大学院に籍を置く学生、伊達邦彦(仲代達矢)は戦争で心に傷を受けた世代の生き残り。普段は物静かな秀才として平穏な日々を送っているが、それは表向きの顔。
彼の心の奥底には暗い憎悪と怒りが渦巻き、影では射撃、スポーツ、特殊技術の習得にストイックに没頭していた。この世で信頼するものは金と武器、そして力。
やがて彼は、心に巣食う闇と日頃培った能力を解き放つかのように、空前の完全犯罪を計画する。最初の殺人、強盗を犯し、逃げおおせる伊達。ただ己のみを信じ、何者をも拒むローンウルフ、伊達邦彦。“野獣”は野に放たれ、物語は幕を開けた・・・(HPより)。
ただ、こちらのほうは、犯人と接触のあった女を空港で発見し、その足取りを追うことになり、「犯人逮補はハワイでもカリフォルニアでも可能だ」ということで、途中のハワイか、サンフランシスコの空港で逮捕されるかもしれないという余韻を残している。
主演の仲代が26歳の時の作品で、常日頃は優秀な大学院生の顔だが、裏の顔は「サイコ」のノーマン・ベイツのように役柄を異常な性格でストイックに演じている。
純喫茶「ロリータ」という店で酒を飲んでいる時に、花売りの年配の女性に、歌を歌って踊れば儲けさせてやると札束を投げつけたり、大学の授業料が未払いの学生に近づき、自分の強盗計画を手伝わせた挙句に殺したりという異常さ。
捜査に当たる警察内部では、科学捜査を根本に進める捜査一課長と、カンに頼るベテラン刑事の考え方の相違が描かれたり・・・。
犯罪を犯すのは、やくざなどと決めつける警察組織に対して、真面目なサラリーマン、貧しい学生などが、ゆがんだ社会への怒りから殺人を犯す、という意見もあった。経験だけでは、犯人の範囲を見逃してしまうというのだが、このことを発言していたのが、記者の取材に対応していた犯人(大学院生)自身だった。
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警察では、犯人は野獣であって、野獣ではなく、ゆがんだ社会が生み出した機械だと結論付ける。
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