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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「希望の国」(2012)</span>


希望の国」予告編
 

 
題名が昨年話題になった「かぞくのくに」と紛らわしく、Tsutayaで「かぞくのくに」を探していたら見当たらず、同じ「くに」を扱った「希望の国」をレンタルした。「愛のむきだし」の園子温監督なので、まあいいかと納得しつつ(笑)。
 

 
画面に「歓迎 原発の街へようこそ」という垂れ幕。
この映画が製作されたのは昨年で、東日本大震災の1年後。
東日本大震災と同じような地震津波が日本の架空の県「長島県」に起こり、そこで暮らす一家の話。
 
国が原発事故の20キロ圏内を地図上で一律にコンパスで図ったような杓子定規に分けてしまうやり方に困惑・不満をあらわにする一家。隣が強制退去で自分たちは、居残ってもいいというのだが、この映画の主人公で酪農家の小野泰彦(夏八木勲)は、息子・洋一(根上淳)とその嫁・いずみ(神楽坂恵) は、避難するよう強く勧め、自分と妻・智恵子(大谷直子)は残るというのである。妻は認知症で、泰彦は、妻とともにある決意をし、それを実行して映画は終わる。
 
福島原発を風化させないようにとの意図で製作された映画だが、頑固一徹な役柄の夏八木勲、「帰ろう」というのが口癖で認知症の妻を演じる大谷直子など俳優は熱演だが、逆説的な意味の”希望の国”日本を描いて警鐘を鳴らしたのか、受け止め方は、異なるだろう。ただ、映画チラシでは、「それでも世界は美しい」ということばがあるので、案外、そのタイトル通り、願望を込めて「希望の国」としたのか。
 

       大谷直子夏八木勲の演技が光る。
 
廃墟となった場所で、小さな5,6歳の二人の子供が現れ、「ビートルズのレコード」を探しに戻ってきたというのだが、「一歩、一歩」と掛け声を発しながら消えてしまう。あれはまぼろしだったのか。
 
最後に若者の二人が、「一歩、一歩、一歩・・・」といいながら歩む姿をかぶらせて、日本の復興も着実に一歩一歩と歩むべきだというメッセージなのだろうが、説明的でかえって薄っぺらいものに感じられた。
 
父親と息子の関係というのは、案外と複雑なものだが、父親が厳格かつ頑固である半面、息子のほうがめそめそしていて意気地もなく頼りない。しかも、2回も父親のところに駆け寄り、抱きつく(ハグする)というのは、ありえない(気持ち悪い!笑)。
 
随所に類型的なセリフ(アイシテル、とか、愛があれば・・・など)が出てくるが、現実味がなく、かえって空疎に聞こえる。原発を描くなら、もっと描き方もあったろう
 
福島の被災地の人たちが、勇気づけられる映画かといえば、必ずしもそうとはいえない。賛否両論あっていいと思うが、描き方がやや短絡的で、あまりすっきりと溶け込めなかった映画だった。
 
いずみ(神楽坂恵)などは、放射能恐怖症と医者が言っていたが、アポロ飛行士のような服装をして買い物をするなど、パロディとしか思えない。何事も極端に走るとシラケるのだ。
 
映画をファンを楽しませるためのエンターテイメントの手段とするのはいいが、政治信条などのツールに利用すると、観客は引いてしまうものだ。向井真理子など出演。
 
 
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