fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「Steve Jobs スティーブ・ジョブズ」(2013)</span>

 

 
Steve Jobs スティーブ・ジョブズ」(2013年)は、そのタイトルの通り、2011年に死去したアップルの創設者、スティーブ・ジョブズの生涯を描いている。
 
映画の中で、スティーブ・ジョブズの部屋には、アインシュタイン肖像画が飾られていて、さりげなくアップで映し出されていた。ジョブズが発明家アインシュタインを敬愛していたことをうかがわせる。
 
もし、後世の歴史で、20世紀後半から21世紀初頭の情報革命の時代の偉大な人物を選ぶとすれば、マイクロソフトビル・ゲイツとアップルのスティーブ・ジョブズの名前は必ず出てくるだろうことは想像できる。
 
映画の中で、アップルが開発したOSだったかをマイクロソフトビル・ゲイツが盗んだとして、ジョブズゲイツに怒り狂うシーンもあった。いい意味で、この二人はライバル関係にあったようだ。
 
・・・
映画は、ラストシーンで、「2012年9月にアップルは、時価総額で世界一の会社になった」という言葉が画面にでるが、映画は決して天才といわれたスティーブ・ジョブズの成功物語を描いているわけではない。

むしろ逆で、周りの経営陣(取締役会)との軋轢や、衝突、四面楚歌の実態などジョブズの強烈な個性や苦闘といった内面を描いたドラマである。性格的には、思いこみが強く、他人に自分の考えを押し付け、一緒に仕事をしたくないタイプの人物。
 
スティーブ・ジョブズを演じるアシュトン・カッチャー(正確には、クッチャーと発音するらしい)という俳優は、群像劇「ニューイヤーズ・イブ」(2011)を見たくらいだが、「ジョブズ」では、本物のスティーブ・ジョブズが乗り移ったような演技を見せている。
 
・・・
コンピューター業界の巨人「IBM」などは、当初は、”パソコンなんておもちゃ”と小バカにしていたが、実はアップルがアップルIIなどのパソコンで大成功を収めたことを知るや、パソコン市場に参入して、後にいわゆるパソコン王国を築くことになった。
 
アップルは、何度も倒産の危機にあいながらも、iPodなど他社にないオリジナルのコンセプトの商品を次々に打ち出して、一般消費者向けの新市場を開拓してきた。現在のスマートフォン時代を切り開いたのも、第一号機を投入したのはアップルで、2007年に「iPhone」を発表した時の世の中の興奮は今でも覚えている。
 
iPhoneスマートフォンの代名詞であり、新しいライフスタイルを生んだのだった。

日本の会社はなぜ、こうした想像的な発想ができないのか不思議。
映画の中では、ソニーの「ウオークマン」のような製品を世の中に出したいということばもあったのだが・・・。
 

・・・
それはさておき、映画では、大学を中退し禅や仏教に傾倒しながらも、無為の日々を送るジョブズは、親友のウォズニアックの趣味であるコンピュータに興味を持つ。
 
2人は友人たちの協力を得て世界初の個人向けマシンApple Iを商品化。
ジョブズは自宅ガレージを改造して、ウォズニアックらとアップルコンピュータを設立する。
 
ジョブズは社長として経営に辣腕をふるい、77年にApple IIを発売、大ヒットとなる。(この製品が発表されたのは「第一回ウエストコースト・コンピューターショーという展示会=映画にも登場。後にパソコン関連の世界最大の展示会「コムデックス」展示会として拡大していく。)

コムデックスが世界のITの最先端技術が発表される場であることから、コムデックス(ラスベガス開催)そのものをソフトバンクが当時確か1,100億円で買収した。)

ソフトバンクの大博打だったが、その後コムデックスは消えた。
このコムデックスには20年以上前だが、米駐在員時代にfpdは、5年間毎年訪問した。コムデックスの会場で、スティーブ・ジョブスのアップルの共同創立者であるウォズ二アックのプレゼンテーションを聞いたことがあるが、機関銃のような語りで、自社製品のアピールをしていたのが印象的だった。
 
・・・
25歳にして成功を手中にしたジョブズだったが、そのときから周囲との軋轢に苦しみ、挫折と栄光を味わうことになる。
 
パソコンといえば、WindowsのOSを中心としたIBMとIBM互換機(クローンといわれた)メーカーのデル、コンパック(後にHPに買収される)の時代が続くが、IBMはパソコンに見切りをつけ、パソコン事業を中国のレノボに売却。

日本のパソコンメーカーも、富士通、NECなど一部が残っているが、ソニーが撤退するなど、時代は、パソコンから、タブレットスマートフォンの時代を迎えている。そうした中で、アップルのファンは根強く、今でもデザイナーや、DTPではマックのシェアは高い。
 
・・・
映画での若きジョブズそっくりと言われていたアシュトン・カッチャーを主演に迎え、共演はダーモット・マローニーマシュー・モディーンらベテラン陣が脇を固めている。
 
・・・
ジョブズは、自分は技術者であって、マーケティング(販売)に弱いので、外部からCEO(最高経営責任者)を招へいすると主張。それが「ペプシ・コーラ」の社長・ジョン・スカリーというのだから、アップル経営陣は「そんなのできるわけがない」と反対。
 
ところが、ジョブズのすごいところは、その巧みな”口説き文句”。
以前にも聞いたことはあったが、それは「一生、砂糖水を売って終わるのかソーダを売ったことなど忘れられる。(ペプシが砂糖水!とは)俺と一緒に、仕事をしないか」だった。この殺し文句で、ペプシコの社長からアップルの社長に転身したのがジョン・スカリーCEOだった。
 
スカリーは、「コンピュータを売るのではなく、コンピューターでできることを売るのだ。心のツールだ。それは限りがない(リミットレス)だ」と不可能を可能にするというメッセージを社員に徹底していくのだった。
 
しかし、スカリーにとって、ビジネスの最大の障害となるのが、直近の売り上げに貢献しないで、金食い虫の開発に没頭するジョブズ自身だった。そこで、ジョブズを解任してしまうのだ。
 
自分が雇った人間から自分自身がクビにされるという屈辱も味わうジョブズ
 
・・・
ジョブズのすごいところは、技術者であると同時にビジネス交渉能力のすごさにあった。映画でも随所に見られた。販売店に対して、ボードだけを売るという提案に驚く販売会社社長。
 
客は、完成品を求めているのに、ジョブズは、ボード以外のモニター、キーボードは別売りすればいいという考えだった。モニターも売れるというわけだ。
 
ここでも販売会社社長にも、「次のモデルにも興味があるだろう?」と思わせぶりな言葉を残す。「セカンド・モデルがあるのか?」。「オール・イン・ワン(モニター一体型パソコン)だ!」。
 
・・・
こうして次々に斬新なアイディアで、アップルは、成長していった。
IBMがパソコンに参入した時には、「ウォールストリート・ジャーナル」紙にアップルは、全面広告を打った。それは挑戦的なコピーだった。
 
「IBMさん、ようこそ、パソコンの世界へ」の大見出しが躍っていた。
 
・・・
日本での「アップル」の初広告は今でも覚えている。
 
日経新聞の全面広告だった。
全面白紙のような真っ白なスペースに、小さな文字で、こうあった。
 
「アップルとはリンゴです。アップルなんていう会社は聞いたことがないと思うかもしれません。しかし、やがて、あのアップルだったのか、という日が必ず来ます。」
だった。
 
なんと、挑戦的で野心に満ちていたかと振り返るのである。
 
・・・
 
製作 : ジョシュア・マイケル・スターンマーク・ヒューム
脚本: マット・ホワイトリー
撮影: ラッセル・カーペンター
美術: フレディ・ワフ
衣装: リサ・ジェンセン
編集: ロバート・コマツ
     ダーモット・マローニーマイク・マークラ)
     ジョシュ・ギャッド(スティーブ・ウィズニアック
     ルーカス・ハース ダニエル・コトキ)
     J・K・シモンズアーサー・ロック)
 
☆☆☆
 
 
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「にほん映画村」に参加しています:
ついでにクリック・ポン♪。