の油田で発生した大火災を消火するため、大量のニトログリセリンをトラックで運搬するという危険な仕事に挑む4人の荒くれ男たちの運命を描く。シャンソン歌手として有名なイヴ・モンタン主演。
2時間を超える長さながら、ハラハラさせる展開と意外な結末で息もつかせず観客をひきつけるサスペンスの手腕が高く評価され、クルーゾーはフランスのヒッチコックとよばれる。第6回カンヌ国際映画祭にてグランプリと男優賞(シャルル・ヴァネル)を、第3回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した。
未見の人には、ラストシーンは言えないが、”意外”な結末だった。
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そこはヨーロッパから流れて来た食い詰め者たちの吹き溜まりで、無職の男たちで溢れていた。言語も、イタリア語、フランス語、ドイツ語、英語などが飛び交っている。折りしも数百キロ離れた山奥にある油田で火災が発生する。消火に必要なのは水ではなく大量のニトログリセリン。
1滴だけでも凄まじい威力の爆薬をトラック2台に満載して舗装もされていないゴツゴツとした山道を運搬するという”恐怖”を伴う危険な任務に、高い”報酬”が石油会社から提示された、トラック運転手の募集があった。
その報酬的には美味しい仕事ということで、数十人の希望者がやって来る。
しかし、仕事の中身をを知らされ、誰もが尻ごみする中、2000ドルの報酬欲しさに名乗りを上げた命知らずの4人の男が挑むことになった。果たして4人は、任務を全うして、報酬を掴むことができるのか。
目的地に到着するまでの途中の手に汗握るサスペンスの盛り上がりがよくできている。文字通り崖っぷちの恐怖が描かれる。
ヒヤッとさせられる崖っぷち!
2台のトラックで、二人ひと組。
それぞれの会話も面白い。
・「お前は何歳だ」「百歳だ。何を見てきたかだ。歳は関係ない。」
・「(スピードは)60キロ以上は危ない。しかし45キロ以下でもダメだ。」
・「(粋がっていたのに)早速、マラリアにかかってしまった。女の腐ったような奴だ。」
・「おれは考える能力がある。夢の中で、50回は爆発した。」
・「報酬は、支払うものだ。オレは心配担当だ。」
出演:
監督/脚本:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
撮影:アルマン・ティラール
音楽:ジョルジュ・オーリック
本編:149分、モノクロ、4:3スタンダード
泥水の中から現れる黒い顔、モノクロのカメラならではのメリハリの凄さ。
緊張感を表すような、口の中をもぐもぐさせるシーンのクローズアップや、タバコの火で導火線に火をつけるアップのシーンなど大写しのシーンも印象的だ。
音楽もいい。
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