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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「舟を編む」(2013)</span>


 
舟を編む」は、今年の邦画の中では、映画の醍醐味にかけるが、いろいろな意味で評価はでき、2013年個人的邦画ベスト10には入れたい作品だ。
 
雑誌、書籍の編集に携わったこととがある人間から見ると月刊雑誌などの場合、「初校」(注:「校」は「校正」)→「再校」→「オフ校(3校)」で終了だが、「5校」までとは根気がいる。
 
日刊の新聞や週刊誌、月刊誌などは、誤りがあれが「訂正」を次号で入れられるが、単行本や辞書の類は、いったん出版したら、訂正を入れられないからだ。製本・出版された後で、誤字などがあった場合には、ペラの紙一枚の「訂正」を差し込むしかない。
 
 
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2012年本屋大賞に輝いた三浦しをんの小説を、「川の底からこんにちは」などの石井裕也監督が実写映画化。ある出版社の寄せ集め編集部が、気の遠くなるような歳月をかけて20数万語が収録された新辞書作りに挑む姿をユーモラスに描く。
 
タイトルは、「辞書は言葉の海を渡る舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく」という意味からとられている。
 

 
辞書の編さんに没頭する主人公・馬締(まじめ)光也には、同じ三浦しおん原作の「まほろ駅前多田便利軒」にも出演した松田龍平。彼が一目ぼれするヒロインには、「ツレがうつになりまして。宮崎あおいが扮するほか、馬締の出版社の同僚にオダギリジョー小林薫黒木華のほか池脇千鶴加藤剛八千草薫鶴見辰吾伊佐山ひろ子渡辺美佐子などが出演。
 
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時は1995年、携帯電話はなく、電話はPHSの時代。
玄武書房という出版社の辞書編集部では、辞書の監修を担当する松本朋佑(加藤剛)は、PHSを購入したばかりで、PHSとはパーソナル・ハンディホン・システムの略で、これからパソコンや携帯電話が広まるという。
 
長年辞書編さんの中心者だった荒木公平(小林薫)が退職することになり、後任探しにとりかかる。そこで、営業部では、営業センスがないが、少々浮いた存在だが、辞書には関心とこだわりがある馬締(まじめ)光也(松田龍平)に目をつける。言葉に対する卓越したセンスを持ち合わせていることが評価され、新しい辞書「大渡海(だいとかい)」の編纂(へんさん)を進める辞書編集部に異動となる。
 
新しい辞書「大渡海」の編さんに従事するのは、現代語に強いチャラ男・西岡正志(オダギリジョー)など個性の強いメンツばかり。
 

 
今を生きる辞書を目指している「大渡海」は見出し語が24万語という大規模なもの。
曲者ぞろいの辞書編集部の中で、馬締は作業にのめり込む。
 
ある日、下宿の大家の孫娘・林香具矢(宮崎あおい)に一目で恋に落ちた馬締。
なんとかして自分の思いを彼女に伝えたいが、なかなかふさわしい言葉が出てこず苦悩する。そんな中、会社の方針が変わり、「大渡海」の完成に暗雲がたちこめる。
 
売り上げに貢献していないことから、社内で中止することが検討されていたのだが、ある条件を飲む代わりに、新辞書の計画は続行されるのだが・・・。
 

 
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ほかの「広辞苑」や他の辞書と区別するために、現在使われている”今を生きる辞書”作りを目指すため、高齢の松本は、合コンにまで参加した。”チョベリバ”などの新語を発見するところなどが面白い。”ルーズソックス”なども含まれていた。
 
松本、馬締らは、若い女性などが多く集まる喫茶店などで、用例集の収集のために、若者言葉を集めるが、じろじろ見るので、ヘンタイのおっさんたちという目で若い女性から見られてしまう。
 
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15年の歳月を経て、辞書はついに完成、完成披露パーティが開かれる。
そこには、監修の松本の姿はなかった(直前に病死)ものの、病床の松本から荒木宛にしたためられた手紙を馬締は見せられる。そこには感動的な言葉があった。
 
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映画の良し悪しは、原作・脚本によるところが大きいが、派手なアクションや、CGなどで驚かせる映画とは対極にある「舟を編む」のような地味だが、知的好奇心をそそるような映画は捨てがたい。
 
この映画では、池脇千鶴が生き生きしていていい。
60年の芸歴を誇る渡辺美佐子(81歳)は、下宿のおばあちゃん役だが、うまい。
麻生久美子の名前がタイトルバックにあったが、壁に貼ってあった女優の写真としての出演。もったいない! 
 
加藤剛は、テレビのデビュー作「人間の条件」(1962)の梶上等兵役から見ているが、「忍ぶ川」(1972)「砂の器」(1974)などの演技が印象的だったが、「舟を編む」では、70代半ばとは思えない若々しさで、渋い演技を見せている。
 
日本アカデミー賞で、作品賞、主演男優賞(松田龍平)などを受賞した。
 
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