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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「日本のいちばん長い日」(1967)

 
日本のいちばん長い日が、終戦70年を記念して、来年リメイクされるというので、オリジナル版を見た。これは全ての人にオススメの作品だ。
 
ポツダム宣言(日本の無条件降伏)受諾をめぐる重厚なドラマで、1945年8月15日正午の玉音放送天皇陛下による戦争終結の放送)の陰で一部の軍人の反乱の様子などをオールスターキャストで再現した。
 
 
 史上最大の作戦」の原題は「The Longest Day」(最も長い一日)であり、このタイトルを意識したものと思われる。
 
「日本のいちばん長い日」とは、昭和天皇や閣僚たちが御前会議において降伏を決定した1945年昭和20年)8月14日の正午から、国民に対してラジオ日本放送協会)の玉音放送を通じてポツダム宣言の受諾を知らせる8月15日正午までの24時間を指している。
 
陸軍将校の暴発厚木飛行場小園安名大佐の反乱、政府首脳等の苦衷を通して、ポツダム宣言の発表の後、広島と長崎への原子爆弾投下を経て迎える8月14日から15日にかけての極限状態の1日を中心に、ポツダム宣言を受諾するまでの大日本帝国の姿を描いている。
 
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阿南陸軍大臣三船敏郎)の最後の言葉が印象に残る。
「死ぬことよりも生き残るほうが難しい。生き残る人にはあらゆる苦しみがある。
歴史が変わるだろう。どのように変わるかはわからないが、生き抜き、耐え抜くことだ。二度とこのような惨めにならないようにしてもらいたい」と自身は切腹を決めて、部下に言い残した。
 
阿南は「進むも引くも、阿南について来い」と語った時に、若手の軍人は「引くことも考えているのですか」と、軍人で引くことは恥という考えが支配していた。
 
しかし阿南は「ご聖断は下った。ポツダム宣言は無条件で受諾した。不服のものは、この阿南の屍を越えていけ。陛下は阿南に対して、大変に苦しいことだと思うが、受けてもらいたいと申された」と意志は固かった。ただ、陸軍の中には、軍が政権を獲り本土決戦に持ち込めると考えるものもいて、玉音放送の阻止に向かって、反乱を起こす一派もいた。
 
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天皇陛下玉音放送は、録音されてその録音盤は、厳重に宮内庁で保管されたのだが、その録音盤を奪取して、放送を中止しようとする一部の反乱軍の猛烈な捜索が繰り広げられ、15日正午までの攻防は凄まじかった。

 
東京放送局NHK)のスタジオで、玉音放送の進行を務めるのは加山雄三陸軍省軍事課員・畑中少佐(黒沢年男)は、あくまでも徹底抗戦の構えで、最後の一兵卒まで戦うと主張、加山に銃口を向け、自分たちの声明を放送するように迫るが、許可がないので拒むシーンは緊張が走った。
 
政府関係者などが口を揃えて思ったのは「今日ほど長い日はない。疲れた。長い一日だった」ということだった。
 
最後に、太平洋戦争によって、戦死者数、一般人の死者数などがテロップで流れる。最初から最後まで、ナレーションが挟まれ、仲代達矢が担当していた。
 
戦争における狂気、二度と繰り返してはならない不戦を訴える骨太の映画だった。
2時間37分、最後まで引き込まれた。一部に、血しぶきが飛ぶ凄惨なシーンがあり、要注意。
 
三船敏郎の重厚な演技の他、血気盛んな陸軍少佐の黒沢年男、鈴木総理役の笠智衆、芳賀大佐(近衛師団)の藤田進、陸軍中佐の高橋悦史など迫力みなぎる演技に圧倒された。
 
オールスターキャスト映画で、今ではこれほどの豪華キャストは不可能だ。
 
 (登場順)   
東郷外相 ・・・・・・・・宮口精二
松本外務次官・・・・・戸浦六宏
鈴木総理・・・・・・・・・笠智衆
米内海相・・・・・・・・・山村聡
阿南陸相・・・・・・・・・三船敏郎
岡田厚相・・・・・・・・・小杉義男
下村情報局総裁・・・志村喬

井田中佐(陸軍省軍務課員)・・・高橋悦史
竹下中佐(陸軍省軍務課員)・・・井上孝雄
椎崎中佐(陸軍省軍事課員)・・・中丸忠雄
畑中少佐(陸軍省軍事課員)・・・黒沢年男

石黒農相 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・香川良介
荒尾大佐(陸軍省軍事課長)・・・・玉川伊佐男
大西軍令部次長・・・・・・・・・・・・・・二本柳寛
小林海軍軍医・・・・・・・・・・・・・・・・武内亨
迫水書記官長・・・・・・・・・・・・・・・・加藤武

川本秘書官(情報局総裁秘書)・・・江原達怡
老政治部記者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・三井弘次
不破参謀(東部軍参謀)・・・・・・・・・土屋嘉男
近衛師団長・・・・・・・・・・・・・・・・・島田正吾
矢部国内局長(NHK)・・・・・・・・・・・加東大介

小薗大佐(厚木基地司令官)・・・・・・田崎潤
菅原中佐(厚木基地副司令官)・・・・平田昭彦
木戸内大臣・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中村伸郎
蓮沼侍従武官長・・・・・・・・・・・・・・・・北竜二
清家中佐(侍従武官)・・・・・・・・・・・・藤木悠

内閣官房佐藤総務課長・・・・・・・・・・北村和夫
松阪法相 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 村上冬樹
杉山元帥(第一総軍司令官)・・・・・・岩谷壮
畑元帥(第二総軍司令官)・・・・・・・・今福正雄
佐々木大尉(横浜警備隊長) ・・・・・ 天本英世

加藤総務局長(宮内省)・・・・・・・・・・神山繁
筧庶務課長(宮内省)・・・・・・・・・・・・浜村純
古賀少佐(近衛師団参謀) ・・・・・・・・佐藤允
石原少佐(近衛師団参謀) ・・・・・・・・久保明
長友技師(NHK)・・・・・・・・・・・・・・・・草川直也

田中大将(東部軍司令官)・・・・・・・・・・・・・・石山健二郎
芳賀大佐(近衛師団歩兵第二連隊長) ・・・ 藤田進
佐野恵作(宮内省総務課員)・・・・・・・・・・・・佐田豊
佐野小門太(内閣理事官) ・・・・・・・・・・・・・上田忠好
白石中佐(第二総軍参謀) ・・・・・・・・・・・・・勝部演之

野中俊雄大佐(児玉基地飛行団長)・・・・・・伊藤雄之助
戸田侍従 ・・・・・・・・・児玉清
三井侍従 ・・・・・・・・・浜田寅彦
徳川侍従 ・・・・・・・・・小林桂樹
黒田大尉(航空士官学校)・・・・・・中谷一郎

伍長(宮城衛兵司令所)・・・・・・・・山本廉
板垣中将(東部軍参謀)・・・・・・・・伊吹徹
大隊長(叛乱軍) ・・・・・・・・・・・・・久野征四郎
巡査(首相官邸)・・・・・・・・・・・・・・小川安三
渡辺大佐(近衛師団第一連隊長) ・・・田島義文

館野守男(NHK) ・・・・・・・・・・・・・加山雄三
原百合子 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・新珠三千代
稲留大佐(東部軍参謀) ・・・・・・・・宮部昭夫
憲兵中尉 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・井川比佐志
厚木基地飛行整備科長 ・・・・・・・・堺左千夫
和田信賢(NHK)・・・・・・・・・・・・・・小泉博

今上天皇 ・・・・・松本幸四郎
ナレーター ・・・・仲代達矢

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