今や女流監督として「四十九日のレシピ」(2013)などで映画ファンに人気のあるタナダユキ監督の作品を初めて見たのは「百万円と苦虫女」(2008)だった。「百万円と苦虫女」で第49回日本映画監督協会新人賞を受賞、注目された。
タイトルから見ると、アメリカ映画の”ボニーとクライド”のギャング映画「俺たちに明日はない」のパロディっぽいがまったく関係なく、男子高校生を中心に、思春期の恋と性を苦く切なく描いた青春コメディー。性と生がこの監督のテーマのようだ。
毎日を何となく過ごす6人の高校生が、楽しいことばかりではない恋愛を経験する。
高校3年でたばこを吸い、初体験を焦るあまりの行動・しぐさがとにかくおかしく、笑わせる。相手の女子生徒は、教師と関係を持ち、間もなく結婚するが、柄本に対しては、「ガキだね」と冷め切った目でみていて「ばっかじゃないの」とほとほとあきれ返る言動もさばさばしている。
卒業式も終わり、柄本時生がつぶやく。
「何にもすることがなくなった。明日からどうしよう。」
この映画の中で「17歳」の曲が何回も登場し、ラストシーンでも、流れる。
もともとは、南沙織が歌ってヒットした「誰もいない海、二人の愛を確かめたくて♪」だったが、映画では、女子高生がハミングしたり、ラストでは、アレンジされていた。
思春期のほろ苦さを描いた映画だが、「青春時代」の曲の中に”青春時代の真ん中は、道に迷っているばかり♪”という歌詞のように、青春時代はもがき苦しむばかりで”あとからほのぼの想うもの”であるようだ。
田口トモロヲなどが共演。
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監督作品:(青:4本鑑賞)
「タカダワタル的」(2004年)- 監督
「月とチェリー」(2004年)- 脚本・監督
「百万円と苦虫女」(2008年)- 脚本・監督 ☆☆☆☆
「ふがいない僕は空を見た」(2012年) - 監督 原作:窪美澄 ☆☆☆
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