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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「もらとりあむタマ子」(2013)</span>


 
映画「もらとりあむタマ子」(2013)は、昨年11月23日公開された映画。
当初、東京新宿の武蔵野館を含む4館の限定公開だったが後に拡大公開された。

昨年のキネマ旬報(邦画)ランキングで「9位」と高評価され気になっていたので見た。映画の時間が1時間15分とコンパクトなのがいい。
 
監督は、若手有望監督の一人といわれる山下敦弘監督(37)。
監督と主演女優の名前にそれぞれ「敦」という字があるが、監督の名前の読み方は「のぶひろ」で「あつひろ」ではない。主演の元AKBのエース・前田敦子(あつこ)は、山下監督の「苦役列車」(2012)にも出演している。
 
前田敦子はAKB在籍時代に通称「もしドラ」(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら)に出演しているが、主演映画としては「クロユリ団地」(2013)が最初ということになる。このホラー映画は未見だが「もらとりあむタマ子」では、前田敦子が脱力系で、だらだらとした生活ぶりが板について、今後の作品の中でも代表作の1本になるかもしれない。
 
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映画は、一人の23歳の女性が、東京の大学を出たものの、父親がひとりで暮らす甲府の実家に戻ってきて就職もせず、家業も手伝わず、ただひたすらに食っちゃ寝の毎日を送る様子を映し出し、やがてわずかな一歩を踏み出すまでの「秋」「冬」「春」という四季の移り変わりを背景に1年を追っている。
 
モラトリアム(Moratorium)という英語としての意味は、もともと借金などの「支払猶予」のこと。そこから転じて、「肉体的には大人ではあるが、社会的義務や責任を課せられない猶予の期間」という意味で使われている。

日本では、1978年初版の「モラトリアム人間の時代」という本が話題になった。その影響で、社会的には大人の年齢に達しているのに、大人になりたくない気分でいることを指す場合や、大人になるための心理的な葛藤や乗り越えなくてはいけないことを先延ばしにしている人や、その状態のことを意味することがほとんどという。

例えば、この映画の主人公のように、大学を出てもやりたい事が定まらず、ふらふらして、食べたり寝たりするだけの状態も、モラトリアムと言えるのだという。
 
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「秋」・・・衣服を着たまた、散らかり放題の部屋でだらだらと寝ころんでいる女性がいて、父がドアをノックするが反応もなし。スポーツ用品店の店名は「甲府スポーツ」とあり、朝、店主と思われる主人公の父親(康すおん)がMIZUNOという立て看板をだし、入口のマットを敷き、板の看板を裏返しにして「営業中」にする
 
父親が、店の机に座っていると、隣の居間では、娘・タマ子(前田敦子)が、ご飯を食べ始める。テレビのリモコンを片手にして、いかにも面倒くさそう。
 
しばらくすると、 父親が二階の物干し場か、洗濯物を干している。
その中には、娘のパンティやブラジャーもある。娘は洗濯もしないで父親まかせのようだ。食事の後片付けもしないタマ子。父親が呼んでも、うるさそうに「なーに」というのみ。掃除も父親がマメに行い、タマ子に部屋を掃除してもいいか、と聞く有様。
 
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父親が、ある時、注意する。
「大学を卒業して、食っちゃ寝ばかりで、就職活動をしないのか」というと、「その時になったら」と曖昧な返事を返すタマ子。「その時って、いつなんだよ」とさらに問い詰める父。
 
むっとしてタマ子が発した言葉は、「少なくとも・・・」と返してきたので(1か月以内とか、3か月以内、という言葉がでてくるだろうと思ったら、そうではなく・・・)
 
今ではない!”だった。「今でしょ!」の流行語を意識した言葉だろう。
 
しかし、いろいろなことが淡々と起こり、時が流れていくが、翌年の春には、タマ子が洗濯ものを干していた。その中には、父親のトランクス(パンツ)もあって、汚いものをつかむようなしぐさだが干していた。
 
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タマ子は、仕事(オーディション)を受けようと思っていた。
ごみ箱に捨てられていた履歴書をたまたま拾って覗いてみる父親。
 
くしゃくしゃになった履歴書を見て、なんとなくうれしくなる父親。履歴書には、学歴のほかに、趣味:カメラ、人間観察などと書いていた。そして備考欄には、「今の私は、私ではありません。誰かを演じている時が一番楽しいです。そんな私に新しい名前をつけてください」とあった。
 
・・・
父親が、アクセサリー教室の洋子(富田靖子)という先生を再婚相手に紹介されたことを知ったタマ子は、言いなりになる中学一年の男の生徒を使って、その相手が美人かどうか、偵察に行かせたり、自身も、アクセサリー教室に行って、直接その人に会ったりといろいろなことが起こるが・・・。
 
その教室の洋子先生は、タマ子にとって印象もよく、その洋子先生に父のことを「外面(そとづら)だけはいいんですよ。5分もじっとしていないし、洗濯のたたみ方もうるさいし、料理も作ってしまうんです。一番ダメなのは、23歳の娘に家を出ろといえないことなんです」と話すのだった。
 
・・・
しかし、タマ子が、「洋子さんはいい人だよな」と父親に言っても「いまさら他人と暮らすのなんかいやだよ。夏が終わったら家を出ろ!就職が決まっても、決まらなくても、とにかく家を出ろ!」と言う言葉が返ってきた。
 
タマ子は、大きな声で一言。 合格!」。
父親は、「なんだそれ」。
 
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ある早朝、店の立て看板を取り出し、入口マットを敷き、「営業中」の看板を差し替えるタマ子の姿があった。毎朝の変わらぬ光景だが、それを実行している人間が違っていた。
 
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そして、ラストシーンが、にやりとさせられるしゃれたエンディングだった。
 
タマ子が何かにつけ、アゴでこき使っていた写真屋の中学一年生(今は2年になった)は、ガールフレンドがいたのだが、「彼女はどうした?」と聞くと、「よくあるパターンで、○○○○になった」と言ってきた。
 
「ふふ、○○○○なんて言う言葉、久々に聞いたわ」で、かすかな笑いがこぼれる
タマ子だった。(○○○○を知りたい人は、一番下で反転で・・・)
 
この映画を見ていて、父親と娘の間には、ベルリンの壁のような城壁があるようだ。父親にしてみれば良かれと思ってしたことが、娘にとっては余計なことであったり、迷惑だったりする。時計をプレゼントされて喜ぶかと思ったら、逆効果。「(高いものにつぎ込んで、と)いくらだった?いくらだった?」と入浴中の風呂場まで、問い詰められるのである(笑)。人がいい父親は、大したことないと、ごまかすが納得できないタマ子。
 
しかしいったん”ベルリンの壁”のようだった壁も取り除かれることが起こるのだ。
 
教訓:「人がいい」というのは決して褒め言葉ではなく、いいことではないようだ。
    お人よし、にも通じるかもしれない。(fp・・・も、外面ばかりよくて・・・といわれ     ることがある?!サルのように反省。)
 
    
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
この映画、guchさんにおすすめかもしれない。
 
○○○○とは・・・。
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☆☆☆
 
 
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