東海林さだおの漫画を原作とする「サラリーマン専科 単身赴任」(1996)を見た。
「サラリーマン専科」はシリーズとして3作品が製作されたがいまだDVD化されていないようだ。東海林さだおの漫画は、週刊誌等で時々斜め読みしていたが、サラリーマンの悲哀をユーモアたっぷりに描いていた。
全体のトーンとしては「釣りバカ日誌」のようなサラリーマンもので、会社の幹部が営業成績で壁にぶちあたっているところに一介のダメ課長がひょんなことから取引先のトップと親交があって貸しがあったことから、一発大逆転となるストーリーである。そこに家族の行き違いなども描かれるが、それも誤解が溶けてめでたしめでたしのエンディングとなるハッピーエンドの人情ものである。
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着任早々、挨拶回りに様々な会社を訪問するが、東京出身の万作は、総務畑出身。訪問先で、万作が、営業は初めてなどと正直に言おうとすると隣の部長に静止される始末。同行した部長からは、阪神ファンです、自ら志願して大阪に来ました、など実際とは反することを無理に言わせられた。
独り暮らしは寂しく、慣れぬ営業の仕事や関西の言葉づかい、その土地柄ゆえに万作は四苦八苦の毎日を送る。ところが迷い込んできた飼い猫をきっかけに隣人の妖艶な女性・森村美佐子(萬田久子)と知り合いになり、一転して万作の単身赴任は明るいものになった。
ある日、万作は美佐子から突然結婚してくれと言われて驚くが、実はボケ気味の父を安心させるための婚約者のふりをしてほしいという頼みだった。万作は美佐子とともに彼女の田舎に赴いてひと芝居打ってみせる。
単身赴任もようやく落ち着きかけた頃、妻・ふみ子(田中好子)の誕生日と東京出張とが重なり、バースデイ・ケーキを手にいそいそと帰ってみれば、家族は弟の淳司と豪勢な食事に出かけていたということもあった。
一方、大阪支社では取引先の本多興産との大量取引に関して、この一件をしくじれば営業部全体の責任が問われるという問題が発生。本多興産が、総額10億円もの備品をライバル会社に発注するという事態が起こったのだ。
そんな折、美佐子の部屋で愛人の中年男が救急車を呼ぶ騒ぎが起きる。
美佐子に頼まれて万作は中年男の部屋で倒れたことにして欲しいというのだった。困ると言いながらも、浮気隠しに協力することになるが、何とその男こそ本多興産の本多社長(藤岡琢也)だった。
本多夫妻が、お礼をしたいからとアパートまで訪ねてくるというので、再びに若夫婦を演じることになる。夫のアパートにやてきて、合鍵を持っているので、ドアを開けてみると、ふたりの年配の来客を相手に、夫・万作と別の女(わずか顔見知りだった隣人)が対応していたのを見たふみ子。当然のことながら、万作と美佐子の仲を誤解してしまう。美沙子は怒って、部屋にもはいらずにタクシーに乗って、空港に向かい、東京に帰ってしまう。
本多は、事情を察して平謝り。本多は償いのために、万作が望むことにはなんにでも協力するというのだ。万作はとうとう取引の件を口にした。それは、万作の上司の支店長(塩見三省)が本多社長を明日訪問するが、その要求に対して、「とにかく、首をタテに振ってほしい」というものだった。
翌日、支店長以下が、本多興産を訪問した社に戻ってきた。
支店長は、万作の成果を称え、皆に受注が成功したことを告げ、仕事は早仕舞いして、祝勝会を開くため飲みに行くことになった。仕事の手柄を立てつつも家庭が気になる万作は、会社を放って東京へ向かう。
恐る恐る電話すると、娘が出た。「母さんはどう?」と聞くと「元気だよ」だった。
「お母さんに代わってくれないか」と万作。妻・ふみ子が電話に出たので、開口一番「ごめん。申し訳なかった。全ては誤解だ」というと、ふみ子は「いま”奥さん”に代わるね」と電話口に出たのは美佐子本人だった。美佐子が、事情をふみ子に詳しく説明していたので、ふみ子の機嫌も直っていたのだった。万作は満面の笑顔で家のなかに飛び込んでいった。
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それほど起伏のあるドラマではないが、全編にユーモアが漂い心地よい映画となっている。
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