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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「永遠の0」(2013)</span>


 
永遠の0」を遅くなったが、今日(3月6日)見た。
昨年末から公開されていて、現在足掛け4か月目に入るが、平日だったため観客は少なかったが、最近では珍しいロングラン上映だ。
 
監督は「Always三丁目の夕日」シリーズ、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」などの山崎貴(たかし)。山崎監督は、映画「未知との遭遇」などを見て、特撮マンの道を目指したといわれ、CGやVFX(特殊効果)が「永遠の0」では、いかんなく発揮され、戦闘機同士の空中戦や、戦艦との爆撃戦がリアルに映し出されている。2時間25分という長さだが、人間ドラマとしても見ごたえがあった。
 
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昭和16年からの太平洋戦争から終戦直後までの時代と、映画の中の現在(2004年)の二つの時代が並行して描かれるが、テーマは夫婦の絆と言えるかもしれない。
 
物語は大石家の葬式のシーンから始まる。
式の途中で、亡くなった大石松乃の夫と思われる老人・大石賢一郎(夏八木勲)が、号泣して、泣き崩れる。家族は、祖父のその様子を見て、なぜそれほどまでに慟哭するのか当初は理解できなかったが、封印されてきた事実が、やがて明らかにされる。
 

 
佐伯健太郎三浦春馬)と姉・慶子(吹石一恵)の亡くなった祖母・松乃は、大石賢一郎とは再婚であり、最初の松乃の夫は、特攻隊員として、戦死したことを知る。大石賢一郎もいつかは、本当のことを孫たちにも伝えたいと考えてきたが、まさにその時が来たと、語り始めるのだった。
 
一方で、健太郎と出版社に勤務する慶子は出版の目的もあって、亡くなった祖父・宮部久蔵(岡田准一)という人物について関心があり、調べるべることにした。祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかったからである。生き残った戦友たちを訪ね歩くと、驚愕の事実が明らかになっていく。
 
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戦争中は「国のために闘い死ぬ」というのが当然の風潮だったが、宮部だけは、妻・松乃(井上真央)や娘のためにも、絶対に生きて帰るべきだという考えだったことから、隊員仲間、上官からは、臆病者扱いされていた。そのため、健太郎と慶子が、宮部を知る生き残った多くの人物たちから口をそろえて言われるのは「卑怯者だ」「臆病者だ」という言葉だった。
 
ところが、宮部の本当の姿を知るものもいた。
宮部が教官だった時に指導を受けていたものの中には、「生きぬくことだ。無駄死にすることなく、生き残って、戦争が終わった後の日本の将来のために働くことだ」と強く語っていたというのだ。
 

 
宮部によって、助けられた、生き延びることができたという人物が何人もいた。
井崎源次郎 (橋爪功:青年期:濱田岳)もその一人で、病床にあったが、余命3か月の末期がんと言われたが、6か月経っても元気でいられたのは、宮部の孫たちに「宮部さんの真実を伝えるためだったんだな」としみじみ語る。
 
宮部が、休暇を利用して一度だけ、家に帰ったことがある。
その時、妻に「たとえ腕が無くなっても、足が無くなっても、あるいは死んでも、生まれ変わってでも帰ってくる」と妻と約束をした。
 

 
そしてその結果は・・・。
 
健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって封印されていた驚愕の事実にたどりつく。はるかな時を超えた愛の物語ということができる。
 
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夏八木勲の遺作となる映画でもあった。
主人公・宮部久蔵を演じる岡田准一が渾身の演技を見せている。
ゼロ戦の飛行機で機が逆さになることもあり、そのために、同じ態勢になり日々体を鍛えたり、重い鉄を持ち上げたり努力を怠らない。部下の航空隊員に、「絶対に生きて帰れ」と鬼気迫る形相で訴えるところは迫力があった。
 
宮部に対してライバル心があった景浦(新井浩文)は、爆撃テストで、宮部に負け、
「いっそのこと、撃ち落とせ」と懇願するが、助けられ、宮部のためには全力で応援する立場となった。
 
生き残った現在(2004年)の景浦(田中泯)の元を訪ねてきた宮部の孫・賢一郎(三浦春馬)には、最初は、「宮部を臆病と思う」という人間には一切話はしないと断固拒否していたが、賢一郎が、「なぜ(臆病者と言われた)祖父・宮部が特攻隊に志願したか」の疑問を投げたため、景浦が真実を語ることになるくだりは、田中泯の見所だった。
 
いまは裏社会の人物なのか、やくざの用心棒のような男が常にそばいる。話が終わった後、賢一郎をハグして「若い男は好きだ」というのは、ちょっと、あれれ・・・だが。
 
山本學といったベテラン俳優の味わいのある演技や若手で注目株の一人、染谷将太などが、印象深い。「ヒミズ」で注目された染谷だが、大いに期待されているようだ。ほかに、三浦貴大などが出演。ほかに風吹ジュンなど。
 

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映画のセリフの中で、印象に残った言葉は「戦争を実体験した世代は、あと10年後くらいにはほとんどいなくなるだろう。そのためにも、若い世代の人たちに伝えることができてよかった」だった。
 
2013年の映画では、年末公開となったため、日本アカデミー賞の今回の対象作品にはならなかったようだ。
 
話題作であり、できれば大画面の劇場で観るのをおすすめ。
 
☆☆☆
 
 
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