fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

★文春文庫「キネマの神様」(原田マハ)読む。

 
 
日本から見ると赤道をはさんで反対側(オーストラリア)に住むブログ友のguchさん、「fpdさんが読んだら、面白いと思う」と言って、わざわざネット書店経由で送ってもらった文庫本「キネマの神様」を一気に読んでしまった。
 
この本のタイトルの副題が「The Name above the Title」(映画のタイトルより先に来る名前)であるのがミソだ。
 
本を読んで感動に震えたのは何年ぶりか。
 
・・・
松竹映画の「キネマの天地」なら知っているし、「トイレの神様」という曲もヒットしたが、「キネマの神様」とは、映画を知り尽くした人の話かと・・・読み始めた。
 
ラストの数ページを目にしたとき、号泣を通り越して、まさに「半沢直樹に土下座を迫られた大和田常務のしわくちゃな顔」(fpdの場合は、凄すぎる感動に打ちのめされての、うめくような顔付きだと思うが、自分で鏡を見るのが怖いほど・・・)になってしまった!
 
・・・
アメリカで、50年にも及んで映画評をニューヨーク・タイムズ紙に掲載している映画評論家のドンともいえるアメリカ人と、日本の80歳に手が届く、映画好きの映画評など素人のおっさんとが、映画雑誌社の映画ブログを通して交流するという奇跡のストーリーが、バズーカ砲で心臓が吹き飛ばされるほどの展開で迫ってくるのである。アメリカ人の考え方、とくに「父親に対する考え」など本質に迫る記述も興味深い。
 
・・・
映画の作り手は、DVDで見られるために作っている人はいないだろう、とある。
映画は映画館で、大勢で楽しむものだ。泣いて、笑って、興奮する。
名画座」というのは、どうも日本だけの専売特許であるらしい。
 
確かに、ミニシアターは海外にもあるが、名作を2本立てで上映したり、ロードショー作品を半年後に公開する名画座は、外国では少ない。
 
池袋の「新文芸座」などは、映画ファンにとってはありがたい存在だ。
シネコンの登場で、単館の映画館は閉館されるケースが多くなっている。
特に若い世代は、「シネコン」で十分と考えているようだ。
 
いまや、DVDもレンタルで安価で借りられ、「キネマの神様」の中で登場する「”ゆうちゅうぶ”とかいう謎の管」でも見ることもできる。
 
・・・
この「キネマの神様」は、おすすめ映画が固有名詞でポンポン出てくる。
フィールド・オブ・ドリームス」(guchさんお勧めの作品だが、未見)(注:のちに鑑賞)。「キネマの~」にもあるが、ボールをバットで打ち返すだけじゃん、と思っていなかったか。反省。リトル・ミス・サンシャイン」「アダムス・ファミリー」などいずれも未見だ。
 
・・・
この本の中で、名画座で”人生最良の名画ベスト1”映画の特別上映会が開催される。この映画は、著名評論家がアメリカで50年以上に及び数万本見た映画の中のベスト1映画であり、日本の80歳近いおっさんも必ずや「やっぱり!」と納得する映画だという触れ込みで、特別上映会には、題名を隠して上映会が催されるのである。家族など最も身近な人や仲間と、最高の映画館で、一緒に見ようと企画されたイベントだった。
 
・・・
はたしてそのベスト1映画とは・・・。思わず前のめりになるfpd
アメリカの有名評論家のブログでのハンドル・ネームが「ローズ・バッド」であることから、そのセリフが映画の最初に登場する「市民ケーン」かとも思ったが、ちょっと難解で、何回見てもわからないのではと思ったが、そうではなかった。
 
・・・
なるほどな、その映画だったか!
納得 x 100
 
「キネマの神様」は、わくわくとして面白いことは間違いないので、お勧めです(guchさん、ありがとうございました。)”神様”とは、十数年後?のguchさんではないかと一瞬思ってしまいました(笑)。
 
・・・
筆者・原田マハさんの公式ブログの「プロフィール」を覗いてみた。最初の一行を読んで、ぶっ飛んだ。
 
「注:このプロフィールを読むには5-10分かかります。」だった。そういわれては、読まないわけにはいかない(笑)。確かに、凄い経歴と経験で驚かされた。
 
・・・
原田マハさんの作家デビュー作「カフーを待ちわびて」は映画を見た。
地味だが、佳作だった。
 ベスト1の映画のタイトルこそ出てこないが、その映画は映画ファンならだれでも好きな映画で、上の写真の背景は、その映画のオープニングのシーンを使っている。(独り言:何か、偶然が重なったのか、不思議・・・。guchさんなら、その意味がわかるはず。笑)
 ・・・
文庫本になったのは2年半前で、その前に「別冊文芸春秋」で連載、単行本にもなっていて、読んでいる人も多いかも。
 
【追加】松竹100周年記念映画として映画化され、2021年8月6日から全国公開される。主演の予定だった志村けんが亡くなり、一方でコロナ禍となって、撮影や公開が延期されていたが、ようやく公開となる。

f:id:fpd:20210713131230j:plain

 
ついでに下記クリック・ポン♪があるとうれしく。