広末涼子は、前作のラブ・コメでの”胸キュン”とは打って変わって、小学校の入学式に参加する途中で交通事故で娘を亡くし、苦悩する母親を演じて、熱演だった。
亡くなった娘にもう一度会いたいという強い願望が、娘を”生まれ変わり”として、母親に引き寄せる。
カメラは、手持ちカメラのように、斜めになったり、不安定に家族や光景をとらえるので、なにやらホラーっぽい展開だった。 映像も、顔を映さず、下半身の足元だけを映したり、というシーンが多い。
栃木県足利市に住む主婦・桐原容子(広末涼子)は優しい夫・信樹(稲垣吾郎)と可愛い娘・加奈子に恵まれ、幸せな日々を過ごしていた。容子は、加奈子に、自宅の住所を覚えさせていた。「とちぎけん・あしかがし・・・」とくりかえし、くりかえし(この何気ないシーンが、あとで伏線として効いてくる)。
今日は、加奈子の小学校の入学式。
夫に娘と一緒に学校まで送ってもらった容子は、記念写真を撮ろうと、デジカメを車に取りに行ったが、その間に不幸な事故が起こった。
車から離れた加奈子が、一瞬のうちに車にはねられて死んでしまったのだ。
現実を受け止められない容子は、ソファの上に寝込んだまま、ショックを引きづっていた。
葬儀の手配はすべて夫・信樹が手配した。
葬儀を済ませ、火葬場から戻ってきた骨壺を見ても、容子には娘だとは思えなかった。
「加奈子はそこにいないと思う」と容子。
「じゃあどこにいるっていうんだよ!」と信樹。
「じゃあどこにいるっていうんだよ!」と信樹。
夫が役所に死亡届を提出しているあいだ、家に一人いた容子は憎いデジカメを「おまえのせいで!」と床に投げつけて踏みにじる。容子の中にある凶暴性が垣間見えていた。
初七日の法要にも、容子は参加せず、一人家で娘に会いたい気持ちをつのらせていた。「会いたい・・・会いたい・・・会いたい・・・会いたい・・・」とつぶやく容子。
いつの間にか目の前には、ロープの輪が下がっていた。
「会いに行く・・・会いに行く・・・会いに行く・・・」
自殺を図ろうというのだ。
足下の椅子を蹴り飛ばして・・・。
だがかろうじて助かった広末。
ようやく復活して家族の朝食を作っている。
夫と自分の分、それに加奈子がいないのに、テーブルの上にはオムライスが。
信樹:「いいかげんやめないかそれ」
容子:「加奈子はここにいるのよ。あなたには見えないの?」
容子:「加奈子はここにいるのよ。あなたには見えないの?」
そして、四十九日の法要にも容子は出てこなかった。
そんなある夜、加奈子が可愛がっていた愛犬ジロー(柴犬)が鎖を引きちぎって走りだしてしまう。
容子は、必死にジローを追いかける。「ジロー!ジローどこへ行くの?」
犬のあとを追っていった先に倒れていたのは妊婦の正美(福田真由子)だった。
正美は高校生だったが大学生に妊娠させられ、学校を中退、将来をはかなんで欝に沈んでいた。
正美の看護をする容子。そこへやって来たのは正美の元担任である小学校教師(吉岡真由子)だった。
「わたし・・・子供を亡くしたばかりなので、他人とは思えなくて・・・」
「おいくつになるんですか?」
「この春から小学校に入るはずでした」
「もしかして桐原さんですか。わたしが担任になるはずでした」
「おいくつになるんですか?」
「この春から小学校に入るはずでした」
「もしかして桐原さんですか。わたしが担任になるはずでした」
偶然というのがあるものだ。
ジローの引き合わせに違いない・・・と、完全にサイコな容子は正美の腹にいる子が加奈子の生まれ変わりに違いないと決めこむのだった。
自分の娘が亡くなったことから、主人公・容子の行動は、変化していく。
ある赤ん坊が、亡くなった娘・加奈子の生まれ変わりに違いないと思いこんで、その子供に、好みの食事、犬と猫がどちらが好きかと聞いたりする(加奈子は犬に親しんでいた)。その子供の答えは「犬は怖い」だった。
ところが、性別は男だが、別の子供に聞くと、自分に「ママ~」と言ってきて、容子は「生まれ変わり」と確信する。夫・信樹は、この子供の両親に、「容子も(違うということは)わかっているはず。少しの間だけ時間をください」と懇願するのだった。
ほんの少しの数時間、その子供を加奈子として、いっしょに過ごす容子。
子供を返すと、その家族には柴犬を3年前に拾い育ててきたという。その柴犬こそ、ジローだった・・・!
そして、自殺を図った容子がなぜ助かったのか、というオチが最後にあった。
ところで、この音楽を担当しているのが、今年2月、「ゴーストライター問題」が明らかになった佐村河内守。これを受けて「桜、ふたたびの加奈子」製作委員会とポニーキャニオンは本作のDVDとBlu-ray Discを2014年2月10日より出荷停止にする措置をとった。2014年2月22日から本作を放送予定だったWOWOWは、本作の放送を取りやめ、他の番組に差し替えるという事態を引き起こした。
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