昨年話題になった映画の1本「そして父になる」をようやくみた。
是枝裕和監督作品は「誰も知らない」で初めて見て、子供たちの自然体の演技と実話というストーリーに驚いたが、「歩いても 歩いても」は、それぞれの立場で感情移入できる作品で印象に残った。「空気人形」「奇跡」は期待ほどではなく、とくに「奇跡」は、まったく印象に残らない作品だった。
好みが分かれる監督かもしれない。
昨年の個人的な邦画のベスト5で、当時評判だった「そして父になる」を見たら、
1位にしたいという記事を書いたが、結果は「4位」に落ち着きそうだ。
※映画を見ずに「1位」としていいの?3位、4位では?というコメントがあり、
まったくその通りでございました、と付け加えます(笑)。
2013年度個人的ベスト5(邦画):
②「舟を編む」
③「横道世之介」
④←「そして父になる」
④→⑤「ストロベリーナイト」
⑤→次点:「許されざる者」
&「東京家族」「箱入り息子の恋」(←追加)
病院の一人の看護婦の悪意によって、二つの家族が翻弄される姿を通して、
父親としての自覚と成長を描く。病院での赤ん坊の取り違えにより、6年もの間、
気づかずにともに生活した「時間」と「血」のつながりの問題を提起しているといえる。生みの親より育ての親、という言葉もある。
二つの家族の対比も面白い。
かたや、プライドの高い建築会社のエリート社員で、都内の高層マンションに住む一家と、かたや田舎の電気屋を経営するたたき上げの職人の一家。子育ての方針も全く違う。
こんな話:
そんなある日、慶多を出産した病院から「重要なお知らせがある」と呼び出される。
出生時に子どもの取り違えが起き、実の息子は慶多ではなく、斎木家の琉晴(黄升)だというのだ。ショックを受ける良多とみどりだが、取り違えられたもう一組の家族、群馬で小さな電気店を営む斎木雄大(リリー・フランキー)・ゆかり(真木よう子)。
その二人と対面した良多とみどりは、「子どもの将来のために結論を急いだ方がいい」という病院の提案で斎木家と交流を始め、病院を相手取って裁判を起す。
6年間愛してきた他人の子どもと、血の繋がった実の息子。子どもを交換するべきか、このまま育てていくべきか、葛藤の中で良多はそれまで知らなかった慶多の思いに気づく(Wiki)。
・・・
良多は、仕事が忙しく、子供と一緒にいる時間が少なかった。
「子供は、一緒に過ごした時間だ」という斎木雄大に対して「僕にしかできない仕事がある」と反発するのだが、雄大は「父親というのも、取り返しのつかない仕事やろ」と痛いところを突いてくる。さらに、「負けたことがないやつには、本当の人の気持ちはわからないもんだ」とダブルパンチを見舞わせる。
家に帰った良多は「なんで電気屋にあんなことを言われなければならないんかなあ」と振り返る。
良多が子供の取り違えが発覚した時に発した言葉が妻・みどりには引っかかっていた。みどりは良多に「取り違えがわかったときになんて言ったか覚えている?」と聞くと、「(母親なのに)なぜわかんなかったのか」だろうというと「そうではなく、やっぱりそういうことかと言ったの。やっぱり、ってどういう意味?自分ほど優秀ではないということだったんでしょう」と。
「あの一言だけは、一生忘れないわ。」・・・確かに女性は、相手が「あの時こう言った」というのはよく覚えているようだ(笑)。
・・・
雄大は、口は悪いがもっともなことをいう。
その点、良多は、子供と一緒に凧あげをしたこともない。
・・・
良多は、職場を郊外に移されることになる。
これは、アクセルを踏みっぱなしで走ってきた良多に対して、上司が、たまにはブレーキを踏むべきだとして、すこし忙しさから解放されたほうがいいという計らいだった。
最後には、親の立場からではなく、子供の立場で、子供が何を考えているのか、に目覚めていく良多がいた。
比較的地味なアート系の映画だが、30億円の興行収入がありヒットした。
☆☆☆
監督作品:太字が見た作品
幻の光(1995年)
ワンダフルライフ(1999年)
DISTANCE(2001年)
誰も知らない(2004年)☆☆☆☆
花よりもなほ(2006年)
歩いても 歩いても(2008年)☆☆☆☆
大丈夫であるように -Cocco 終らない旅-(2008年)
空気人形(2009年)★★
奇跡(2011年)★
そして父になる(2013年)☆☆☆
海街diary(2015年) ☆☆☆
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