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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「さよなら渓谷」(2013)</span>


 
2013年度のこれまでの数々の映画賞やキネマ旬報最優秀女優賞などを総なめにしてきた真木よう子主演の「さよなら渓谷」をようやく見た。日本アカデミー賞の最優秀女優賞も本命視されているが、ほぼ間違いないだろう(結果:主演女優賞受賞)。
 
真木よう子は、体当たり演技もそうだが、過去に深い傷を負った女性の哀しみ、悔しさ、憎しみ、絶望感、さまざま去来する心理を時には激しく、時には空虚に遠くを見つめるまなざしであらわしていた。
 
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悪人」「横道世之介」などの原作者として知られる芥川賞作家・吉田修一の小説を、「まほろ駅前多田便利軒」などの大森立嗣(たつし)監督が映画化。
 
 
幼児が殺害された事件をきっかけに暴かれる一組の夫婦の衝撃的な秘密を描きながら、男女の愛と絆を問う。愛と憎しみのはざまで揺れるヒロインの心情を「ベロニカは死ぬことにした」「モテキ」「SP」などの真木よう子がリアルに体現。

その夫役には「キャタピラー」などの大西信満がふんするほか、大森監督の実弟である大森南朋(なお)をはじめ、井浦新新井浩文ら実力派が名を連ねる(「シネマトゥデイ」より)。
 
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安アパートのような部屋で、絡み合う男女の冒頭から、この二人の過去がフラッシュバックされ、描かれていく。緑が生い茂る渓谷で幼児の殺害事件が発生し、容疑者として母親が逮捕される。

隣の家に住んでいる尾崎俊介大西信満)がその母親と不倫していたのではないかという疑惑が、俊介の妻かなこ(真木よう子)の証言によって浮かぶ。

事件を取材する週刊誌の記者、渡辺(大森南朋)がさらに調査を進めていくうちに、尾崎夫妻をめぐる15年前の衝撃的な秘密にたどり着き・・・(「シネマトゥデイ」)。
 
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雑誌記者が調査を進めるうちに、15年前に和東大学で起きた事件にたどり着く。野球部員3人が退部したのはなぜか。その後の三人の消息は・・・。
 
かな子は夫・俊介に語る。
「記者にすべて話した。幸せかと聞かれた。答えたよ。私たちは幸せになるために一緒にいるんじゃないって。私が決めることよね」と。
 
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渡辺記者(大森南朋)は俊介から知らされる。
ある日、「さよなら」の置手紙ひとつおいてかな子は出て行ったと。
「幸せになりそうだったから。一緒に不幸になろうと約束した」と俊介。
「それでいいんですか」と記者。
「どんなことをしても彼女を探し出します」(俊介)。
 
事件の加害者となった俊介と被害者・かな子を追跡する渡辺記者が、俊介に最後に聞く。
 
「事件を起こす前に戻れるとしたら、事件を起こさなかった人生と、(事件を起こして)かな子に会った人生とどちらを選ぶか?」と。その男の答えは・・・「?」。
 
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シリアスなドラマで、俊介とかな子、渡辺と妻との二組の夫婦関係も描かれ、考えさせられるところも多い。加害者・俊介は大学で野球選手、渡辺記者はラグビー選手だったことで、同じスポーツに身を置き、渡辺自身が俊介と重なる部分があると感じていたようだ。

渡辺とともに取材する記者の小林(鈴木杏)も独自に調査し、被害にあった女性や加害者などを詳しく調べていた。渡辺に対しても、表面的だけでなく裏には、隠された人生があることを告げる。
 

 
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被害にあった女性の複雑な心理。
「私が死んで、あんたが楽になるのは絶対に許せない」と語る一方、「あんたが逃げると思った。だけど戻ってきてほしかった」と語るが、自身に対する相手の罪を償ってもらう、ひとりだけ幸せにはさせない、一緒に不幸に生きるというのが目的だったようだ。
 
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重いテーマで、全体的に暗いトーンだが、一見平凡に見えた夫婦に消し難い過去があり、体当たりでぶつかった真木よう子の熱演ぶりが光る映画だ。
 
☆☆☆
 
 
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