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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「紀子の食卓」(2006)

 
映画のタイトルは、一見のどかな雰囲気の「紀子の食卓」(2006)だが、園子温監督作品であるので、一筋縄ではいかないことを想像しながら観た。案の定だ。
 
  
家族だんらんの食卓においしい料理が出てくる映画ではなかった。
 
54人の女子高生が一列に並んで、隣同士手を握り合い、和気あいあいの雰囲気で・・・と思うのもつかの間、急行列車が通過する直前に一斉に新宿駅のプラットホームで飛び込み自殺を遂げるという、衝撃的なシーン!もある。
 
映画のテーマの一つは、人間の孤独感。
それを補うために、相手のニーズに応じて、仮想家族を派遣する「レンタル家族」の派遣業という仕事があるというのが驚きだ。
 
園子温監督といえば「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」「ヒミズ」など問題作が多いが、「紀子の食卓」は、2001年に監督した作品自殺サークル」の続編
 
紀子の食卓」でも、自殺サークルとみられるサイト「廃墟ドットコム」が登場、家族に対して違和感を感じた紀子が、「廃墟ドットコム」で知り合った「上野駅54さん」に会うために家出を企てるが・・・。
 
159分の映画は少々長いが、家族との関係に苛立ちを抱えている、どこにでもいそうな女子高生・紀子(吹石一恵)とその妹ユカ(吉高由里子)、自分勝手な父親(光石研)と暮らす中で、そこには居場所はないと考えた紀子は、家族を捨てて東京へと向かったことから、恐ろしいホームドラマが展開していく。 
 
・・・
吉高由里子の女子高生役はいいが、吹石一恵の高校生役は、映画撮影時、24歳で少々無理があるか。「35歳の高校生」(米倉涼子)ほどではないが(笑)。
 

 
光石研は、わき役が多いが、この映画では、主役級。
ドラマ、映画共に出演本数は多いが、自然体の演技が光る名わき役の一人だ。
 
園子温監督は、血が飛び散るようなグロい映像が多いので、好みが分かれるが、次回作「地獄でなぜ悪い」(9月28日公開)も、タイトルからして、覚悟がいりそうだ。
 
★★